新緑の季節に訪れたい鎌倉の新店エンソウで、香りと食に満たされて。
2022.04.23
鎌倉ウイークエンダー 2022.01.14
長谷川真弓
お正月の食べ過ぎを引きずっていたり、急に慌ただしい日常に戻ってもなかなかエンジンがかからなかったりするこの頃。初詣の参拝客も落ち着いた、静かな鎌倉をのんびり散策してみませんか。ランチはご馳走続きで疲れた身体にぴったりの優しい和食がいただけるお店へ。鎌倉在住エディターがおすすめする3軒を紹介。
1月に関東に大雪が降った日。鶴岡八幡宮へと続く段葛も真っ白。
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メニューには使われている野菜の名前が書いてあるのみ。どんな料理かは来てからのお楽しみ。先付けの胡麻豆腐は毎日手作りしているそう。1月のごはん¥1,760
普段食べている野菜がはっとするほどおいしい。店主イチカワヨウスケさんの生み出す、滋味あふれる野菜料理を目当てに何度も訪れているのがこの店。
メニューは3種類。「葛とじうどん」「うどん+惣菜3品」そして月替りのごはん。この月ごとのご膳を楽しみに毎月欠かさず足を運ぶという鎌倉ローカルも多い。
1月のごはんは、菜の花と新たくあんのご飯や、金時人参のすり流しが鮮やかな6品。お出汁にカツオは使っているものの、それ以外の魚や肉は入らない野菜が主役の料理。野菜だけというとあっさりとしたものを思い浮かべがちだが、葛餡にとろりと包まれた里芋の煮物の上にサクッと軽いレンコンの素揚げが乗るなど、それぞれに食感の違いが楽しめて驚くほど食べ応えがある。
野菜と出汁だけ、余計な調味料は使わずにじっくりと火を入れることでここまでおいしくなるのかと驚かされる料理、ぜひ味わってほしい。
店主のイチカワヨウスケさん。『野菜だし』(主婦と生活社刊)などの著書も人気。
テーブル席、カウンター席のほか、奥には個室も。
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「Umiランチ」¥2,420。限定15食、なくなり次第終了なので予約がおすすめ。photo: ウミ鎌倉
以前は極楽寺にあったお店。特別な日に伺う店といった位置付けだったが、2020年に鎌倉駅から徒歩2分の場所に移転したことで、ぐっと普段使いができるようになった。実際、地元のお客様もぐんと増えたのだそう。
コンセプトは「オーガニックをもっと身近に」。地元鎌倉の契約農場から仕入れる新鮮な有機野菜や地物中心の鮮魚などの食材はもちろん、調味料も自然派で無添加のものを使うというこだわりがうれしい。
料理のおいしさもさることながら、運ばれてきた時の華やかさも楽しみのひとつ。使われている器は作家さんのものが多く、「Umiランチ」で使用している黒いプレートや鮮やかな青の皿などは秦野の作家、丹羽健一郎の作品。特に豆皿はこの料理のために特注したものだそう。身体が喜び、見た目も美しい和食を満喫して。
おひとり様の利用も多いカウンター席。カウンターには樹齢80年の静岡天竜杉の一枚板を使用。チェアの丸い木の座面は職人による手作りで、手触りも座り心地もいい。photo: ウミ鎌倉
店舗設計はケムリデザイン。クラシックとモダンが融合するおしゃれな内装。photo: ウミ鎌倉
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「茶房膳」¥3,410。籠の中の料理は季節によって変わる。1月は本日のお造り冬野菜添え、カニ真丈、鴨、金柑、セリの和物、国産牛頰肉の煮込みなど6品。photo: 茶房 空花
母とのランチや久しぶりにゆっくり友人と会う時にぴったりなのが茶房 空花。茶房といってもランチや夜はしっかりとした和食がいただける。
ミシュラン3ツ星店の元麻布かんだで長年修行を積んだ料理長の脇元かな子さんが作る、季節の新鮮な食材を使った身体に優しい和食が人気。おいしいものを少しずつあれもこれも堪能したいという女性にぴったりのお店だ。
おすすめのランチは「茶房膳」。籠の中に納められた6品の季節のおかずが美しく、土鍋で炊いた黒米ごはんも絶品。
お庭を愛でながら、鎌倉らしい風情の中でゆっくりとした午後のひと時を過ごしてみては。
食後のデザートは、大きな木箱に入った8種類のお菓子の中から好みの2種類を選ぶことができる。photo: 茶房 空花
窓の外には四季折々の花が楽しめる庭園が広がり、その先には江ノ電の姿も眺めることができる。photo: 茶房 空花
photography & text: Mayumi Hasegawa
長谷川真弓
出版社で女性ファッション誌の編集に携わり、2011年に独立。現在はフリーランスのエディター兼ライターとして雑誌やウェブなどで活動中。19年に都内から鎌倉へ移住。小学生の娘と幼稚園児の双子の母。