新緑の季節、抹茶で一服できる鎌倉のお寺3選。
鎌倉ウイークエンダー 2023.05.28
長谷川真弓
静けさの中で心落ち着く時間。
新緑がまぶしい季節。鎌倉で深い緑に包まれるなら、寺社めぐりがおすすめ。境内の茶室でお抹茶を楽しめる寺院もいくつかあり、そこでお茶をしていると心やすらぐ非日常時間が味わえる。静かな時間を味わうために、平日にぜひ訪れてみて。
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茶室から眺める庭園に心奪われる
#01.喜泉庵
庭園は杉苔を主とした枯山水。
お寺の境内で庭園を眺めながら一服したいと思ったら、まず思い浮かべるのが浄妙寺。源頼朝の忠臣、足利義兼が創建した鎌倉五山第五位のお寺で、鎌倉駅から離れたエリアにある分、静かな時間が過ごせる。
青銅屋根の立派な本堂。参道も美しく、格式の高さを感じる。境内は国の指定史跡に登録されている。
茶室は本堂の左手にある。1500年代に僧が一同に茶を喫したと伝えられている、歴史ある場所だ。現在の喜泉庵は平成3年に復興されたもの。
靴を脱いであがると、書院造りの和室の先に枯山水の庭園が広がる。4月はボタン、5月末からは山アジサイなど、四季折々の花を愛でることができるが、新緑の美しい5月が個人的にはおすすめ。
畳の席とテーブル席を選べる。
陽光がふりそそぐ庭園を眺めながら香り高いお抹茶を味わう、なんとも贅沢な時間。静けさの中で背筋が伸びつつも、心休まるとっておきの空間だ。
お抹茶と上生菓子¥1100。
縁側では水琴窟(すいきんくつ)が楽しめる。竹筒にそっと耳をあてると、水滴の落ちる澄んだ美しい音が響く。
神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31
tel.0467-22-8638
営)10:00〜16:00
休)不定休
拝観料:100円
https://www.ishigama.info/kisenan.html
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鳥のさえずりを聴きながらのんびりと一服
#02.円覚寺 佛日庵
木々に吸い込まれるような円覚寺の入り口。
北鎌倉駅東口を降りてすぐの場所にたつ禅寺、円覚寺。その円覚寺山内にあり、北条時宗をまつる廟所として建てられた佛日庵は、川端康成、大佛次郎など文化人に愛された寺でもある。
国宝に指定されている舎利殿、国史跡名勝の妙香池など見所が多い円覚寺。
広大な円覚寺にはさまざまな見所があり、散歩しながら奥へとあがっていくと佛日庵にたどり着く。まずは受付で拝観料を払い、いただいたお線香でお堂にお参りをしてから、休憩を。
廟所の前には毛氈の敷かれた一休みできるお茶処がある。
大きな木蓮の木陰で、鳥のさえずりを聴きながら香り高い宇治のお抹茶をいただく、心豊かな時間。夏季は冷たいお抹茶やアイスコーヒーも頼めるそう。
お抹茶¥700(拝観料含む)。お抹茶とともに供される干菓子は豊島屋の小鳩豆楽。
境内には川端康成の「千羽鶴」に登場する茶室も。垂れ桜は作家、大佛次郎夫人に寄贈されたもの。
「5月は新緑が気持ち良いおすすめの季節。平日の朝9時から開いているので、その時間に来ていただくと静かな時間を過ごしていただけます」とご住職。由緒正しきお寺ながら、落語会や寺歌ライブを開催したり、YouTubeでも「寺歌」https://www.youtube.com/c/butsunichianを配信するなどの取り組みも積極的に行っている。
「もともとお寺というのは海外から様々な文化を取り入れ、発信してきた場所。ぜひ気軽に足を運んでください」。
神奈川県鎌倉市山ノ内434
tel.0467-25-3562
営)9:00〜16:00
休)不定休
拝観料¥100(円覚寺の入山料は別)
http://www.butsunichian.com/
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和洋折衷の空間で、優雅なひとときを
#03.明月院 月笑軒
総門の前では立派なシャクナゲが出迎えてくれた。
「あじさい寺」という名前で親しまれる、上杉憲方が建立した寺院、明月院。ブルーの紫陽花が埋め尽くす「明月院ブルー」と呼ばれる石段の参道が有名で、毎年多くの観光客が訪れている。
本堂の横にある「悟りの窓」からのぞく、目にも鮮やかな庭園。
大きな窓から緑を眺め、ゆったりできる室内。※通常店内は撮影禁止。
ゆっくり境内を見てまわった後は、総門近くにたたずむ茶屋「月笑軒」へ。外には野立傘が緑に映える縁台があり、室内は落ち着いた雰囲気の喫茶スペースとなっている。建物は和風のつくりながら、西洋アンティーク調の椅子やランプなどが置かれ、和洋折衷のレトロモダンな空間。
抹茶のほかにも、甘酒やコーヒーなど豊富なラインナップ。
抹茶と和菓子¥800
お抹茶とともにいただけるお菓子は、島根県の銘菓「出雲三昧」。落雁、求肥、粒入り羊羹と3層になった上品な甘さが、ほろ苦い抹茶とよく合う。最後にお口直しとしてほうじ茶もいただけるので、庭の緑を眺めながらゆっくり穏やかな時間が過ごせる。
神奈川県鎌倉市山ノ内189
tel.0467-24-3437
営)9:30〜15:45
休)不定休
拝観料¥500
text: Mayumi Hasegawa
長谷川真弓
エディター兼ライター。鎌倉在住、3児の母。大学卒業後、出版社に入社。女性ファッション誌の編集に携わり、2011年に独立。現在はフリーランスとして雑誌やwebなどで活動中。