鎌倉で見つけた、器と雑貨のセレクトショップ3選。
鎌倉ウイークエンダー 2023.07.31
長谷川真弓
古民家をリノベーションしたamanaiの店内。
鎌倉には自分なりのライフスタイルを持って、食器や雑貨などもじっくりと選んで長く使うといった、日々の暮らしを大切にしている人が多い。そんな人々が通う、器や暮らしの道具を集めた3軒のショップを紹介。
選びぬかれた、上質な日用品がそろう
#01.amanai
店内ではPOP UPショップや企画展などが月に一度を目安に開催されている。取材時はguse arsの「SEAPARTOOLS」展を開催。photography:amanai
「あれ? ここにこんなお店あった?」と、ふと気づいて入ってみると、今まで来なかったことを後悔するくらい素敵な空間が広がっている。車では何度も通っている道なのに歩いてみて初めて気づく、そんなさりげない佇まいの店が鎌倉にはよくある。ここ「amanai」も、そうしてふらっと入ってみて出合った店だ。
白を基調としたモダンな空間の店内には、日本の作家による手仕事の道具がセンスよく配されている。
「手に持って使うような日用品、映画における小道具のように使う人を引き立てるものを置いています」と言うのはオーナーの常盤孝志郎さん。
扱っているのは主に日本製で、人の手が入ったものがほとんどだそう。ただ、手仕事といっても、決してほっこりとしたテイストのものはなく、スッキリと洗練されたデザインのものをセレクトしている。
そういったデザインのものが結果的に人を選ばず、タイムレスで使えるのだと常盤さんは言う。
独自の審美眼によって厳選して並べているので、ショップというよりはギャラリーのような雰囲気だ。
種子島でつくられているはさみ。伝統的な鍛冶技術を受け継いだ職人が全て手作業で製作し、鹿児島県の伝統工芸品に指定されている。「梅木本種子鋏」¥7,700〜。
熊本の伝統工芸品「来民渋うちわ」¥2,200。和紙の風合いと。美しい骨組みが透けて見える、日本の夏を感じさせる一品。photography:amanai
日本の職人が手がけるブランド。真鍮があしらわれ、閉じるとステッキのような佇まい。コウモリ アンブレラ¥22,000〜 。photography:amanai
茶筒、ポットなど、一つひとつの商品の背景にある、作り手の思いや、伝統技術などについて穏やかに語ってくれる常盤さん。「どこかで見たことのある商品だとしても、背景を知ることで新たな発見があるはず。ぜひそれを味わいにいらしてください」。
店の前に置かれたさりげない看板が目印。壺や水さしのように見える不思議なロゴは、デザイナーさんにおこしてもらった架空の道具だそう。
鎌倉市由比ガ浜3-1-2
tel.なし
営)11:00〜17:00(時期により変更あり)
休)不定休
営業日はインスタグラムでご確認ください。
https://amanai.jp/
8月5日から27日は「道具としての日用品」展 を開催予定。
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日々の食卓を彩る器を探しに
#02.うつわと手仕事 廻り道
店内にはさまざまな器が並ぶ。手前は愛知県の作家、加賀美円さんの作品。
器好きの人から支持を集めているのが、鎌倉駅から徒歩10分ほどの大町エリアにある「うつわと手仕事 廻り道」。
「鎌倉の中でも大町は、静かで落ち着いた雰囲気なので気に入りました」というのは、店主の峯山まりなさん。インテリアメーカーなどで働いたのち、2022年に店を構えた。
鎌倉には、それぞれこだわりのライフスタイルを持って、豊かな生活を楽しむ人が多く、そういった人に手にしてほしい器や生活雑貨などを並べているそう。
日本全国の気になる窯元や工房にできる限り足を運び、作家と直接会って買い付けをしている。廻り道しながら目的地にたどり着くのが好きというのが店名の由来だ。
さまざまな作家の作品が集まった店内。
大内学さんのデザート器¥3850、石川智美さんの真鍮のコーヒースプーン¥3500
かごバッグを作る際の端材を使ってつくったブローチ¥1870〜¥2530(オズのかごBag)
「作家さんはそれぞれの地域でとれた水、土を使って器を作り、その作品を通して自分の住んでいる土地を表現しているのだと思います。そういった目線で、商品を一つひとつゆっくり見てもらい、一期一会を楽しんでもらえたら嬉しいです」(峯山さん)
企画展も多く、取材時は佐渡勝行さんの植物染めの手ぬぐい展「具象と抽象 意識と無意識 あいまに浮かぶ模様たち」が開催されていた。
神奈川県鎌倉市大町2-8-14
tel.なし
営)13:00〜17:00(土日は11:00〜)
休)不定休
営業日はインスタグラムでご確認ください。
8月4日〜8月12日は山田奈緒子氏の吹きガラス展を開催予定。
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日常に寄り添う、センスの光る雑貨の数々
#03.patrone
優しい音楽が流れるpatroneの店内。
日常で使いやすく、一見地味だけれどこだわりを持って作られたものを……。店主の福山ヒサヨさんがセレクトするものは、どれも普段の暮らしに溶け込む雑貨。
バリエーションも豊富で、ガラスの器一つとっても、現代作家のつくるものから、昭和のデットストック、ベトナムのリユースガラスを使ったものなど、さまざま。
「古道具に抵抗がある方もいると思いますが、ここでは状態の良いもの、今の暮らしにフィットするものを選んでいるので、現代のものとミックスして使ってほしいと思います」と福山さん。
大町でお店をかまえて12年目。もともとは美大でデザインを学び、環境デザインやフラワーアレンジメントの仕事などを経て、自分で物を選び、組み合わせたり、人に魅力を伝えることがしたいとお店を始めたそう。
「手仕事のものを主に扱っていて、飽きずに長く使えるものという目線でいつも選んでいます。ただ、クラフトはどうしも高額なものが多い。普段使いしてほしいし、職人さんや工房を応援したいという気持ちがあるので、作家ものだけでなく、そういったところのものを最近はよく扱っています。お手頃なクラフト品がそろっているので、ぜひ気軽に見に来てください」(福山さん)
店内ではイベント、ワークショップなども不定期で開かれ、同じ趣味を持つ人の交流の場にもなっている。毎月のように企画展も開催されているので、訪れるたびにさまざまな出会いがあるのが魅力だ。
人気ブランド、アンキャシェットのバスケット。アラログという籐の一種を使っており、天然素材ならではの経年変化が楽しめる。インテリアとしても活躍。
光に反応してクルクルとまわる、ドイツのリヒテンヘルトガラス工房で作られている「ラジオメーター」¥7128〜。お店を始めたときからずっと扱っている、思い入れのある商品。
一つひとつ手作業で仕上げた、新潟の硝子工房クラフト・ユーの紅茶ポット(¥7150〜¥9370)。
夏のおすすめは天然石とパールのジュエリーブランド「carob」のネックレスやピアス。
鎌倉市大町1-10-25 三橋ビル2F
tel.0467-53-8680
営)11:00〜17:00
休)不定休
営業日はインスタグラムでご確認ください。
8月3日-13日(月火水は休み)SUMMER FLEA MARKET - パトローネの掘出しもの市 -を開催予定。
長谷川真弓
エディター兼ライター。鎌倉在住、3児の母。大学卒業後、出版社に入社。女性ファッション誌の編集に携わり、2011年に独立。現在はフリーランスとして雑誌やwebなどで活動中。