秋の鎌倉、スローな時間の流れる極楽寺を散歩。
鎌倉ウイークエンダー 2023.11.06
長谷川真弓
ホームはひとつだけ、木造の駅舎がノスタルジックな雰囲気の「極楽寺駅」。
鎌倉駅周辺の喧騒を離れて静かにお散歩をするなら、極楽寺エリアがおすすめ。風にのって運ばれてくる金木犀の香りが心地よい秋の鎌倉で、鎌倉在住ライターが散歩途中に寄りたいスポットを紹介。
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緑に囲まれた癒しの空間
#01.極楽寺、成就院の参道
鎌倉駅から江ノ電に乗り、4つ目の「極楽寺駅」。ここは海街・鎌倉の中でも緑に囲まれた落ち着いた雰囲気を味わえるエリアで、紫陽花の時期を外すと人も少なく、お散歩にぴったり。
極楽寺駅の改札を出て線路をはさんだ場所には、鎌倉時代から続く名刹、極楽寺がある。こじんまりした境内だが、重要文化財や季節の草花が出迎えてくれる癒しの空間。
風情を感じる、茅葺の山門。境内は花を見て静かに過ごせるようにと撮影禁止。
極楽寺を出て、すぐ前にある坂が極楽寺切通。三方が山に囲まれた鎌倉では、山の稜線を切り開いて作った道があちこちにあり、ここもそのひとつ。この坂を下り、5分もしないうちに成就院へと続く階段が現れる。ここはぜひ頑張って登ってみて。山門から由比ヶ浜海岸が一望できる、ビュースポットが待っている。
北条泰時が空海ゆかりの地に建立した成就院の参道。6月にはこの両脇に紫陽花が咲き誇る。
坂を下り切った場所には老舗菓子屋「力餅屋」、食パン専門店「Bread Code Kamakura」などの美味しいものや、隠れ家カフェが軒を連ねる。お土産に買っていくのもおすすめ。
右手の「力餅屋」は、江戸時代から300年以上続く歴史のある店。
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ランチには風味豊かな手打ち蕎麦を
#02.おそば 手繰
鴨せいろ¥1800。完全放し飼いで通常の2倍の時間をかけて育てた、茨城の西崎ファームさんのこだわりの鴨を使用。しっとり柔らかい鴨と出汁の旨味がたまらない。
ランチは今年6月にオープンした美味しい手打ち蕎麦屋へ。場所は極楽寺駅の目の前なので、迷うことなく辿りつける。
実はこのお店、春には別の店で間借り営業をしていたのだが、そこですぐにファンを獲得し、2ヶ月後には実店舗をオープン。開店後間もないにも関わらず、既にお客さんの絶えない人気店となっている。
明るく居心地の良い店内。
人気のわけは、毎朝お店で打つという喉ごしのよい二八蕎麦。
そば粉は秋田県で循環型農業に取り組む畑でとれる、農薬不使用のもの。実際に店主自ら秋田まで出向いて選んだのだそう。
本節、宗田節、鯖節と3種類の厚削り節の出汁でつくるつゆは、しっかりとした旨味と風味が広がる豊かな味わい。
ランチには、小鉢2品と炊き込みごはんがついたセットも。四季折々の一品料理が楽しめる夜もまた違った魅力があり、何度でも訪れてみたくなる店だ。
店主の岡田潤さん。鎌倉で人気の蕎麦屋である「松原庵」で修行したのち、店をかまえた。
神奈川県鎌倉市極楽寺1-3-1
tel.0467-26-2640
営)11:30〜15:00(LO14:30)、17:30〜21:00(LO20:30)
休)水、木
https://www.instagram.com/t_a_g_u_r_u/
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コーヒー愛あふれる店主のカフェでひと休み
#03.SOMETHING'S COFFEEHOUSE
クリーム色の壁の一軒家の一階がお店。
ランチのあとは、スペシャルティコーヒーが味わえるカフェへと移動。
この店の最大の魅力は、高品質な豆を浅煎りで淹れた、フルーティーなコーヒーが飲めること。ハンドドリップで丁寧に、旨味、香り、酸味のちょうどよいバランスをピンポイントで狙っているというコーヒーの味は格別!
浅煎りは酸味が苦手という人こそ飲んでほしい、軽やかな口当たりのたまらない美味しさ。スイーツはコーヒーに合うように優しい味わいで仕上げているそう。
4〜5種類から豆が選べるハンドドリップコーヒー。「SOMETHING'S」のエチオピア¥670、バスクチーズケーキ¥680
店主の清水ご夫妻は、それぞれが大手のコーヒー屋や都内のカフェなどでバリスタとして活躍していたところ、縁とタイミングが重なって現在の店を構えることになった。
今年の夏から自家焙煎もはじめ、豆の販売もスタートさせて好評を得ている。
「外国人の観光客の方がわざわざここ目がけて来てくれたり、地元の人が週に何度も来てくれたりと、お客さんの層はさまざま」と、清水さん。のんびりとした時間を過ごしに、訪れてみて。
自家焙煎「SOMETHING'S」は200g ¥1500〜。ほかに、デンマークのロースターProlog Coffee、山梨県のAKITO COFFEEの豆も扱っている。
店主の清水涼平さん、真樹さん
店内は暖炉やロッキングチェアーがあたたかみのある雰囲気。外のテラス席はペット同伴可。手前の賞状はShonan Barista Championshipで優勝したときのもの。
神奈川県鎌倉市極楽寺3-7-16
tel.なし
営)9:00〜17:00
休)水曜
https://www.instagram.com/somethingscoffeehouse/
長谷川真弓
エディター兼ライター。鎌倉在住、3児の母。大学卒業後、出版社に入社。女性ファッション誌の編集に携わり、2011年に独立。現在はフリーランスとして雑誌やwebなどで活動中。