【犬山紙子】ミレーナを装着したら生理が楽になった話

文・犬山紙子

産後、生理が3ヶ月後に復活した時。
あまりの不快さに「これはハンデだな……」と痛感したことを覚えています。
内臓がえぐられる痛み、仕事中も「痛い」「漏れてないか」と気にかかってしまう、突然始まった時に下着を汚した時の絶望感、2日目にシーツを汚してしまった時の情けなさ、旅行もいちいち生理周期考えなきゃいけないのも嫌だし、地方の仕事で毎週乗る新幹線のトイレでナプキンを変えるのも個人的にストレスだった。
妊娠前は生理を「そういうものだし」と割り切って受け止めていたし、それをどうにかしようとかも思わなかったけど、一度なくなったものがまた復活すると「いやだああああこんなのが毎月くるなんて」と叫びたくなってしまったんですね。
その時も「働きながら生理でしんどいとかアホくさくなってきた。意識の何割かを常に尻に持ってかれるのは勘弁」って内容のことをツイッターでつぶやいていました。

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© Frederic Cirou/PhotoAlto/amanaimages

すると友人から「私はミレーナ入れてるけどものすごく良かった」と情報が! 
ミレーナとは? 早速ネットで調べて見ると「子宮内避妊用具。黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システム」……なんか怖いな……。と思ったけど
・生理痛と生理の血の量が劇的に減る
・1回の装着で5年間有効性を保持すること(ものすごくコスパが良い)
という部分にものすごく魅力を感じた。
(本来は・長期避妊、月経困難症、子宮腺筋症(軽症)、突発性過多月経、子宮内膜増殖症(単純型)、乳がん術後のホルモン療法に伴う子宮内膜肥厚予防、閉経後ホルモン補充療法の黄体ホルモンサポートに使われるもので、過多月経の治療目的に限り保険も適応されています)
と思いつつ、その時はまだもう1人子供を持ちたいかどうか気持ちがはっきりしていなかったので避妊用具はとりあえず見送ることに。
それから2年。
我慢の限界である。「育児して働いて生理もあって!!」と半ばキレ気味に……いや、ほんとどんだけ多方面に神経張り巡らさなきゃいけないのか泣。その時はもう諸々の理由で2人目を持たない方向に気持ちも固まってきたので、ミレーナを入れることを決心した。(妊娠を希望する場合は抜去すれば可能になる)
病院へ行き、装着しても大丈夫か検査。検査結果が出たらまた病院へ行き(生理が終わる頃に)、1分で小さなプラスチックの用具は装着完了。(経産婦の場合ほぼ痛みはなし、出産経験のない人は子宮内膜検査と同じくらいの痛みがあるそうです)

簡単……!
先生にも「犬山さんは月経量が多いからやって良かったと思います」とも。自分が血が多いほうなのか、生理痛がひどい方なのか、人と話してもわからなかったので「そうなんだ」と初めて知る。

それから最初の3日間はちょっとした軽い生理痛のようなもの、1週間くらいは少量の出血があったりして少し不安な日々を過ごした。(これは知っていたんだけど)しかし1週間ほどしたらもう、違和感が全くない「無」へ。

そして生理。
あんなに嫌だった生理もこの時ばっかりは「さあさあどのくらい減るんじゃい」って楽しみで楽しみで。
私の場合「生理の終わりくらいの出血量」が5日間続くという感じに収まりました。出血自体がほぼなくなる人もいるようで羨ましいっちゃ羨ましいけど、もうこれでも全然ありがたい。漏れる心配もなければ生理痛だってない。ミレーナを装着して7ヶ月経った今もそんな感じです。
ただ、PMSには効かないんですよ。ミレーナの黄体ホルモンは局所のみに作用するので、生理前のPMSはちゃっかりあります泣。

というわけで、私の場合はミレーナを装着して良かったってことなのですが、あくまでも個人の感想ですし、個人差もあるものです。みんなオススメだよ!って言う記事ではありません。(トンデモ医療ではないってとこだけは念押ししておきます。)気になったらお医者さんと副作用についてなども含めしっかり相談してください。私もかなりお医者さんに質問してからGOを決めましたので。

で、本題です。今「生理」周りの話題が話しやすくなっています。「生理について話すなんてはしたない」だなんて意識のせいで悩みを誰にも言えぬままという時代に比べたらものすごく良いことだと思っています。(ただ、だからと言って話したくない人が話さなきゃいけないというのもまた違う)
私も一昔前だったら「そんな生理のことを書いて!」とか眉をしかめられていたかもしれません。でも、生理は恥ずかしいことでも汚らわしいことでもなくて、ただの生理現象で。
そして語られるようになった先に正しい知識の周知、婦人科へ行くことの偏見撲滅、そして友人たちとこうすると楽になったよ、こういう方法があるよ、それは病院に行った方がいいかも?など生理のしんどさが少しでも緩和されるように向かって行くと良いなと思っているのでした。

イラストレーター、エッセイスト。1981年、大阪府生まれ。2011年『負け美女 ルックスが仇になる』(マガジンハウス刊)にてデビュー。
テレビのコメンテーターとしても活躍する。2017年に1月に長女を出産。

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