KIKI、ときどき鎌倉暮らし。 私が鎌倉に越した理由。

いま、東京と鎌倉を行ったり来たりというライフスタイルを送る、モデルのKIKIさん。キャリアをもつ女性として、子育て中のママとして、等身大の目線で、家族で週末を過ごす鎌倉の魅力や、ちょっと気になる世の中のことを綴る連載がスタート。

第1回は、鎌倉移住のきっかけ。いまも昔も都心に住む人が移住の地として憧れる場所だけれど、人にはそれぞれの理由やタイミングがあるもの。さて、KIKIさんの場合は? 


写真・文/KIKI

いまから12年前の初秋。私は生まれ育った東京から神奈川県の鎌倉市に引っ越しをした。当時お付き合いをしていた人や両親も含め、周囲の人からは、急な決断と思われて、驚かれたり心配されたりした。とはいえ、自分の中では、突然、鎌倉へ引っ越そうと決めたわけではなかった。

引っ越す直前は、港区の賃貸マンションでひとり暮らしをしていた。最寄りの品川駅から鎌倉駅までは横須賀線で50分。朝晩の通勤ラッシュ時間帯は、半端ない混みようだけれど、それ以外の時間帯はたいてい座れるし、いざというときは追加料金を払えばグリーン車に乗ることができる。モデルという仕事柄、毎朝同じ時間に出勤するわけではないし、都内にある実家にはいつでも泊まることができる環境だったこともあり、仕事に通うことについてはまったく問題がなかった。

210701-0201.jpg家からいちばん近い材木座海岸が、いつの季節も静かでお気に入り。天気のいい夕暮れ時は、夕日を眺めるためだけに自転車を走らせることも。

19歳、学生のときから「モデル」という肩書きをいちばんにあげて仕事を続けてきているが、20代は映画やドラマなど、女優の仕事も少なくなかった。いまでも依頼があればお受けしているし、とても楽しく有意義な現場もあり、決して避けているわけではない。けれど、そういった仕事に時間をとられていく中で、もう少し違う「表現」をしたい、という焦りが生まれてきた。そんな気持ちを整理するためにも、一度、フラットな環境に自分を置きたいと願っていた。

鎌倉に越して生活の環境を変えることで、その先の一歩を踏み出せるかも、という期待があった。

どこか大袈裟な引っ越しの理由だけれど、いま思うと、30代に入ったばかりで、体力も気力もいまよりずっとあったし、ひとり暮らしの気楽さもなにより大きかった。それに、時効ということで当時の恥ずかしい話をすると、お付き合いをしていた人と、結婚して一緒に暮らしたい気持ちが強くあったのだけれど、相手にされず、若干自暴自棄に。しかし、そんな時期を過ぎ、相手に対しての気持ちが醒めつつあり、距離をおきたくなっていた。

仕事もプライベートも、そんな心の内だったので、誰に相談するわけでもなく、むくむくと、東京からすこしだけ距離を置きたいという願望が、時間をかけて膨れていったのだ。鎌倉と東京。たったの1時間の距離ではあるが、私の中では大きな意味があった。

鎌倉に引っ越しをした動機を思い返していたら、10年少し前ということもあり、すっかり記憶の彼方にあったけれど、恥ずかしいことも含め、いろいろな想い出が蘇ってきた。仕事の拠点となる東京と新しい暮らしの拠点になる鎌倉との距離は、時間にして約1時間。その時間なら、ほかにも候補地はあるだろうけれど、それでも鎌倉を選んだのは、やはり多くの人がイメージする「海」が近いことが大きかった。

家は鎌倉駅から歩いて15分、海までも歩いて15分の距離。鎌倉に限らず、湘南の海には、ヨットに乗る父の影響で以前からたびたび訪れていた。ヨットが置いてあるマリーナは葉山だったり油壺だったりと、鎌倉からはすこし離れるのだけれど、どこも海沿いののんびりとした空気感が漂っているのは季節問わず変わらず、いつ訪れてもゆったりとした気持ちになれるのが好きだった。

210701-0202.jpg子どもが生まれてからは、休みの日のお散歩は、まず海へ。枝や石や貝殻、いろいろな物で遊んでいます。

KIKI

モデル。1978年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。雑誌をはじめ広告、テレビ出演、映画などで活躍。エッセイなどの執筆も手がけ、旅や登山をテーマにしたフォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)など多数の著書がある。現在、文芸誌『小説幻冬』(幻冬舎)にて書評を連載中。インスタグラム:@campagne_premiere

 

 

Photography & text: Kiki

KIKI

モデル。1978年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。雑誌をはじめ広告、テレビ出演、映画などで活躍。エッセイなどの執筆も手がけ、旅や登山をテーマにしたフォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)など多数の著書がある。現在、文芸誌『小説幻冬』(幻冬舎)にて書評を連載中。インスタグラム:@campagne_premiere

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