娘も固まる......鎌倉の老舗カフェで出合った怖いパフェ。

もうすぐハロウィン。自ら何かそれっぽいことをして楽しむことはあまりないけれど、街がハロウィン色に彩られることは嫌いではない。秋になってだんだんと寒くなってきて、突然冬がやってきたと思ったら、クリスマス、大晦日、そしてお正月と一気にイベントがやってきて……。そうやって季節が進むより、ワンクッションを置くように、ハロウィンを楽しむ間があっても良いのではと、毎年カボチャがデコレーションされたウィンドウを眺めながら思う。そんななか昨年、鎌倉のお気に入りのカフェで、チャーミングな、でもちょっと怖いハロウィンをテーマにしたものに出合った。

そのお店は、カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ。今年創業27年。いまではたくさんのカフェが鎌倉にあるけれど、そのなかでも老舗のひとつだ。

わたしはコーヒーがなにより好きで、初めのうちはコーヒー目当てで店に訪れていた。扱う豆の種類もいろいろあって、数年前からは店主の堀内さん自ら中米などの産地に出向いたり、買い付けをしたりしている。だから、自分の好みの味のコーヒーだけでなく、堀内さんお勧めのものをその時々でいただくこともある。豆を買って帰ることもできるので、自宅でもディモンシュのコーヒーをよく飲んでいる。

ディモンシュはコーヒーだけでも相当味わい深い店だけれど、見過ごせないフードメニューもたくさんある。なかでも鎌倉界隈に暮らす老若男女の友人たちが、季節ごとに足を運び楽しんでいるのが、パフェだ。コーヒーを味のベースにした定番の「パフェディモンシュ」をはじめ、いちごをふんだんに使った「パフェプリマベーラ」や見た目愛らしい「プリンパフェ」、爽やかな「ミントミルクティーパフェ」など、気づいたらいつの間にか季節ごとに、いや、ひと月と間をおかずに、限定パフェがお目見えするようになっていた。

210927_04.jpg夏に登場したレモン爽やかな 「パフェレモンシュ」。メレンゲで作られたlemonの文字までおいしい。

210927_05.jpg「ぷ」の旗も可愛らしい「プリンパフェ」。毎年同じものが食べられるとは限らないので、気になったパフェが登場したらお店に足を運ぶのがおすすめ。

そのひとつがハロウィン限定の、チャーミングだけどちょっと怖い 「パフェディモンシュデス」。“デス”は“detah(死)”の意。定番「パフェディモンシュ」のハロウィンバージョンで、目から赤い涙を流すドクロ型のゼリーがグラスに張り付いている。

210927_01.jpgハロウィン限定の「パフェディモンシュデス」。グラスへの張り付き具合で、ドクロの人相が微妙に変わるらしい。

大人のわたしにとっては、おもしろいな!という感覚で注文したのだけれど、当時(昨年の秋)、甘い食べ物に目覚め始めていた2歳間近の娘は、パフェが食べられると楽しみにしていたのに、運ばれてきたものを見て思わず固まった。そして、じわじわと目に涙を溜めた。まさかそんな反応をするとは私も思わず、でもその様子がいじらしく可愛らしくも感じたのだった。

210927_02.jpgパフェの乗った皿を回転させて、娘からドクロを見えなくしたものの、硬直したまま。

210927_03.jpg反応があまりによかったので、ついつい何度かドクロを見せて怖がらせてしまったいじわるな母……。

今年のハロウィンにも、おいしくちょっと怖い“デス”にまた出合えたらいいなと思う。味わいたいたいのはもちろんのこと、一年成長した娘がどんな反応をするのかも、だいぶ楽しみだ。

KIKI

モデル。1978年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。雑誌をはじめ広告、テレビ出演、映画などで活躍。エッセイなどの執筆も手がけ、旅や登山をテーマにしたフォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)など多数の著書がある。現在、文芸誌『小説幻冬』(幻冬舎)にて書評を連載中。インスタグラム:@campagne_premiere

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