鎌倉、邦栄堂製麺のやきそばを持ってピクニックへ。
KIKI、ときどき鎌倉暮らし。 2023.05.03
KIKI
暖かい日が増えてきて、しぜんと外遊びが増える週末。とはいえ、4歳の長女は、お散歩に行こうと誘っても、なにかおまけがついてこないと、すぐには首を縦に振らない。食いしん坊なので、おやつを持って行って外で食べるくらいのことでも良いのだけれど、この頃のブームはピクニックというフレーズ。お弁当を持ってピクニックに行こうと声をかけると、大喜びで出かける支度をしてくれる。
鎌倉市子ども自然ふれあいの森の八重咲のヤマブキの花。もこもこと咲く姿が可愛らしい。春から夏にかけてはあちこちで花が咲く。
おむすびをにぎって、卵焼きを焼いてと、簡単なお弁当を作ることもあるけれど、面倒くさがりのわたしは、家の近所でお弁当的なものを仕入れてから出かけることも多い。最近うれしいことに、鎌倉の製麺所・邦栄堂で週末だけ、焼きそばのキッチンカーがオープンするようになった。邦栄堂は鎌倉の大町にあり、その近くにハイキングルートの入り口があるので、焼きそばを買ってハイキングへというコースがお気に入りだ。
落ちている枝葉は、なんでも子どもの遊び道具になる。花はとったらダメ!と小さいときから繰り返し伝えていたので、その言いつけは守ってくれる。
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ちなみに、邦栄堂製麺は鎌倉の中華レストランやラーメン屋に麺を卸しつつ、製麺所の店頭で麺の販売もしている。以前わたしが暮らしていた家は邦栄堂の近くにあったので、かなり頻繁に買い物に行っていた。近いからという理由だけでなく、その麺がなんというか普通の麺なのだけど、シンプルでとても美味しいのだ。種類もいろいろ、細、中、太麺や平太麺、たまにうどんを扱っている時もある。餃子の皮ももちもちとしていて、ハマってやたらと餃子ばかり作っていた時期もある。とにかく冷蔵庫か冷凍庫に、邦栄堂の麺か皮がないと不安だったくらいにヘビーユーザーだった。
キッチンカーを中心に、邦栄堂市場なるマーケットも不定期で開催されている。5月の大型連休にはイカ焼きそばやナポリタンが販売される日もあるらしい。
キッチンカーで販売する焼きそばも、もちろん自社の麺を使っていて、メニューは焼きそばオンリーだけれど、何度食べても飽きることがない。その焼きそばをテイクアウトしてリュックに入れて、いざ山へ。近くの登山口、名越登山道入口からはいろいろな方面へ抜けることができるけれど、わたしの好きなコースは、前回紹介したお花見スポットでもある久木ハイランド方面へ行くルート。住宅街に抜けずにハイランドに隣接した「鎌倉市子ども自然ふれあいの森」を目的地に、芝生の広場や東屋があるので、そこでレジャーシートを広げてお昼ご飯を食べる。
邦栄堂製麺のキッチンカーの焼きそば。
お腹が満たされた子どもたちは、木登りをしたり鬼ごっこをしたり、昆虫やビオトープのオタマジャクシを観察したり、広場をあちこち走り回って遊ぶ。その後は、歩く気力があれば、ふれあいの森の近くから登れる衣張山(海方面の展望がある)の頂上を越えて北側の浄明寺方面に下山するのも良いルートなのでおすすめする。わたしたちは、まだたくさん歩くことのできない1歳の次女がいるので、たいていは来た道を戻るけれど、それでも大満喫の一日となる。
ハイキングルートのあちこちに石仏が祀られていて、花や水がお供えしてある。衣張山から浄明寺方面に向かう登山道にある夫婦仏も可愛らしいので、ぜひ見つけてみて。
ピクニックじゃなくてハイキング!?といった感が強くて、実のところ、娘にも先日指摘されてしまったけれど、せっかく鎌倉に来ているのなら、海か山か、自然のなかで過ごしたい。これからさらに気温が上がってくると、暑くてハイキングや広場で遊ぶどころではなってくるので、実は春から初夏にかけて、この短い時期こそがチャンスなのだ。
photography & text: KIKI
KIKI
モデル。1978年生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒。雑誌をはじめ広告、テレビ出演、映画などで活躍。エッセイなどの執筆も手がけ、旅や登山をテーマにしたフォトエッセイ『美しい山を旅して』(平凡社)など多数の著書がある。現在、文芸誌『小説幻冬』(幻冬舎)にて書評を連載中。インスタグラム:@campagne_premiere