クロスリズム
「骨董のコレクターだった叔父の影響で、昔から古いものが好きなんです。ナゾなものを見つけると、その背景を考えたり、調べたりするのが楽しい」と話す店主の遠山佐知子さん。西陣の糸の染工場を改装した店内に並ぶのは、古伊万里の器を中心に、大正時代のグラス、愛らしい絵付けの漆器など、普段の生活にすぐ取り入れられそうなものばかり。時代は幕末ごろのものがいちばん多いという。「かわいらしいデザインのものが好き」という女性らしいセレクトに、目移り必至だ。奥のコーナーには、李朝や高麗青磁、新石器時代のアンダーソン土器まで、貴重なものが並ぶが、いずれも良心的な価格がうれしい。
白壁のすっきりした空間に、江戸後期から幕末、明治、大正時代の器を整然とディスプレイ。
藍色の絵付けが美しい染付の器は¥1,000〜。数が揃っているものが多いのも魅力のひとつ。
季節の草花もあちこちにセンスよく飾られて。江戸中期の古伊万里白磁徳利¥8,000、江戸後期の古伊万里瑠璃釉向付6客セット¥45,000
奥のコーナーに置かれた高麗青磁¥10,000〜、床のアンダーソン土器¥12,000
「3.11をきっかけに、自分の手の届く範囲のことをきちんとしたくて店を始めました。古いものを通して先人の手触りを感じてほしい」と遠山さん。
店主のお気に入り① 幕末時代、古伊万里染付雁木茶碗¥3,500。「飯碗ぽくないシュッとした形と、中国風の雁木模様の配し方がモダンで面白い」
店主のお気に入り② 三浦竹軒の茶碗5客セット¥10,000。「近代の京都には面白い焼き物が多く、これは一力茶屋が京焼きの名工・三浦竹軒に作らせたもの。一力に縁の深い大石内蔵助の家紋の右二つ巴紋が描かれています」
入り口で迎えてくれたのは俵持ち童子の庄内土人形。大正頃のもので¥2,500、アイアンバスケット¥2,000
クロスリズム
Cross Rhythm
京都市上京区社横町301
TEL:075-203-4830
営)11時〜18時
休)火〜金
カード:Amex、Master、Visa
https://crossrhythm.net
〉〉〉古今東西の照明の世界へ。
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アルセ
デザインが好きでインテリア業界で働いていた有瀬肇さん。照明愛が高じて、ヨーロッパのヴィンテージランプを中心に扱う古道具の店を開いたのは、2018年5月のこと。天井から吊るされたペンダントランプ、壁やハシゴに取り付けられたシザーランプ、テーブルにはデスクライトなど、店内のあちこちに選び抜かれた古今東西の照明が置かれている。ドイツのラーデマッハー、フランスのグラなどの名品に混じって、なかには帽子の芯やランプのほやをアレンジしたオリジナルの照明も。「デザインオタクだけど、かっこつけすぎるのは好きじゃない」という有瀬さんが集めた雑貨たちも、味わいのあるユニークなものが揃う。
ガレージを改装した空間にさまざまなタイプの照明が並ぶ。価格は¥10,000〜。
人気が高いというペンダントランプは、品揃えも充実。
資生堂のノベルティのポットや琺瑯の皿など、有名無名の道具も混じり合う。
バウハウスの流れを汲むドイツ・カンデムのデスクランプは1920年代のもの。¥48,000〜
電気工事士の資格をもつ有瀬さん。古い照明もメンテナンスが行き届いている。空間に合わせた照明のコーディネートの相談にものってくれるそう。
店主のお気に入り① ツァイス・イコンのスタジオランプ¥39,000。「カメラメーカーが作った1940年代のもので、床や棚に置いたり、いろいろな使い方ができます」
店主のお気に入り② 古いアルミの弁当箱¥3,000。「ジャスパー・モリソンや深澤直人が言うところの“スーパー・ノーマル”。きれいな丸みのデザインがいい」
場所は相国寺の北側の住宅街。木の扉と窓枠は友人の木工職人「木印」のもの。
アルセ
Aruse
京都市上京区相国寺門前町699
TEL:090-1152-5203
営)13時〜19時
休)日〜水
カード不可
https://aruse.amebaownd.com
〉〉〉大文字を望むビル4階の隠れ家。
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民の物
河原町丸太町の交差点を北上し、ビルの細い階段を上って4階まで。扉の向こうに待っているのは、窓の向こうの東山の眺望と、色も形も素材もバラバラながら不思議と調和のとれた古い道具たち。店主は、小学生の頃から古いものが好きで、北野天満宮の骨董市で古着を買っていたという丹波豊さん。「素材感や色のあるものが好き。背景のイメージが湧いたり、使う人の顔が思い浮かぶものを選ぶことが多いです」。買い付けは年に2回、オランダや東欧を中心に周っている。オランダの白い皿やイギリスのシルバーのカトラリーなど、いまはヨーロッパのものが中心だけど、これからアジアのものを増やしていくそう。
古いビルの最上階にあり、東山の見晴らしは抜群。店内には一見バラバラのものが並んでいるが、不思議とすべてが心地よく調和している。
丹波さんが好きだというアンティークのガラスやカトラリーが多く並ぶ。値札シールの跡がつかないよう価格の記載のないものもあるが、気軽に確認を。
1800年代後半のルーマニアのジャグ¥13,000、日本の魚を獲る仕掛けのためのガラス¥9,000、1950年代のドイツの数を数える赤いおもちゃ¥5,000など、バラバラなものが仲良く同居。
白い皿はオランダのマーストリヒトのもの。上の1800年代後半の楕円形の皿¥15,000、左手前の1900年代前半の丸皿¥3,200、フランスのスプーン¥2,200、オランダのフォーク¥2,500〜
古着や音楽を経て、20代からモノへの興味が強くなったという丹波さん。店名は、人の手から手へ受け継がれてきた古いものを扱うことから。
店主のお気に入り① 左から、1800年代のフランスの保存容器¥15,000、1800年代のドイツのストーンウェア¥7,500、1800年代のフランスのカフェオレボウル¥7,500「経年変化で生まれた風合いに魅力を感じます」
店主のお気に入り② 左から、オランダの香炉¥6,500、1800年代のオランダのピューター各¥3,800、1800年代のアフリカの真鍮の容器¥12,000、日本の銅の容器¥6,000「時代も国もバラバラながら、同じような佇まいのものが並んでいる様も好きです」
河原町丸太町交差点から約3分ほど北上したパーキング手前のビルの4階。木の看板を目印に。
民の物
Taminomo
京都市上京区河原町丸太町上ル出水町253 春日ビル4F
TEL:なし
営)12時〜19時
休)水〜金
カード不可
www.instagram.com/_tami_no_mono_/
photos:SADAHO NAITO, réalisation:NATSUKO KONAGAYA