高台寺 十牛庵
高台寺の高台に建つ「高台寺 十牛庵」は、国内外で多くのレストランやホテルを手がける「ひらまつ」による初の料亭。約2000坪の広大な敷地に、1908年(明治41年)に両替商の別荘として数寄屋造りの名工・上坂浅次郎と北村捨次郎が建てた館と、近代を代表する作庭家・7代目小川治兵衛の庭園が広がる。亭主兼料理長に迎えられたのは、京都の名店で長年研鑽を積んだ藤原誠さん。季節や祭事を盛り込んだ心づくしの丁寧な料理を、名建築の中で美しい庭園を眺めながらいただけるなんて、なんという贅沢! 2階には八坂の塔や京都の町並みが眺められる部屋もある。館内に飾られた酒井抱一や棟方志功などの美術品も眼福だ。
風格漂う門構えに期待が高まるアプローチ。館を丁寧に蘇らせたのは、現代の名工として名高い数寄屋建築の匠・中村外二工務店。
紅葉を主体とした主庭は、斜面に滝石組が組まれて風情たっぷり。橋杭型の手水鉢に流れる水音にも癒される。今後、客が回遊できるように整備予定だそう。
主庭を正面に望む広間は、欄間の桐紋から「桐の間」と呼ばれる。
料理は昼¥16,200〜、夜¥21,600〜の会席コース。先付けのうすい豆のすり流し ホワイトアスパラガス ホタテの貝柱 生ウニ。器はバカラのアンティーク。
八寸はタイ寿司のちまき、柏の葉で包んだ穴子寿司、タケノコの木の実味噌和え、車エビ、厚焼き玉子の盛り合わせ。季節感あふれるあしらいが目に楽しい。
亭主兼料理長の藤原さん。「座敷のお料理は華やかな演出を心がけていますが、庭で季節感を楽しんでもらえるので、計算しながら盛りつけています」
立派な梅の床柱が入った「梅の間」には、立派な舞台が備わる。ここで芸舞妓の芸が披露されることも。右手奥の庭には近頃新しく完成した茶室がある。
2階の「杉の間」は、フィン・ユールの椅子が置かれた洋風のしつらえ。窓の外には八坂の塔。予約の際、部屋のリクエストはできないが、希望は伝えられる。
高台寺 十牛庵
Kodaiji Jugyuan
京都府京都市東山区高台寺桝屋町353
tel:075-533-6060
営)11時30分〜12時30分L.O.、17時30分〜19時30分L.O.
休)月
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA
https://jugyuan.jp/
〉〉〉7代目小川治兵衛の庭を散策できる料理旅館。
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南禅寺参道 菊水
明治以降、財界の著名人や京都の旦那衆がこぞって別荘を建て、稀代の作庭家、植治こと7代目小川治兵衛に庭を作らせた南禅寺界隈。2018年6月にリニューアルした料理旅館「南禅寺 菊水」の歴史も、元呉服商の別荘に遡り、約820坪の敷地では植治が手がけた池泉回遊式庭園が楽しめる。庭の中心では樹齢200年を超える赤松が存在感を放ち、しだれ桜や杜若などが季節ごとに彩りを添える。ランチでいただけるのは、ミシュラン3つ星を獲得する「日本料理 柏屋」監修の湯豆腐コース、懐石コースと、京都近郊の旬の食材を使った「京の洋食」セット。近頃スタートしたばかりの1日5組限定のアフタヌーンティーも要チェックだ。
人通りの多い南禅寺参道から細い脇道を入れば、一気に静かな雰囲気に。暖簾をくぐって玄関までのアプローチにも京都らしい風情が満ちている。
庭に面したダイニングでは、開放的な窓から庭を一望できる。
グラタンやカツレツなど5種類揃う洋食メニューには、和洋折衷の技法で調理された箱盛り前菜、季節野菜のスープ、吉田パンのパン、ミニャルディーズ、食後のドリンクがセットで付く。写真は「但馬牛のハンバーグ」¥4,536
天気がよければ、風や光を感じながら外での食事も気持ちがいい。
鳥のさえずりを聞きながら庭を散策。桃山時代の燈篭など希少な遺物も見られる。
庭には3つの離れが点在し、プライベートな食事も可能。こちらは元茶室の「やなぎ」
悠々と池を泳ぐ鯉の朱色と青紅葉のコントラストがハッとするほど美しい。
わずか5つの客室は伝統的な数寄屋建築を大切に残しながら、モダンに改装。
南禅寺参道 菊水
Nanzenji Sando Kikusui
京都市左京区南禅寺福地町31
tel:075-771-4101
営)ランチ:11時30分〜14時L.O.、アフタヌーンティー(完全予約制):14時30分〜17時、ディナー:17時30分〜20時L.O.
無休
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA
https://kyoto-kikusui.com
〉〉〉嵐山の人混みを避けて、優雅なティータイム
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茶寮 八翠
観光の名所として、1年を通してたくさんの人で賑わう嵐山。風光明媚な景色をゆっくり眺めたい……。そんな時に訪れたいのが、「翠嵐 ラグジュアリーコレクション ホテル京都」の敷地内にある「茶寮 八翠」だ。嵐山の山々や桂川が目前という絶好のロケーションで、軽食や甘味を楽しめる。とりわけ人気が、2015年の開業後にスタートした「和のアフタヌーンティー」。現在は、京都の老舗和菓子屋とタッグを組んで、2か月ごとにメニューを入れ替え。フレンチの技法を使った和の惣菜と、老舗の和菓子は、それぞれ季節感があふれて美しい。観光地の混雑や日常の煩わしさから離れ、静かな時間に身を浸せるはず。
「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」は2015年3月に開業。マリオット・インターナショナルが展開する中でも最高級カテゴリーのブランド。
1910年に建てられた歴史的建造物「八賞軒」を改築。見事な茅葺き屋根は、2018年1月に京都・美山の職人によって葺き替えられたばかりで清々しい。
テーブルやソファをゆったり配した和モダンな空間。テラスには12席を用意。
テラス席からはこの眺め。遠くの方に見えるのが渡月橋。
「和のアフタヌーンティー」¥4,536。4月末までは鶴屋吉信と、5〜6月は老松とコラボレート。和菓子は和と洋の融合、オリジナル菓子、代表銘菓の3つが用意される。前日までの要予約で11時〜、13時〜、15時〜の3部制。
「和のアフタヌーンティー」の紅茶は、9種類から香りを嗅いで選べる。
店内には、桜、新緑など嵐山の8つの景色を詠んだ詩の扁額が掲げられている。
緩やかな流れの桂川。これから新緑の季節は山と川の緑のコントラストが美しい。
茶寮 八翠
Saryo Hassui
京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町12
翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都内
tel:075-872-1222
営)11時〜17時
無休
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA
www.suihotels.com/suiran-kyoto/restaurant/cafe-hassui/
photos:SADAHO NAITO, réalisation:NATSUKO KONAGAYA