ルーラ
オープン前から話題を呼び、7月に待望の店開きを果たしたのがこちら。シェフやソムリエ、ミクソロジストとしてそれぞれ世界各地で経験を積んだ3人が、京都から世界に挑戦したいと始動させたレストランだ。コペンハーゲンの「ノーマ」でも経験を積んだシェフが織りなす料理は、薪火を使った原始的な調理を軸に、発酵や燻製で奥行きを添えたもの。ピザ窯で皮ごと真っ黒になるまで焼いて賀茂茄子の凝縮した甘みを出したり、京都の定番素材の湯葉には発酵トマトのスープを合わせるなど、素材の旨味を最大限に引き出す技や斬新なアプローチがコースのあちこちに。一杯一杯に工夫を凝らした、料理に寄り添うドリンクペアリングにも注目!
地下鉄東山駅から徒歩1分の、築130年の町家を大リノベーション。キルン(窯)とピザ窯を備えたオープンキッチンを囲むL字カウンター12席で、一斉にコースをスタートする。店名の「LURRA」はバスク語で地球の意、「°」は地球の周りを回る月を表し、世界でここ以外にはないというルーラの座標を示しているそう。
現在料理10品とドリンクペアリング5種で¥21,240(税サ込)が、10月1日より食前酒と食後酒が加わったペアリングコースに価格改定予定。「海苔のトスターダ、野母んあじと白昆布」は、海苔を揚げたチップスにアジのタルタルをのせ、麹のヴィネグレットや柚子のソースで、酸味と塩味を効かせた前菜。
「天然スズキ、白アスパラガスとキャビア」は、朝に獲れた新鮮なスズキをキルンの熾火(おきび)で、皮はパリッ、身はふっくらと焼き上げ、白アスパラガスの塩漬けのソースとキルンで焼いた丹波黒枝豆を添えたもの。アルコールのペアリングは島根・王祿酒造のにごり酒「溪」。木の器は北海道の内田悠の作品。
コースの内容は旬の食材とともにゆるやかに入れ替わるが、締めの定番として必ず登場するのが「焼きおにぎり茶漬け」。具材は季節で変わり、いまはキルンで1日燻した穴子の佃煮と木の芽の組み合わせ。穴子の頭や骨、カツオでとった味わい深い出汁をかけて。アルコールのペアリングは、ホップ感が特徴の京都醸造のクラフトビール「一意専心」。漆の器は輪島キリモトの8代目の作。
食後のデザートは「irori(イロリ)」と呼ばれるセンの木のテーブルに移動していただく。レストランをただ食事する場所ではなく、カルチャーが行き交う場所と捉えるルーラでは、ゲスト同士の交流や時間の共有も重要な食体験の一部になる。
キッチンの棚には発酵食品や塩漬けの瓶が。白アスパラガスや清水白桃の塩漬けやローズヒップのピクルスなど、料理に深みをもたらす重要なアイテム。
素材はすべて自分たちで大原や近郊の自然へ足を運び、厳選している。店内に飾られたドライフラワーは、シェフが大原で摘んだ草花で作ったものだそう。
左から、ゼネラルマネージャーの宮下拓己さん28歳、シェフのジェイカブ・キアさん37歳、ミクソロジストの堺部雄介さん28歳という若いオーナー陣。「場所を京都に決めたのは、伝統と革新、そして自然が調和している街だから」と語る。
ルーラ
LURRA°
京都市東山区石泉院町396
tel:050-3196-1433
営)17時30分〜23時30分
(17時30分からと20時30分からの一斉スタートのみ)
休)日、月
※HPより要予約
www.lurrakyoto.com
〉〉日々を豊かにしてくれる、器とお茶のお店。
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エッセンス キョウト
2018年11月にオープンした、日本の手仕事から生まれる器とシングルオリジンのお茶を扱うギャラリー。オーナーは、海外で飲食店などを経営していた荒谷啓一さんと、フランスのお茶専門店の東京本部に長年勤めた里恵さん夫婦。大きな窓から琵琶湖疏水を見渡せる気持ちのいい空間に、人気作家から若手まで、シンプルで佇まいの美しい作品が並ぶ。「器好きの人だけでなく、若い人や海外の人にも、実際に使って質のよさを実感してほしいので、どんなライフスタイルにも取り入れやすいものを選んでいます」と啓一さん。信頼する茶商から仕入れる茶葉は8種を販売。器とお茶、日々を豊かにしてくれる出合いがあるはず。
啓一さんがデザインした空間は、グレーのグラデーションがモダンで洗練された印象。窓の外には春は桜、夏は新緑、秋は紅葉が広がる。取り扱う約15人の作家の作品は、土肌や木目など質感があり、落ち着いた色合いのものが多い。
オーナーの啓一さんと里恵さん。ロゴマーク的な六角形は、エッセンス(本質)の結晶を表しており、「ふたりとものんびりだから、亀甲の形もかけて」と微笑む。
4月には輪島の塗師、赤木明登の個展が開催された。深みのある赤と黒の色合いで、漆の温もりを手に感じる、ぐい呑みやお椀、パン皿などが棚に並ぶ。
高知の山間で作陶する小野哲平の作品。薪窯六寸皿¥10,800など。
兵庫出身の木工作家、北山栄太。ザクロで染めて、ガラスコーティングしたリムプレート八寸、フォーク(スプーンとセットで)各¥15,120
前職でフランスに日本茶の提案をしていたこともあり、日本茶に造詣が深く、生産地と繋がりをもつ里恵さん。カウンターで試飲用のお茶を淹れてくれる。
日本茶の多くはブレンドされたものだが、ここで扱うシングルオリジンとは単一農園、単一品種で作られる希少なもので、香りや味わいの違いを楽しめる。毎年、状態のよい茶葉を厳選し、現在は鹿児島の「あさのか」など無農薬の煎茶4種と紅茶1種、その他ほうじ茶などを展開。
エッセンス キョウト
essence kyoto
京都市左京区岡崎円勝寺町36-1 2F
tel:075-744-0680
営)11時〜19時
休)月、ほか不定休あり
www.essencekyoto.com
〉〉実力派ショコラティエによる人気店。
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ショコラトリー・ヒサシ
クラブハリエに15年間勤め、世界大会でも数々の受賞歴を持つ小野林範(ひさし)さんが、2018年4月に開いたショコラトリー。すでに、今年初めて迎えたバレンタインデー前後には連日行列だったほどの人気店だ。三条通り沿いのゆったりした店内に並ぶのは、20種以上のボンボンショコラや、旬の食材を使ったフレッシュケーキに、フィナンシェやサブレといった焼き菓子。「チョコレートをより身近に感じてもらいたい」とクオリティの高いパティスリーを創り出すシェフ。チョコレートを使ったものがメインで、なかには抹茶や日本酒のボンボンショコラや、チョコレートクリームの最中など、京土産にぴったりのものも。
ゆったり落ち着いた雰囲気の店内。右手がボンボンショコラ、左手がフレッシュケーキのショーケース。フレッシュケーキは昼過ぎに売り切れになることも。
海外での講師依頼も多数という小野林シェフ。「産地を訪れて生産者の方と情報交換したり、素材としっかり向き合っていきたい」と語る。
ボンボンショコラはプラリネ系を得意としながら、甘酒、山葵、スモークなど、オリジナリティが光るラインナップ。詰め合わせ4個¥1,425〜。
風味や食感の組み合わせが絶妙なフレッシュケーキは、チョコレート系のほか、抹茶やフルーツを使ったものも。店内の喫茶スペースでできたてを味わいたい。
2015年に世界大会に出場した際の「コングステンス」¥648。カカオの産地からこだわって作ったオリジナルチョコレート「ガイア71」を使ったシブーストショコラと柚子香る洋梨のコンポートをパイ生地に合わせたもの。コーヒー¥540。
カカオの実の形をしたしっとりフィナンシェや、マカダミアナッツの食感が特徴のブラウニーなど、焼き菓子も豊富。黒豆やほうじ茶など、京都らしい味も揃う。
通年で販売するソフトクリーム¥540もぜひお試しを。「ガイア71」をたっぷり使用した濃厚な味わい。プラス¥108でボンボンショコラをひとつトッピングできる。
ショコラトリー・ヒサシ
Chocolaterie Hisashi
京都市東山区夷町166-16
tel:075-744-0310
営)11時〜18時30分(喫茶スペース18時L.O.)
休)月、火(時期によっては営業)
www.chocolaterie-hisashi-kyoto.com
※この記事に掲載している商品・サービスの価格は、2019年8月時点の8%の消費税を含んだ価格です。