例年より早い秋の訪れを感じながらも、日中は蒸し暑さが残る初秋の京都。観光や街歩きの合間のティータイムにいまオススメなのが、今春以降に次々とオープンした老舗が手がけるカフェ。京都を代表する名店らしい風格や情緒とフレッシュさが入り交じる空間で、夏の名残に冷たいデザートをいただいて。
無碍山房 Salon de Muge
1912年創業の京都を代表する老舗料亭「菊乃井」が、今年4月、本店のすぐそばにオープンした茶房。お昼は名物の時雨弁当が2部制で、その後は喫茶や甘味を楽しめる。できたて本わらび餅、タルトタタン、今月の菊乃井本店のデザートなど、気になるメニューが目白押しながら、まず試してほしいのが抹茶パフェ。最高級の宇治茶を贅沢に使った抹茶アイスや抹茶ゼリーの濃厚な風味。そこに白玉や小豆、カステラがバランスよく散らされ、その完成度の高さはさすが料亭クオリティ。瞬く間に完食してしまう美味しさだ。苔が美しい庭を眺めながらゆったりとした時間を過ごせる、大人の旅人に訪れてほしい空間。
菊乃井本店のすぐ手前に、山房をイメージして造られた一軒家。
入ってすぐがカウンター席。京都の作家に特注した織部焼のタイルが印象的。
カウンター席からは庭を正面に望める。料理長の村田吉弘氏がいちから庭師と相談して造った庭が、春は桜、秋は紅葉と四季折々の表情を見せてくれる。
奥にはテーブル席を用意。数寄屋建築で名高い中村外二工務店によるモダンな空間に、季節の花や現代作家のアート作品が彩りを添える。
名前のとおり上品で濃厚な抹茶の風味を存分に楽しめる。カステラはユズとショウガの2種類が日替わりで。「無碍山房濃い抹茶パフェ」¥1,300。9月下旬には、キャラメルと栗のアイス、秋の果物をたっぷり使った限定パフェが登場。
入り口には菊乃井がプロデュースする食品も並び、京都土産にもぴったり。
無碍山房 Salon de Muge
むげさんぼう サロン・ド・ムゲ
京都市東山区下河原通高台寺北門前鷲尾町524
tel:075-561-0015(予約) 075-744-6260(問い合わせ)
営)時雨弁当 1回目11時〜12時30分、2回目13時〜14時30分 喫茶14時45分〜17時までの入店
不定休
カード:Amex、Diners、JCB、Master、VISA
〉〉レトロな洋風建築の奥に誕生した、和モダンなカフェ。
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村上開新堂
1907年に西洋菓子舗として創業した村上開新堂。寺町二条に静かに佇む洋風建築の奥に、今春、カフェが誕生して話題に。住居として使われていた築90年の日本家屋をリノベートした空間に、北欧のヴィンテージ家具やルイスポールセンの照明を配置。懐かしさとモダンさが入り混じり、落ち着いた雰囲気を漂わせる。ここでは、夏のデザートの代表であるオレンジゼリーを。初代が考案した冬季限定のみかんゼリー「好事福盧(こうずふくろ)」のアレンジで、サンキストオレンジを使った瑞々しい香りとほどよい酸味が特徴。ほかには、カフェ限定のほうじ茶のシフォンケーキ、フォンダンショコラなどがいただける。
昭和初期の建物で、表が洋風、奥が日本建築というのは、当時珍しく、贅沢な造りだったという。坪庭を眺めながら、静かなひと時を過ごせるのが嬉しい。
半個室のスペースには和紙が張り巡らされ、あたたかみあふれる空間に。
カフェの中央に鎮座するのが、この存在感大の錫のカウンター。
茶室として使われていた部屋には、聚楽壁やアーチ窓に創業当時の面影が残る。
池波正太郎も愛した「好事福盧」を、手に入れやすいサンキストオレンジでアレンジした夏季限定の一品。「オレンジゼリー」¥562(5〜9月限定商品)
カーブを描くショーウィンドーや大理石の柱など、創業当時の姿を残した店内。昔ながらのロシアケーキや当代考案のマドレーヌ、プリンなどが並ぶ。
村上開新堂
むらかみかいしんどう
京都市中京区寺町通二条上ル東側常盤木町62
営)10時〜17時(16時30分L.O.) *2017年9月のみ11時〜17時
休)日、祝、第3月
カード不可
〉〉街の真ん中に、人気甘味処の新しいカフェが登場。
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甘党茶屋 梅園 寺町三条店
みたらし団子で有名な「甘党茶屋 梅園」が、寺町三条という好立地に5店舗目となる新しいカフェを展開。昭和ムードたっぷりだったレトロな洋食屋を大改装し、7月に誕生したばかりながら、アクセスのよさでたちまち行列のできる人気店に。広々とした店内には、磨りガラスや洋食屋で使われていたものを再利用したソファが配され、やはりノスタルジックな雰囲気。みたらし団子と並んで人気が高いかき氷は、いろいろトッピングがオススメ。すっと口中で溶けるやわらかな氷とできたての白玉、わらび餅の食感のコントラストを楽しんで。9月下旬には新作の餅どら焼き「あんの花束」が入る限定メニューも登場予定。
地元の人にも観光客にもアクセス便利な寺町三条の角に、7月12日にオープン。
天井が高く、ゆったりした造り。メニューは、人気甘味をセットにした「寺町点心」のほか、みたらし団子、ぜんざいなどの梅園の定番メニューが揃う。
2階にもテーブル席、カウンター席が。2フロアで40席以上のキャパシティ。
漆喰の壁と木を基調とした落ち着いた空間で、街歩きの休憩にぴったり。
黒糖の上品な甘さと口どけのよい氷が好相性。「黒糖白玉+黒糖わらび餅」¥980
入り口に飾られたショーケース。ふとこちらに誘われて扉を押す人も多そう。
甘党茶屋 梅園 寺町三条店
あまとうぢゃや うめぞの てらまちさんじょうてん
京都市中京区天性寺前町526
営)10時30分〜19時30分(19時20分L.O.)
不定休
カード不可
photos:SADAHO NAITO, réalisation:NATSUKO KONAGAYA