MUSIC SKETCHのプレイリストで日々の生活に潤いを♪ ⑤
Music Sketch 2018.05.03
新緑のシーズンを迎えましたが、皆さまいかがお過ごしですか? 今年は例年より桜、そしてネモフィラの満開も早かったように、あっという間に暑い夏がやってきそうな気配ですね。
SpotifyはPremium会員でないとシャッフルプレイになるので、その場合はどのような聞こえ方になるかは“神のみぞ知る”なのですが、新曲ばかりを毎回集めたMUSIC SKETCHのフレッシュなプレイリストで、少しでも素敵な時間を過ごしていただけたら嬉しいです。
■ 4月はジャズ系のナンバーを増やしてみました。
4月はジャズテイストの曲を多めに入れています。201804 Vol.1のオープニング曲、Black Beat Movementの「W・O・R・L・D(feat. KG MAN)」のサビの女性ヴォーカル部分、何かに似ていると思ったら、R&Bとロックをミックスした歌が得意だったRESの歌「They Say Vision」(2001年)を思い出しました。来日時にはフィガロジャポン本誌でも取材したことがあります。やはり好きなサウンドやメロディは幾つになっても変わらないものですね。
軽快な「LOST IN PARIS」が心地よいトム・ミッシュは、ここのところよくプレイリストに入れているお気に入りで、ロンドン生まれの22歳。音楽好きな父親の影響で幼少時からオペラやクラシックコンサートを鑑賞し、4歳からはバイオリンを習い、その後は聖歌隊に入ったり、独学でギターをマスターしたりして音楽漬けの生活に。極め付けは15歳の時にJ・ディラの音楽と出合い、高校時代はひたすらビートメイキングに夢中になったそう。デビュー・アルバム『GEOGRAPHY』では既にコラボ経験のあるロンドンの新進気鋭のラッパー、ロイル・カーナーや、デ・ラ・ソウルとも共演。イギリスでは音楽のタイプは違うものの、ジェイムス・ブレイクやジェイミー・xxに続く逸材と言われるほどで、サマーソニック2018への出演が早くも決まっています。
トム・ミッシュ。ジェイムス・ブレイクに続く逸材として期待されている。Photo:Charlie Cummings
一方、アメリカ発の新世代ジャズからは、その象徴であるカマシ・ワシントンの新曲「Fists of Fury」を。6月22日に発売される大作『Heaven & Earth』からEarth Sideのオープニングナンバーです。カマシ・ワシントンもサマーソニック2018に出演、そのほか、東京はビルボード・ライヴで大阪はビッグ・キャットでの単独公演も決まっています。
このプレイリストのトリを務めるのはジャック・ホワイトが歌う「Humoresque」。全体に緩やかに聴いていただけるのではないでしょうか。
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■ 201804 Vol.2は休日を意識し、ゆったりしたナンバーが多め
201804 Vol.2はゴールデンウィークということを意識して、前半は休日のブランチに似合うようなナンバーから。ジャネール・モネイのアルバム『DIRTY COMPUTER』はとても凝ったコンセプチュアルなアルバムで、ここからの選曲も多く、4月だけでも3曲セレクト。昼間に聴くと刺激的な歌詞も含まれているかもしれません。女優としてもシンガーとしても見事な才能を放っているモネイについては、いつかきちんと書きたいと思っています。
スフィアン・スティーヴンスの「Mystery of Love」は映画『君の名前で僕を呼んで』のサウンドトラックから。この曲が流れるだけで、一瞬にして空気感が変わるような気がしてしまうのは、映画の残像が脳裏に残っているからでしょうか。
アリアナ・グランデの「No Tears Left To Cry」は、昨年5月に彼女がコンサートを行っていたイギリスのマンチェスター・アリーナでの爆破事件以来の新曲。事件を暗示したような歌詞になっていて、“もう流す涙はないから、元気を出していこう”と、強い気持ちをメッセージとして込めたナンバー。気持ちが引き締まります。その曲の発売日4月20日に、自ら命を絶ってしまったのが天才肌のDJアヴィーチー。虫の知らせのように早朝に目が覚めたら、NPRのニュースがiPhoneに届いていました。彼の「Lonely Together」を続けて収録しています。
Yaffleは小袋成彬と共にTokyo Recordingsを主宰するソングライター/プロデューサーの小島裕規のプロジェクト。Primaryは何度か既に登場している韓国のミュージシャンで、H.E.R.はアメリカのカリフォルニア出身の20歳のシンガー・ソングライター。jan and naomiは、GREAT 3のベーシストのヤンと天性の美声を持つナオミによるプロジェクト。2人は映画『AMY SAID エイミー・セッド』(2017年)の音楽を手掛けたほか、モデルとしても活躍。最新アルバム『Fracture』は深夜に聴き始めると眠るのが惜しくなるほど、甘美な毒を含んだ心地よい音楽で包み込んでくれます。
繊細で中性的な声が魅力のヘンリー・グリーンは、マッシヴ・アタックやポーティスヘッドを輩出したイギリス西部ブリストル出身の22歳。フォー・テット、ボン・イヴェール、ジョン・ホプキンス、坂本龍一などの音楽を好むそう。この「Contra」を収録したデビュー・アルバム『Sift』は、旧東ベルリン時代に放送局や音楽スタジオとして建てられた歴史的建築物“ファンクハウス”でレコーディング。残響や音響効果などが素晴らしいことで知られ、この1曲を聴くだけでも深淵な空間に迷い込みそうです。
ヘンリー・グリーン。楽曲に空間や静寂、雰囲気といったものを音楽に含有したかったそう。
アルバム『Sift』。私がライナーノーツを書いたので、興味のある方はチェックしてみてください。
全曲を解説するスペースはないですが、どの曲もこだわって選んだので、1曲でも繰り返し聴きたくなるお気に入りの音楽が見つかることを願っています。
アーカイヴはこちらに入っています。
*To Be Continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
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