虚弱。というガールズバンドが凄い!③
Music Sketch 2012.07.11
曲作りでいえば、「egoist」はギター、ベース、ドラムスの3人で組み立てた上に、キーボードを乗せていったという。
壷内「ツイッターで、エゴサーチをかけて自分の作品に対する感想がどう出ているか見る人も多いと思うんですよ。当然、賛否の意見がありますよね。で、悪い意見に関してリツイートした後、その意見に噛み付くような意見を言った人がいて、それに対して批判的な意見を書いた人はまさか本人に噛み付かれると思ってなかったので、そこで喧嘩が起こった時があって。私はそもそも批評をひとつひとつ全てリツイートする行動に疑問を抱いていたんですけど、その喧嘩を見て、本当にみんなエゴで行動しているなって。で、こういうのがすごく嫌だなって思いつつも、冷静に見ている自分もいるっていうようなシチュエーションから作りました」
新井「"正々堂々と文句言えよ"とか言ってるくせに、主役は言わないみたいなわけ分からないみたいな」
壷内「この曲に関してはイメージよりも感情ありきで作ったと思っていて、そういうエゴのぶつかり合いに対するわだかまりみたいな消化されない嫌な気持ちみたいなものを、曲で一気に消化させる気持ちで作ったと思います」
まにょ「皆が同じ方向に向かうと、やっぱり自然と曲もついてくるというか」
壷内「うまく、部分部分でお互いが出るような曲になったなって思いましたね」
新井「ピアノがないと、ELLEGARDENとかストレイテナーみたいな感じで(笑)」
海野「渡された段階で、この3人で完成されているところがあったので、それでピアノを乗せて3人が思っているのとは違ってきても困るので、キャッチーとはなんぞやみたいな感じで考えましたね。ピアノは別にあまり怒りとかイライラみたいなのは反映されてないと思うんですけど、どの曲を作る時もそうなんですけど、結構この3人が持ってくるフレーズとかが感情的で、それがもちろんすごく好きなんですけどそのままだと、ね、違う方向に飛んでっちゃうから、ピアノで上手く・・・」
新井「多分性格的な問題で、もし海ちゃんがベースで私がピアノだったら、すごく感情的なピアノで、海ちゃんは支えるベースになっていたと思うんですけど(笑)。逆にピアノの人が冷静すぎるのがいいのかなと。こっちがとっ散らかしたエモすぎるのを、海ちゃんは軌道修正する役目が多いですね」
『孤高の画壇』には「saying his prayers」という楽曲も収録されていて、これはこの7月4日にdisk unionで限定発売されたシングル『独裁者の孤独』のアンサーソングという。この「独裁者の孤独」は、元ネタがアニメ『コードギアス』からという、ストーリー性のある楽曲。アルバム制作時に曲はできていたものの、自分たちが演奏するには未だ難しくて収録せず、そのため「saying his prayers」を、「独裁者が、今まで自分が何のために悪を演じてきたのかを、大切な1人である妹だけに死ぬ直前に理解してもらえた、その気持ちを歌った曲」(壷内)として収録。この曲はテンポ(bpm)がなかなか決まらなかったそうで、ライヴをしながらさらに変化を遂げているように感じる。
アルバムの最後に収録された「affection」は、異色のボーカロイド作品(ボーカロイドとは、日本発信の画期的なジャンルとして、特に5、6年前から音楽シーンを席巻。本来はリアルな歌声を合成できるソフトウェアから派生していて、ソフトにメロディと歌詞を入力することで、サンプリングされた人の声を元に歌を合成することができる。初音ミクが有名)。ヴォーカルのいないバンドとはいえ、「歌ものもやってみたい」と斬新にもボーカロイドを取入れた楽曲で、思っていた以上に虚弱。の世界観にマッチしている。こう書くと、アニメ好きで、かつニコニコ動画世代ならではの着眼点が見事だけれど、といってアニメなどを知らないと虚弱。の音楽を理解できないということは全くない。その体感の仕方はリスナー次第だし、現に海野さんはアニメを見ないという。
壷内「あまり具体的すぎるイメージはいつも作らず、ぼんやりとした物語やテーマを自分たちのなかで決めて、曲や曲名に昇華させます。イメージは聴き手に委ねたいのもありますが、自分のなかでもあまり具体的には設定を決めてなかったりしますね」
シングル『独裁者の孤独』のカップリングには、虚弱。の中で一番最近にできた曲「contraception」が収録され、アナログ盤にはDJサオリリスのリミックスも収録。常に進化している虚弱。を知ることができる限定盤になっている。
常に新しいことを試みていく姿勢も評価されるべき。ぜひCDもライヴもチェックしてみて。
*To be continued
(左から)新井深雪(ベース)、海野稀美(キーボード他)、壷内佳奈(ギター)、まにょ(ドラムス) Photo:今井美奈
壷内「ツイッターで、エゴサーチをかけて自分の作品に対する感想がどう出ているか見る人も多いと思うんですよ。当然、賛否の意見がありますよね。で、悪い意見に関してリツイートした後、その意見に噛み付くような意見を言った人がいて、それに対して批判的な意見を書いた人はまさか本人に噛み付かれると思ってなかったので、そこで喧嘩が起こった時があって。私はそもそも批評をひとつひとつ全てリツイートする行動に疑問を抱いていたんですけど、その喧嘩を見て、本当にみんなエゴで行動しているなって。で、こういうのがすごく嫌だなって思いつつも、冷静に見ている自分もいるっていうようなシチュエーションから作りました」
新井「"正々堂々と文句言えよ"とか言ってるくせに、主役は言わないみたいなわけ分からないみたいな」
壷内「この曲に関してはイメージよりも感情ありきで作ったと思っていて、そういうエゴのぶつかり合いに対するわだかまりみたいな消化されない嫌な気持ちみたいなものを、曲で一気に消化させる気持ちで作ったと思います」
まにょ「皆が同じ方向に向かうと、やっぱり自然と曲もついてくるというか」
壷内「うまく、部分部分でお互いが出るような曲になったなって思いましたね」
新井「ピアノがないと、ELLEGARDENとかストレイテナーみたいな感じで(笑)」
海野「渡された段階で、この3人で完成されているところがあったので、それでピアノを乗せて3人が思っているのとは違ってきても困るので、キャッチーとはなんぞやみたいな感じで考えましたね。ピアノは別にあまり怒りとかイライラみたいなのは反映されてないと思うんですけど、どの曲を作る時もそうなんですけど、結構この3人が持ってくるフレーズとかが感情的で、それがもちろんすごく好きなんですけどそのままだと、ね、違う方向に飛んでっちゃうから、ピアノで上手く・・・」
新井「多分性格的な問題で、もし海ちゃんがベースで私がピアノだったら、すごく感情的なピアノで、海ちゃんは支えるベースになっていたと思うんですけど(笑)。逆にピアノの人が冷静すぎるのがいいのかなと。こっちがとっ散らかしたエモすぎるのを、海ちゃんは軌道修正する役目が多いですね」
すべて2012年2月3日 下北沢ERA でのライヴより。Photo: Koji Nishida (RAKU-GAKI)
「egoist」のPV。中国人街を舞台にしていますが、あくまでも映像監督のイメージなので、視覚に囚われないでいただきたく。
『孤高の画壇』には「saying his prayers」という楽曲も収録されていて、これはこの7月4日にdisk unionで限定発売されたシングル『独裁者の孤独』のアンサーソングという。この「独裁者の孤独」は、元ネタがアニメ『コードギアス』からという、ストーリー性のある楽曲。アルバム制作時に曲はできていたものの、自分たちが演奏するには未だ難しくて収録せず、そのため「saying his prayers」を、「独裁者が、今まで自分が何のために悪を演じてきたのかを、大切な1人である妹だけに死ぬ直前に理解してもらえた、その気持ちを歌った曲」(壷内)として収録。この曲はテンポ(bpm)がなかなか決まらなかったそうで、ライヴをしながらさらに変化を遂げているように感じる。
アルバムの最後に収録された「affection」は、異色のボーカロイド作品(ボーカロイドとは、日本発信の画期的なジャンルとして、特に5、6年前から音楽シーンを席巻。本来はリアルな歌声を合成できるソフトウェアから派生していて、ソフトにメロディと歌詞を入力することで、サンプリングされた人の声を元に歌を合成することができる。初音ミクが有名)。ヴォーカルのいないバンドとはいえ、「歌ものもやってみたい」と斬新にもボーカロイドを取入れた楽曲で、思っていた以上に虚弱。の世界観にマッチしている。こう書くと、アニメ好きで、かつニコニコ動画世代ならではの着眼点が見事だけれど、といってアニメなどを知らないと虚弱。の音楽を理解できないということは全くない。その体感の仕方はリスナー次第だし、現に海野さんはアニメを見ないという。
壷内「あまり具体的すぎるイメージはいつも作らず、ぼんやりとした物語やテーマを自分たちのなかで決めて、曲や曲名に昇華させます。イメージは聴き手に委ねたいのもありますが、自分のなかでもあまり具体的には設定を決めてなかったりしますね」
この7月4日に全国のdisk unionで限定500枚(500円)で発売されたシングル『独裁者の孤独』。7インチアナログ盤『affection』はタワーレコードやHMVでも購入可能(アナログはmp3用の音源をダウンロードできる仕組みになっているので、アナログプレイヤーを持っていなくても聴ける)。
シングル『独裁者の孤独』のカップリングには、虚弱。の中で一番最近にできた曲「contraception」が収録され、アナログ盤にはDJサオリリスのリミックスも収録。常に進化している虚弱。を知ることができる限定盤になっている。
常に新しいことを試みていく姿勢も評価されるべき。ぜひCDもライヴもチェックしてみて。
虚弱。のHP→ http://kyojaku.com/
最新ライヴは 7月11日(水)渋谷WWW→ http://www-shibuya.jp/index.html
START 19:30 前売り券2,500円 当日券3,000円(共にドリンク代別)
最新ライヴは 7月11日(水)渋谷WWW→ http://www-shibuya.jp/index.html
START 19:30 前売り券2,500円 当日券3,000円(共にドリンク代別)
*To be continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
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