コーネリアス ライヴ@東京都現代美術館

フィガロジャポン(5月20日号)で小山田圭吾さんに取材していた3月末には、5月にメキシコ&アメリカ・ツアーに出発する予定だったのですが、新型インフルエンザの影響でやむなくキャンセル。そこで小山田さんのアイディアで、急遽5月18日に東京都現代美術館内にあるCONTENT Restaurantで、"SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW" UNPLUGGEDが行われることになりました。

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開演直前に到着すると、座席はすでに満席で、スタンディングもいっぱい。レストランで行なうことをすっかり忘れて開演ギリギリに足を運んでしまった私の失敗です。でもなんとか壁際の場所をキープしました。

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会場には、まるでメキシコを演出するかのように、ザ・チャンプスでお馴染みの大ヒット曲「テキーラ」のさまざまなカヴァー・ヴァージョンが流れ、また、1フード&1ドリンク代込みのチケット料金にしていたため、お客さんの誰もが用意されたメキシコ料理やテキーラを味わえるようになっていました。開演前から、陽気な雰囲気に包まれています。
 
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そしてスタート。メンバーもどこかメキシカンをイメージさせる装いで登場。音楽×映像×照明のシンクロナイズの素晴らしさは、既にこれまでのライヴで実証済みですが、今回はアコースティック・ライヴとあって、これまでの寸秒乱れぬ鮮やかなイメージより、柔和なサウンドの響きが強調されて、やや違う印象を覚えます。私の場所から映像は見えにくかったのですが、すべてPVは通常のものを使い、いつもと全く同じ尺(時間)で演奏していたそうです。
                     
私の好きな曲の1つである「WATARIDORI」は、渡り鳥が飛んでいく様子を軽快なギター演奏と影絵を想起させる映像で綴られる作品。エレクトリック・ギターのネックの細さや弦の弾きやすさに比べて、アコースティック・ギターはネックも太いし弦の感触も違うので、どうなるかと思ったのですが、さすがはギタリストとしても評価の高い小山田さん。気持ちよく聴かせていただきました。
 
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会場は300人もの観客で超満員、そして冷房が効いていなかったので、立っているのはやや辛かったのですが、メンバーも楽器をドラムスからフルートに、キーボードからギターに、と、いつものように持ち替えて楽しく演奏していたし、なによりアットホームでなごかやな雰囲気で演奏を聴けたので、誰もが喜んでいたと思います。ライヴの後ではサイン会も行われ、普段なかなかファンの人と会話をする機会のない小山田さんが、にこやかに対応していたのも印象的でした。

コーネリアスこと小山田圭吾さんは、「UNIQLO MARCH」や「UNIQLO TRY」に曲提供していることでも知られ、最近は6月6日にSHIBUYA-AXで行なわれる高橋幸宏さんのライヴにゲスト出演、6月14日にはYOKO ONO PLASTIC ONO BANDと一緒にロンドンにあるロイヤル・フェスティバル・ホールに出演が決定しています。今年1月に恵比寿リキッドルームで行なわれたショー・レノンと本田ゆか、シャーロット・ミュールらが中心になって設立されたレーベル"キメラ・ミュージック"のお披露目ライヴでのコーネリアス・グループ、そしてオノ・ヨーコのライヴ・パフォーマンスも素晴らしかったですが(これは何かの機会に書きたいと思っています)、同様のことがロンドンでも展開されるのかと思うと、こちらも期待感が広がります。

ito_f.jpgCORNELIUS『SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW』

さて、先日発売されたコーネリアスのDVD『sensuous synchronized show』ですが、DISC 2にはオーストラリアのブリスベンにあるQueensland Gallery of Modern Artのオープニング・イベントへの出演をはじめ、ヨーロッパやアメリカ・ツアーの様子も収録されていて、海外でも大評判であることがリアルに伝わる、ついつい一気に見入ってしまう内容です。グラミーのベスト・サラウンド・サウンド・アルバム賞に彼がプロデュースした『Sensurround+B-sides』がノミネートされましたが、ぜひPV集であるDVD『SENSURROUND』と共に、ベックも大絶賛するほどアート性の高いコーネリアスの世界を堪能していただきたいです。私はこのDVDを見た夜、自分が海外ツアーに出て、何故だかアイルランドでライヴをやっている夢を見てしまいました。なんて単純な私......。

PHOTO:棚橋亮

*to be continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
X:@natsumiitoh

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