マドンナ ライヴ@マディソン・スクエア・ガーデン

トム・ヨークの誕生日に行われたレディオヘッド追加公演を諦めてまでNYへ飛んだのは、マドンナのライヴを見るため。今回の"STICKY & SWEET TOUR"でマドンナは来日しない可能性が高いと聞き、速攻で航空チケットやホテルなど押さえてNYへ。私はアルバム取材をしたミュージシャンに関して、そのコンサート・ツアーを見ることで取材が完結すると思っていて、しかもマドンナのようにパフォーマンスを重視するアーティストの場合はなおさら見なくては!思ってしまうわけです。

マドンナの専属シェフの西邨まゆみさんから「マドンナを見るなら、マドンナの大好きなNYかパリがいいんじゃない?」と勧められていたので、10月5日、6日公演を見ることにしました。正確に言うと、5日は知人が行けなくなったということで約4万円のチケットを現地で購入したのですが、これが花道の正面近くで素晴らしく良い席だったのです。ラッキー!

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前回の"Confession Tour"での同会場は、マドンナの衣装を真似たドラッグクイ-ンが開演前に練り歩いていたり、お手製のペアTシャツを着ているゲイ・カップルが多くて眺めていて楽しかったのに、今回の観客のファッションは地味めでした。ショウはどうかというと、前回のように4部構成ではなかったですが、取材時に「キャンディ・ショップへ行くと、いろんなお菓子が楽しめるでしょ?アルバムを聴いた時にも、そういう気持ちを楽しんで貰えるのを願っているわ」と話していたのを思い出したほど、とてもカラフルでバラエティに富んだ内容になっていました。

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新作『ハード・キャンディー』の1曲目「キャンディ・ショップ」からショウはスタートし、全部で20曲やりましたが、1曲ごとにステージ上のものやスクリーンなど、演出が変わる超ド派手な構成。簡単に紹介していくと・・・・・・。ファレル・ウィリアムスやカニエ・ウエスト、ジャスティン・ティンバーレイクにティンバランドといった新作の共演者は、みなスクリーンで共演。

客席が沸いたのは3曲目「ヒューマン・ネイチャー」でエレベーターの中に閉じ込められたブリトニー・スピアーズの映像がスクリーンに現れた時。マドンナは自ら監督した映画『ワンダーラスト(原題:Filth & Wisdom)』(日本1月公開予定)でもブリトニーの曲を使っているし、彼女をサポートしている気持ちがとても伝わってきます。

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才能のある若手を起用するのが好きなマドンナは、自らYou Tubeから見つけたという日本人ダンサーユニットの"はむつんサーブ"を全公演に起用、またロシアン・ロマのグループ"The Kolpakav Trio"もワールド・ツアーに同行させています。

マドンナの衣装はお馴染みのツアー・スタイリストであるアリアン・フィリップスとジバンシー、靴はMiuMiuとステラ・マッカトニー、バンド・メンバーの衣装はトム・フォードとジェレミー・スコット、バッキング・ヴォーカリストの衣装はドルチェ&ガッバーナという豪華さ。ステージもLEDスクリーンは当然のこと、花道には円筒状のLEDスクリーンが登場し、その中で歌っては消えるなど、マジックそのもの。ヴィジュアルは華麗だし、ダンサーの踊りは人間業と思えず、音楽にはエスニック調のアレンジをふんだんに取り入れ、全く飽きさせません。6日はスタンド席から見ましたが、それでも十分に見応えのある演出です。

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キース・ヘリングのアニメーションをバックにダンサーとダブルダッチしたり、いつものように映像を流してアフリカの貧困を訴え、政治家を批判したり・・・・・・と、挙句の果てにはペイリン批判と、内容も盛りだくさん。今回のマドンナは歌はもちろん、踊っている以外はほぼギターを弾いていて、そのタフさには驚かされました。西邨まゆみさんが話していたように、食事法をマクロビオティックにしたために身体の芯からタフになったのでしょう。

奇しくもNY公演の次のボストン公演で離婚報道が発表されましたが、ショウの最後にスクリーンに映し出された文字は"GAME OVER"。偶然かもしれませんが、今思うと意味深な気がしました。

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 madonna1211.jpgマドンナ『ハード・キャンディー』


*to be continued*


(※記事・写真の無断転載を禁じます) 

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
X:@natsumiitoh

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