オオノユミコ デュオプラス@スーパーデラックス
Music Sketch 2011.02.22
小雪が舞う2月11日(木)の夜、六本木にあるスーパーデラックスで行われたイベント《オオノユミコ デュオプラス》を3時間にわたって満喫してきました。この日は、Buffalo DaughterやSunshine Love Steel Orchestraなどで活躍するミュージシャン、大野由美子(ベース、オルガン、ミニムーグ、ヴォーカル、スティールパンなど)を軸にした、3ユニットが出演。また彼女の初ソロ作品であり、初めて舞台音楽(珍しいキノコ舞踊団)を担当した作品でもある『Music for Dance Performance The Rainy Table』のリリースパーティを兼ねた夜でもありました。

トップバッターは、Buffalo Daughterのうちの2人であるシュガー吉永(ギター)と大野由美子によるTwo Buffalo Daughtersが登場(ムーグ山本はDJを担当)。2人の笑いを誘うトークで場をくつろがせながら、また途中から会場を縦横無尽に踊るダンサーも交えて、ゆっくりと会場を温めていきます。その場に流れる映像は伊藤ガビンが手がけたものです。

三連休中とあってか、出演者の子供たちとその友人と思われる小学生が最前列にちょこんと並んで座り、みんなで音楽やダンスといったパフォーマンスを楽しもうという空気が、さらに場を和ませていました。

続いては、zAkと大野によるZAKYUMIKOに、山本達久(ドラムス)が加わったユニットが登場。zAkは、坂本龍一やUA、Clammbonをはじめとする仕事で知られ、抜群の聴覚とセンスを誇る日本を代表する超人気エンジニア/プロデューサー。山本達久は私の大好きなドラマーの1人なのですが、些細な音でも芸術的に構築していくドラミングで、一瞬の瞬きも惜しくなるほど天性の閃きで音を発していきます。最初はどのような音楽に進化していくのか見えなかったものの、即興演奏を展開しながら次第にエレクトログルーヴに収束され、大野由美子も途中から楽器を鍵盤からベースに持ち替え、さらにダンスミュージックへと加速。壁一面に広がるplaplaxの映像も気持ちを飛ばすに最適で、ホント、私も踊りだしたかったくらいカッコイイ音楽空間に到達していました。

続いてはCORNELIUSの小山田圭吾(ギター)と大野のユニット、small BIGsに、山本達久が再び参加。この時は、アルバム『Music for Dance Performance The Rainy Table』の曲が中心となり、大野由美子がコラボレーションした珍しいキノコ舞踊団のダンサー2人が登場。スクリーンにも舞台で使われたものと同じplaplaxによる映像が映し出され、馬などの動物のシルエットが現れるたびに、観客の子供たちの笑い声がそこへ混じっていきます。終盤は個々の曲も即興演奏を交えてプレイされましたが、大野+小山田+山本の演奏を目前で見られるだけで至福の時間でありました。
即興演奏や即興ダンスも含め、その場の空気を吸引しながら膨らんでいく音楽の数々。パッケージ化された音楽がTVに溢れている昨今、生演奏で、しかも再現不可能の"今だけの音楽"を体感できるなんて、とても贅沢。引き出しの多い大野由美子だから実現したジャンルレスなイベントで、ライヴパフォーマンスの醍醐味を存分に味わえた夜でした。
続いて、『Music for Dance Performance The Rainy Table』に関する大野由美子さんのインタビューを掲載します。
Photo: beermike
*To Be Continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
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