大野由美子インタビュー　舞踊団とコラボした音楽について①

ここからは2回に分けて、珍しいキノコ舞踊団の公演『The Rainy Table』に向けて大野由美子さんが制作した、ソロ・アルバム『Music for Dance Performance The Rainy Table』についてのインタビューを紹介します。

温かでユニークな音色に、ジャケットデザインも可愛らしい 『Music for Dance Performance The Rainy Table』（バウンディ）　CD+DVDで3,000円。

――CD『Music for Dance Performance The Rainy Table』はユニークなアルバムですよね。CDに付いているDVD（公演の模様が一部収録されている）も拝見しました。この珍しいキノコ舞踊団と知り合ったきっかけは何だったのですか？

「今は六本木にあるスーパーデラックスになっているんですけど、その前に麻布十番にデラックスというスペースがあって、そこはデザイナーや建築家、ミュージシャンなど、東京に住んでいるクリエイターが集まって何か面白いことをやろうという中心の場所になったんですが、そこでの交流を通して知り合ったのがきっかけです」

――何年ぐらい前の話ですか？

「11、2年前かな」

――それで、Buffalo DaughterやZAKYUMIKOの時に共演するようになって？

「はい」

大野由美子さん。Baffalo Daughterなど自身の活動に加え、UAのライヴ等にも参加。

――大野さんは子どもの頃にバイオリンを習っていたんですよね？　もともとダンスや演劇に興味はあったのですか？

「バレエやバレエ音楽には興味があって、小さい時に何度か親に連れてってもらって。あと、クラシックを聴くのも好きで、でも別にこれがどうのこうのとか蘊蓄があるわけじゃないんだけど（笑）」

――大野さんのソロアルバムは今回が初めてですよね？

「初めてですね」

――こういったお芝居のために音楽を書いたのも初めて？

「そうです」

――じゃあ、ワクワクしましたね。

「はい、大変だったけど（笑）」

大野さんが音楽を担当した珍しいキノコ舞踊団の公演『The Rainy Table』から。
photo: Yohta Kataoka

――最初の作品のテーマとして"馬"や"雨"があったわけですか？

「それは伊藤千枝さん（珍しいキノコ舞踊団主宰）が考えたアイデアで。ただ音のイメージは具体的には無くて、作曲を依頼された時は、内容もまだできてなくって。彼女はplaplaxさん（映像）とやるのも初めてで、しかも映像というものや衣裳に対するこだわりが凄いのでそちらへの注文で忙しそうで、その場の雰囲気に圧倒されそうだからなかなか現場を見に行けなくて（笑）」

――どのようにして作曲していったのですか？

「私は"ジョン・ケージの音楽でダンスを踊る"っていう、ちょっとユニークな発想が好きだったから、接点を見つけるために提示したんだけど、まったくダメでヒットしなくって。彼女たちはそれまで既成の音楽を使ってそこにダンスをつけてきたそうなので、イメージのやり取りが難しかったです。なので最初は"こういうふうにしてほしい"というサンプル曲をちょこっとだけ聴いて、"あ～、こういう音が好きなんだな"って勝手に妄想に浸って、そこから五線譜に頭でイメージしたものをバーッて書いていったんですね。それからそれをスタジオに持って行き、zAkとあーだこーだ話しながら録音していったら、・・・・・・最終的には早かったかな」