こんにちは、吉田パンダです。子どもの頃から「この世ならざるもの」が好きで、小学生の時に図書館で読破していたのは「小人の話」「巨人の話」「魔法の話」みたいなタイトルがつけられた、童話全集でした(版元と正確なタイトル不明)。本を読んでいると「あちらの世界」へ行ってしまうので、肩を叩かれるまで誰かが近くに来てもわかりません。長じて後、いまこのブログもユグドラシルのふもと、透明な湖に浮かぶイチジクの葉の上で書いています←どこなんだよ。
さて、何が起きているのかわからない様子で宙に浮いているのは、まだこちらとあちらを行ったりきたりしてそうな黒い仔熊、生後一ヶ月のスキッパーキ。自宅から片道三時間、当時コロナ禍で移動制限がある中でロワール地方のエルバージュ(ブリーダー)へ会いに行った時の写真です。現在は移動も自由になったフランスですが、一時は自宅から10km以上離れる場合は「仕事」「家庭の事情や医療」などの正当な理由が必要でした。その項目の中にちゃんと「動物の引き取り」が入っているあたり、さすがおフランス。
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こちらはいぬパリを昔から読んでいる方にはおなじみ、去年虹の橋を渡ったミニパンダ、じゃない愛犬漆黒トイプードルあづきです。16年間一緒に暮らしたあづきが旅立ってから、しばらく犬を飼うつもりはなかったんですが(猫は二匹に増えた)、また犬を飼おうと思ったのはある詐欺がきっかけでした。
家人が近所のコミュニティサイトで「飼えなくなったチワワ(仔犬)を引き取ってください」というアノンス(告知)&可愛い写真を見て、「このチワワを引き取りたい!」と決心(時に即断即決)。自分はチワワを飼うつもりはありませんでしたが、まあこれもご縁なのかもと賛同し連絡をとることに。よくある詐欺なのですが、お察しの通りそんなチワワは存在せず「移動のために交通費を振り込んでほしい」とか何かの理由をつけてお金を振り込ませようとするものでした。
「コニチハ、牧羊犬を祖先に持つベルギー原産の小型犬、黒い悪魔とも言われるスキッパーキデス」
幻のチワワは存在せず、「犬を迎える」という気持ちだけが残った我が家はその後「どうせいずれ犬を飼うんだから、早い方がよかろう」モードに切り替わり、スキッパーキというフランスでもあまり一般的ではない犬種にたどり着きます。
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こちらは生後二ヶ月、4月に引き取ったばかりの写真。上の写真と比較すると耳がピョコンと立ちました。ひと言で例えると見た目は「黒いポメラニアン」です。どちらもスピッツがルーツにあるらしく、ふさふさ毛と立った耳が特徴。ただスキッパーキはポメラニアンのようにタヌキっぽくならず、成犬になるにつれてオオカミやキツネに近いようにマズルが伸びてきます。顔の周りとお腹だけは毛がなく、顔は被り物をしているような風貌のせいか、もしくは賢くイタズラ好きで中型犬なみに体力があるからか、それとも可愛くてその魅力に虜になってしまうためか、原産国ベルギーでは「小さく黒い悪魔」という異名も持っています。
「で、ボクと魂の契約をしますか?」
もうしちゃったんだな、これが。ケージの中でカカ(ウンチ)を踏み荒らし、丸洗いされた悪魔です。
寝る時は仰向けで常に無防備。小さな悪魔の男の仔、名前は「スキ」にしました。スキッパーキのスキ、スキップのスキ、好きになったら仕方がないのスキです。
「おい人間、アクマを閉じ込められると思うなよ」
鞄に入れられるのは嫌いなスキさん。
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はい、だいぶ顔が悪魔らしくなってきました(?)。生後3ヶ月のスキ。初めてのパリ、SUKI in Parisですね。丸い目には面影がありますが、口周りもだいぶ伸びたし体重も一ヶ月で1.1kg→2kgに増え、体高も20cm→26cmに。あんなに小さかったのになーと、すでに仔犬時代が懐かしいです(現在もうすぐ生後4ヶ月)。
「ほほー、ここがEmily in Parisのロケ地か」←まだ生まれてない。
フィガロ本誌で紹介していたので、Suki in Parisでも来てみました。
スキさん、ガブリエルが働くレストランですよー。
「あの天使だけは許さーーーんっ!!」
何かと勘違いなさっているようです。
「地獄の業火でこの世を焼き尽くしますヨ」
はいはい、甘噛みはお手柔らかにお願いしますヨ。
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お耳ピコーン! 日本でもフランスでも、一般的にスキッパーキは相当量の運動が必要でしつけも難しいと言われていますが、いまのところスキは無駄吠えもせず、こちらの制止も聞けて破壊活動もたいしたことはなく、とても飼いやすい犬だと思います(甘噛みに困ってますが)。スキとの日常はCACHETTEという犬猫を飼っている人のコミュニティサイトでも連載しているので、スキッパーキってどんな犬と気になる方は覗いてみてください。
https://cachette.pet/2021/06/panda-210618/
こちらはスキがパリで暮らすアパート(妄想設定)。あづきに続いて、一緒に暮らすことになった黒犬をご紹介しました。自分で書いたあづきが天国へ行った話を読んでいると今でも胸が痛いんですが、それはそれとして、小さな悪魔との日々を大切にします。折りに触れ、スキとの暮らしをこちらでも紹介させてください。次回はパリで出会ったチャウチャウとスピッツのハーフ犬です、どうぞお楽しみに。
写真家。長年住んだパリを離れ、現在フランスはノルマンディー地方にて、犬猫ハリネズミと暮らしている。庭づくりは挫折中。木漏れ日とワインが好きで夢想家、趣味はピアノ。著書に『いぬパリ』(CCCメディアハウス刊)がある。instagramは@taisukeyoshida