アリックス・デ・レニスの磁器とジュエリーが欲しい!

PARIS DECO 2017.04.27

パリの買い物名所と化しているMerci からそう遠くない脇道、コミンヌ通り。1年ほど前、その14番地にブティックAlix D. Reynis(アリックス・デ・レニス)がオープンした。アリックスがデザインする手作り感が魅力の繊細な磁器とジュエリーは、今、パリジェンヌたちにとても人気。先日プライベートセールを3日の予定で開催したところ、初日でブティックが空になってしまったとか。

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ナイト・ブルーにペイントされた棚に、白い磁器が美しい静物画のように浮き上がるアリックス・デイ・レニスの店内。

モデルかと一瞬思わせる美しいアリュールの持ち主、アリックス。彼女が磁器のお皿や器のクリエーションを始めたのは今から5年くらい前で、それ以前はインテリア・デザイナー、さらにその前は公証人だったという変わり種だ。「美術館の子供用アトリエに8歳の息子が参加したとき、メソポタミアのガラスの器を見たのがきっかけ。そのときにインスパイアされて生まれたが、このブランドの最初のモチーフとなったArabieよ。実は、公証人以前は、彫刻をやっていたの……。1年前からジュエリーのデザインも始めたのだけど、基本となる作業は磁器と同じなので、この両方は私にとっては全く別なことではないの」

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石膏で型を作る作業はブティックの地下のアトリエで行われる。

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アトリエ内、星やカナージュなどクラシックなモチーフの石膏があれこれと。

ブティックの上階にジュエリー職人が作業する小さなスペースがあり、そして地下には型取りのためのアトリエが。ここで用意された器の鋳型を元に、リモージュの磁器の職人たちが製造をする。1点ずつの手作業で、それゆえの味わいが魅力の白いお皿や器が店内のナイト・ブルーの棚に並ぶ様は静謐でとてもきれい。白い磁器のランプの模様から透ける明かりが、店にポエティックな雰囲気を醸し出している。以前はテーラーだったというブティックのスペース。時代を物語るむき出しの木の梁が、アリックスのクリエーションとハーモニーを奏でる。

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左:店の両側の棚に食器類が並び、奥がパヒューム・キャンドルとジュエリーの売り場。内装はかつてインテリア・デザイナーだったアリックス自身が手がけた。
右:コレクションArabieは全11型。
25ユーロ(カフェ用ミニタンバル)〜155ユーロ(サラダボウル大)。

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左:後方のタンバルのモチーフはミツバチ。38ユーロ。手前のリングOrionは125ユーロ。
右:展示と実用を兼ねて天井から種々のランプが下げられている。写真はアンコール190ユーロ。

お皿やキャンドルの器を飾るレリーフ模様は星を始めとして、どれもクラシック。タンバルを例にとると、ネプチューン、エデン、コンスタンティノープル、チュイルリーといった名前がついている。アリックスがインスピレーションを得るのは、美術館、考古学、旅……。「時代、国籍を超えて世界中の人々の心に問いかけるような古いシンボルが、デザインのアイデアとなってるの」。これはジュエリーについても同様だ。

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左:ジュエリーは18Kとヴェルメイユ(シルバーのベースに18Kのゴールド張り)の2タイプあり。ヴェルメイユのジュエリーは90~150ユーロ。
右:ゴールドのジュエリーは450ユーロ前後。

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左:器やランプと同じモチーフが、ピアス、リング、ブレスレットなどに生かされている。
右:アリックス・デ・レニス。モデルのように見えた彼女、
エージェントに所属しモデル活動も実際にしているそうだ。

完成までにさまざまな工程があって時間がかかるということで、すでに地下のアトリエでは、ボンポワンのために今年のクリスマスツリー・オーナメントの型作り中である。最近では、マラン・モンタギューがグランパレの「庭」展のために描いたパリの庭にまつわるイラストのお皿やカップを彼女はコラボレーションし、また、18世紀のドミノ・ペーパーを復活させたアントワネット・ポワソンと一緒にパフューム・キャンドルの限定製作も、とクリエーターたちからも人気のアリックス。今後はインテリア・リネンのコラボレーションが予定されているとか。日本でもセレクトショップが彼女のブランドの品を扱ってはいるとはいえ、すべてが揃うマレ店はパリ訪問時のマスト・アドレスに加えておかねば!

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左:テーブル上のお皿やカップのモチーフを描いたのはイラストレーターのマラン・モンタギュー。
右:手前がアントワネット・ポワソンとのコラボレーションによるBonheur du Jour。パッケージに使われているドミノ・ペーパーのモチーフが、リモージュの磁器の器に生かされている。フランスのふたつのサヴォワール・フェールの出会いだ。

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左:歴史あるマレの店らしい石の壁がナイト・ブルーの家具とコントラストを成している。
右:店の目印の看板の裏表には、地下のアトリエで型取りを担当するマチアスによるチャーミングなイラストが描かれている。
photos:Mariko OMURA

Alix D. Reynis
14, rue Commine
75003 Paris
営)11:00(月13:00)~19:00
休)日
tel:01 56 06 90 66
www.alixdreynis.com

 

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。
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