オテル・アルフレッド・ソミエは、中庭までハイライフ!
PARIS DECO 2018.07.25
マドレーヌ寺院の近くにパリの超ブルジョワの個人邸宅に招かれたように滞在できるホテル、アルフレッド・ソミエがオープンした。19世紀のパリ、貴族は左岸7区のフォーブル・サン・ジェルマンに邸宅を構え、銀行や製造業などで成功したブルジョワは右岸のショセ・ダンタン界隈に邸宅を構えるという地理的分布があった。このホテルの建物は後者の例で、製糖業で財をなした実業家のアルフレッド・ソミエが暮らし、時代変われど、いまもファミリーが所有しているという稀有なケースである。美意識の高いアルフレッド・ソミエは19世紀末にパリ郊外のヴォー・ル・ヴィコント城のオーナーとなって、改装に力を注いだ人物。一度は訪れたいとフランス人が夢を見るシャトーで、こちらもホテル同様に彼のファミリーがオーナーだ。
アルフレッド・ソミエは貴族の女性と結婚し、ふたりの間に生まれた息子は大統領の娘と結婚……というように、バルザックが書く小説の主人公のような人生を送った。
マドレーヌ寺院やデパートが並ぶオスマン大通りの賑わいが遠くない場所なのに、信じられないほど静かなホテル。
第二帝政期の有名な建築家による建物。
アルカード通り20番地がホテルのアドレスだが、入り口は通りに面していない。奥まった場所の扉から入ることで、到着時から個人宅を訪れたような気分が味わえる。お屋敷の広さゆえ、パリのど真ん中にできた新しいホテルながら80室もあるというのが驚きだ。客室内は、19世紀のブルジョワの邸宅に不可欠な天井周りの装飾、暖炉、杉綾組みの床といったクラシックな要素を生かしながら、写真でモダンな味わいをプラスした内装で部屋ごとに個性が異なる。もっともキーカラーともいえるゴールドがどの部屋でも印象的に使われ、ブルジョワの屋敷というより宮殿に泊まるような雰囲気だ。ホテルへの改装にあたっては、フランスの豪邸の修復に不可欠な職人たちが腕を振るった。
20のスイートルームを含め、全80室のホテル。
室料は350ユーロ〜。
部屋は中庭に面し、採光も風通しも良い。
バスルームで待つ喜び。それはホテルには珍しいゲランのアメニティだ。
1階のレストランは宿泊客以外にも開かれている。季節の素材を生かした料理をゴージャスな空間で、あるいは素晴らしい中庭で。朝食やアペリティフでもOK。この邸宅の壮麗な世界は廊下、階段でも堪能できるので、その際は目をきょろきょろさせてお屋敷見学を!
レストラン内。隣にバーがある。
シェフのフランコ・ミオティが季節の素材を用いてクリエイトする、エレガントな料理。
この見事な中庭で時間を過ごすために、ぜひオテル・アルフレッド・ソミエへ。
20, rue de l’Arcade
75008 Paris
tel:01 88 22 33 44
https://www.alfredsommier.com
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。