改装が終わった左岸のホテル、リュテシアでちょっと一杯。

PARIS DECO 2018.08.31

デパートのボン・マルシェの近くにあるオテル・リュテシアが7月にリニューアルオープンした。1910年に生まれたホテルの歴史をリスペクトした大改装に必要とされたのは、予定の3年に1年プラスすること4年の歳月。建築家ジャン=ミッシェル・ヴィルモットの総指揮の下、工事の前は7フロアにアールデコ・スタイルの233の客室があったのだが、今回の改装により47のスイートを含む全184室のホテルとして生まれ変わった。ここはパリ左岸で唯一のグランド・ホテル。かつてサン=テグジュペリ夫妻が暮らし、またピカソ、ジョセフィン・ベーカー、ジャン・ポール・サルトルなど様々な分野の左岸派セレブリティに愛された過去を誇っている。

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セーヴル通りとラスパイユ大通りの角、ボン・マルシェの目と鼻の先にある。というのも、オテル・リュテシアはボン・マルシェのオーナーのアリスティッド・ブシコーがデパートに買い物に来る地方の客が宿泊できるハイレベルのホテルを必要としたことから生まれたホテルなのだ。©Mathieu Fiol

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エントランスの床にタイルで描かれたリュテシアの紋章。

20世紀初頭に建築された古い建物である。記念建造物指定されていて手をつけられないその外観を保全しつつ、ヴィルモットは可能な限り採光を求めることを主眼に置いた改装を行った。かつて存在しなかったパシオがクリエイトされたのも、それゆえだ。内部は古き良き時代の大型客船のイメージでデザインされ、多用されている素材は大理石や真鍮など。地下には現代のホテルに不可欠のスパとプールが700平米を占めている。

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新しく作られた中庭に面した外壁は、アールデコ・スタイルのモザイクタイルで覆われている。photo:Mariko OMURA

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ジュニア・スイート。©Mathieu Fiol

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カラカラの大理石で覆われたバスルーム。バスタブは大理石をくり抜いたものという贅沢な作りだ。アメニティはエルメス。©Mathieu Fiol

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自然光が差し込む17メートルのプール。かつてのホテルのプールは、現在エルメスの左岸店となっている。©Mathieu Fiol

ホテルに行ったら、見上げて欲しいのは1910年当時の装飾の復活である。たとえば、100年の流れの中で、何層ものペンキの下に隠されてしまっていたエントランスホールやラスパイユ大通りに沿う位置にある細長いバーのフレスコ画。また、ステンドグラスの巨匠ルイ・バリエによる作品も蘇った。フランスのアルチザンたちが大いに腕を振るって修復したこれらは、まるでアール・デコの美しいジュエリーのよう。今回の改装によって、宿泊料はあいにくと手の届きにくいものになってしまった。でも、レストランやバーに行くことで、新生リュテシアの魅力を味わう方法もある。

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ロビー。フレスコ画に目を向けるのを忘れないように。©Mathieu Fiol

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1階のバー。大理石の10メートル長さが見事なバー・カウンターも美しいが、圧巻は1910年に描かれた田園光景を描いたフレスコ画が蘇った壁の上部と天井だ。photo:Mariko OMURA

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サロン・サン・ジェルマン。ガラスの天井に、新たにファブリス・イベールの作品が。よくみるとミシュラン・マンのビバンダムらしき姿も描かれている©Mathieu Fiol

Hotel Lutetia
45 boulevard Raspail
75006 Paris
tel:01 49 54 46 00
www.hotellutetia.com
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティングエディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は「とっておきパリ左岸ガイド」(玉村豊男氏と共著/中央公論社)、「パリ・オペラ座バレエ物語」(CCCメディアハウス)。
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