アントワネット・ポワソン、パリ11区生まれの手作り陶器。
PARIS DECO 2021.04.16
自分たちの食器が欲しい! という長年の夢をアントワネット・ポワソンのヴァンサン・ファレリーとジャン=バティスト・マルタンが叶え、その販売が5月15日から始まる。彼らがアトリエブティックを構える11区の中庭に、TOP TOPという陶芸家デュオがやってきたことからコラボレーションのアイデアが生まれ、そしてこのチャーミングなミニコレクションが完成したのだ。
アンティーク的風合いを漂わせるアントワネット・ポワソン × TOP TOPの食器。5月15日からアントワネット・ポワソンのブティックとサイト、そしてデパートのボン・マルシェで販売開始(予定)。photos : Jean-Christophe Torrès
同じ中庭に面した2つのアトリエを行き来して、完成する手作りの食器。左 : アントワネット・ポワソンのジャン=バティスト(右)とヴァンサン。 右 : TOP TOP はマリー・ヴィアールとリュカ・ル・ロワのデュオ・セラミストだ。photos : Jean-Christophe Torrès
食いしん坊で料理好きなふたりは、古い食器をコレクションしている。彼らを引き付けるのは、新しい品には見いだすことができない職人の手仕事が生む魅力。TOP TOPが焼いた砂岩の陶器にアントワネット・ポワソンがモチーフをつけ、それをTOP TOP が再び焼いて仕上げるうつわには、アンティークの懐かしい風合い、温もりのある手触りが感じられる。それというのも、うつわのフォルムは古い食器にインスパイアされていて、さらにアントワネット・ポワソンが復活した18世紀のドミノペーパー同様に型紙を使用して枠を描いたモチーフの内側に筆で彩色して、という繊細な手作業ゆえ。
「いまの時代、お皿のような実用品のために手描きされる陶器というのは、フランスではほぼ存在しなくなってるんですよ」と語るヴァンサンに、ジャン=バティストが続ける。
「実用であり同時に装飾的。僕たちが集めているような、そんなアルチナザルな品を提案したい、と思ったのです」
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種類はまだ多くないとはいえ、アントワネット・ポワソンの壁紙や布ですでにおなじみのバラや植物の実のモチーフがあしらわれ、いち早く毎日の食卓に取り入れたくなるうつわばかり。もっともお料理を盛ると愛らしい色合いの模様が隠れてしまうので、これはちょっとしたジレンマとなるかも……。
写真は大皿(各95ユーロ)。小皿(75ユーロ)に描かれる模様は同じテーマでも異なるモチーフだったり、モチーフ数が少なかったり。photos : Jean-Christophe Torrès
小皿(各50ユーロ)と長方形プレート(85ユーロ)。 photos : Jean-Christophe Torrès
左:TOP TOPでの作業は、石膏で型を作ることから始まった。 右:980度で焼きあげたら、アントワネット・ポワソンへ。photos : Jean-Christophe Torrès
型紙にあわせてモチーフの輪郭をとり、彩色。そしてTOP TOPで釉薬をかけて、1280度の窯へ。photos : Jean-Christophe Torrès
12, rue Saint-Sabin
75011 Paris
www.antoinettepoisson.com
Instagram : @antoinettepoisson
大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon
réalisation : MARIKO OMURA