真似したい、カラフルでミックス上手なティフェーヌのインテリア。

PARIS DECO 2021.05.22

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ティフェーヌ・マンガン(Les Causeuses クリエイター) photo:Mariko Omura

ティフェーヌ・マンガンのアパルトマンを紹介したのは、いまから4年半前のこと。その後、彼女は一家でロンドンに1年半暮らし、2年前から再びパリ暮らしをしている。住んでいるのは以前と同じ17区で、通り何本かの違いという場所だ。

「ロンドンに越した時、家具は貸し倉庫に預けたものもあれば、持って行ったものもあります。オブジェ類はかなりロンドンで売って、で、ロンドンで新たに購入して……」

ヴィンテージ探しは彼女のお手のもの。その物の価値より、はるかに低い価格で入手するのが上手なのだと自慢する。

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ピンクとグリーン。カラフルで明るいリビングルーム

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典型的なオスマニアン建築のアパルトマン。そのクラシックでブルジョワ的な雰囲気を好まないティフェーヌはヴィンテージとモダンをミックスし、ピンク&グリーンでカラフルにまとめた。photo:Mariko Omura

160㎡に一家4人で暮らすアパルトマン。お気に入りのリビングルームから紹介してもらおう。

「リビングルームとダイニングルームはピンクとグリーンでまとめたの。ピンクは大好きな色。以前のパリのアパルトマンより、ここのほうがさらにピンクが増えてるかもしれないわね。この空間を見て、マリー・アントワネット風だって言った人もいるわ。でも、私、甘ったるいのは嫌いなので、ダイニングルームの壁はあえて強いピンクを選んだのよ。すぐに飽きるのではないかと心配だったけど、毎日眺めても問題なし。夜はピンクの壁がオレンジを帯びて……これも気に入っているわ。このアパルトマンは典型的なオスマニアンスタイル。天井と壁の境にあちこち浮き彫り装飾があって、キッチンが廊下の奥にあるという作りです。私がこの家のインテリアで心がけているのは、このブルジョワ的でクラシックすぎる雰囲気を壊して、いかにカラフルで美しい空間を作り上げるかなの。少し子どもっぽいというか幼児退行というか、そういった色使いが私は好き。どこに何をとか、何と何を組み合わせて……といったことは深く考えず、部屋作りを楽しんでいるわ」

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左:2枚の葉のランプはブルターニュのブロカントで購入。これは何があっても手放さないという品の筆頭だ。 右:白いイケアのボックスもその上に1枚板を置くだけで、雰囲気が変わる。ピンクのボッックスはモノプリとインディア・マーダヴィのコラボレーション。photos:Mariko Omura

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左:木製の間仕切りをティフェーヌは飾り棚として活用。右手に見えるランプシェードが独特なフォルムのスタンドはドゥルオー競売場で競り落とした。 右:飾り棚の前に見えているのは、レ・コズーズのオリジナル生地でカバーしたスツール。photos:Mariko Omura

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リビングからダイニングルームを眺める。壁にはあえて濃いピンク色を選んだ。赤いスツールも、価格が超手頃なモノプリとインディア・マーダヴィのコラボレーションから。右の花の額はこの家では珍しく、現代アート作品だ。photo:Mariko Omura

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左:最初、壁に小さな額をかけたところ、なんだか滑稽だった。それで壁の色とコントラストをなす、黒い額を飾ることに。 右:3つのボールを重ねたようなランプは70年代の品。ヴィンテージショッピングに活用しているサイトSELENCYで70ユーロでみつけた。 思ったより背が低かったので、モノプリ×インディア・マーダヴィの黒いスツールの上に置くことにした。photos:Mariko Omura

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限られた予算で美しい空間作り

リビングルームとダイニングルームは通りに面している。日中、大きな窓から差し込む光はときに眩しいほどだという。廊下を挟んだその向かい、夫妻の寝室は中庭に面した静かな空間。サーモンピンクに壁がペイントされ、カーテンやクッションなどでグリーンがプラスされている。ベッドの上の鏡に写りこむのは向かいの壁のカラフルなチューリップ模様だ。

「この壁紙、素敵でしょう。英国のポーリー・ファーンのものなの。イケアの戸棚の扉をこれでカバーしているの。というのも、このアパルトマンは賃貸なのでオーダー家具や工事などに費用をかけたくない。限られた予算の中でいかに……ということから考えたアイデアよ。淡いピンク色の壁は、夜、照明のおかげでとても美しい雰囲気を作り上げるの。もっとも賃貸の照明器具って往々にして趣味が悪いでしょ。天井のランプシェード、取り替えようと思ってヴィンテージのいいのを見つけたところよ」

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壁紙で覆った自家製ヘッドボード。淡いサーモンピンクの壁とグリーンのクッションやランプシェードが穏やかなプライベート空間を作り上げる。photo:Mariko Omura

ベッドのヘッドボードもチューリップの壁紙で覆われている。このヘッドボード、実はそこにある暖炉を箱型に板で囲ったものなのだという。これも彼女のアイデアだ。寝室の一角には、“ひきがえる”と呼ばれる座面の低い50年代の椅子が置かれている。リビングルームの“ひきがえる”は辛子色だが、こちらはピンク! その脇に配した床置きのランプは60年代の品で、「leboncoin(ルボンコワン)」というインターネットの古物販売サイトで見つけたものだ。フランスで人気のこのサイト、最近ではコマーシャルフィルムにカトリーヌ・ドヌーヴを起用したことで話題となっている。

「以前のアパルトマンでもそうだったけど、こうして60年代や70年代のモダンな家具をいつも私はミックスしているわ」

かつて彼女のお気に入りだったeBayは、いまでは仕事で使う古い生地を買う程度。ヴィンテージの家具やオブジェは、インターネットで購入するならleboncoinあるいはSelencyがいまは多い。またドゥルオー競売場のオークションや、ブロカントなどでも掘り出すそうだ。

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イケアの戸棚をチューリップの壁紙で変身させた寝室。家具やオブジェはヴィンテージで、費用をかけずに美しいインテリアを仕上げた。

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廊下にも掘り出し物のカーペット

寝室とリビングルームの間を走る廊下のインテリアも、もちろん見逃せない魅力にあふれている。天井から下がるゴールドのペンダントライトは、新たにこのアパルトマンのために購入した品だ。

「このランプは400ユーロ前後したかもしれないけれど、基本的に高価な品は買わないのよ。たとえばこのカーペット。ロンドンのマーケットで買ったもので、30ポンドしたかしないか。ただみたいな金額でしょ。大きな容器にたくさん詰め込まれて販売されていた中の一枚。その物の価値よりずっと安い価格で掘り出す……こうしたことが私は楽しいの」

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レ・コズーズのヒット商品であるベンチをエントランスに。モルダウと呼ばれるボヘミアンタッチのカーペットとハーモニーを成している。

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棚に置いたオレンジの花の香りのスティックがよい香りを放つ廊下。花の額、ランプ……廊下もピンクとグリーンがメインカラーだ。

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花の壁紙と肖像画

次に彼女が案内してくれたのはオフィスだ。もっともこの部屋は、長男のジョルジュがもっぱら勉強部屋として使用。彼の自室は中庭に面し採光に乏しいゆえ、オフィスの光あふれる空間を好むそうだ。最近では、長女アルベルティーヌまでこの部屋で勉強したがるように……。

「明るい部屋だから、いるだけで快適なのね。美しい空間の中で子どもたちが勉強をする。それは悪くないことだわ」

暮らし始めた当初は、この部屋を夫妻の寝室とし、中庭に面した部屋をオフィスにしていたそうだ。中庭の方が静かということで、すぐにスイッチ。

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子どもたちが勉強部屋に活用するオフィス。中央のテーブルに、モーヴの布で貼り直したメタルフレームの椅子が最近加わったそうだ。

「この部屋の壁紙も英国から。ハウス オブ ハックニー製よ。とてもきれいで気に入っているの。いまって、壁紙がとても流行っていて、どの家でも似たり寄ったりの壁紙がある時代でしょ。この花の壁紙がいいのは、以前からこの壁にずっと貼られていましたという気にさせられるからなの。こうした過去の名残りのような雰囲気……まるでカントリーハウスにいるみたいで」

ほかの部屋同様、オフィスにも多数の額が飾られている。ここはすべて肖像画である。ティフェーヌが入手する古い絵は、肖像画がほとんど。そして花だ。またほかの部屋同様、ここでもモダン家具をミックスしている。スペースの中央には70年代の大きな丸テーブル。そして窓の前に置いたソファに配したのは、60年代の入れ子式の3つの小さなテーブルだ。古い絵も多いので、こうした家具がないとなんだかカビ臭い空間になってしまう、とティフェーヌは説明する。

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お気に入りの花の壁紙。貼ったのは片側の壁だけだが、鏡に映りこむので部屋のどこにいてもその美しさを感じられる。photos:Mariko Omura

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2つの子ども部屋

12歳の長男の部屋のインテリアもママがすべて手がけた。花柄のカーペットや額に対しても、彼は文句を言わず受け入れてくれたそうだ。

「優しいでしょ! この部屋は英国風にまとめたの、というか、アパルトマン中に英国の影響があるといっていいわね。この私の英国嗜好がどこからきたのかはわからないけど、祖母の苗字がイギリス人によくある苗字なの。だから私の血にも、と思わないでもないし、またロンドンで何度か暮らしてることもあって……。英国人ってインテリアだけでなくモードにもいえることだけど、ちょっと滑稽に見えることを全然恐れず、することが大胆。フランス人はシリアスに考えすぎ。いろいろなデコレーターのインスタグラムを見てわかるのは、フランス人のはどれも似たり寄ったりでとても退屈ね。趣味が悪いということがなく、その分、大胆さに欠けるのよ」

賃貸のアパルトマンでなければ、長男の部屋は壁のすべてをグリーンに塗っていただろうと。予算をあまりかけずにという方針から、ストライプの壁紙は1つの壁だけにとどめ、家具などをグリーンでまとめることに。

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ストライプの壁紙に英国的雰囲気が漂う12歳のジョルジュの部屋。photos:Mariko Omura

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小さい頃から彼が持っていた動物のオブジェなどが、子ども部屋らしさを漂わせる。photos:Mariko Omura

もうじき15歳になる長女は壁紙も希望せず、壁に色をペイントすることも希望せず。彼女のお気に入りの額がピンク系の花の絵であることから、ティフェーヌは淡い色調でまとめることを彼女に提案した。

「カーペットがパステルのサークルのモチーフなので、天井からのペンダントライトに丸いパステルのボール状のランプを選んだのよ。彼女、本当になにも欲しがらない。あまり物がない空間に、徐々に自分なりに写真を飾ったりしているわ」

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アルベルティーヌの部屋はほかの空間に比べると、色も飾りも控えめだ。photo:Mariko Omura

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左:カーペットのモチーフに呼応するようなペンダントライト。 右:アルベルティーヌのお気に入りの花の額を出発点に、ティフェーヌは部屋のトーンをまとめることにした。photos:Mariko Omura

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インテリアデザイナー職への興味

アパルトマンの長い廊下の先にあるキッチン。ここも明るい光に満ちている。機能を優先する中にも、肖像画、花の額が飾られているのがティフェーヌらしい。片隅に置かれたテーブルが、週日の食事の場だ。ダイニングルームで食事をするのは、週末、一家全員が揃ってのブランチやディナーで。

大きなダイニングテーブルは以前のパリのアパルトマンで使っていたものだ。その時と変わらず、ティフェーヌはいまもこのテーブルで仕事をするのを好んでいる。彼女のブランド「Les Causeuses(レ・コズーズ)」のために、目下、壁用のランプシェードを新たに開発中。これはもうじきサイトで販売を始めるそうだ。レ・コズーズの有名なベンチは、個人宅のみならずメゾン・ドットやホテルの客室のためにとオーダーがある。ベンチを覆うカラフルなモチーフの布は、古い生地だけでなく、最近はレ・コズーズのオリジナル生地でも。たとえば、寝室のチューリップの壁紙。このモチーフの使用権利を得て、オリジナル生地化するという。

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キッチンへと続く廊下にもポートレート。photo:Mariko Omura

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キッチンもほかの部屋と同じように額を飾って。photos:Mariko Omura

「パリのあるデパートから、私が掘り出した家具やオブジェでリビングルームを再構築して販売するというプロジェクトの提案があるの。実際に引き受けるかどうかまだ決めていないけど、楽しいアイデアよね。レ・コズーズでの販売と並行して、インテリアアドバイザーみたいな仕事もしてみたいって思ってるの。もちろんインテリアデザインにも興味あるわ。個人宅ではなく、レストランやホテルとか……」 

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レ・コズーズではこのフォルムでランプシェードを展開する。色、モチーフなど布はセレクションが可能となるそうだ。photo:Les Causeuses

 Les Causeuses
https://www.lescauseuses.fr
インスタグラム @lescauseuses

大村真理子 Mariko Omura
madameFIGARO.jpコントリビューティング・エディター
東京の出版社で女性誌の編集に携わった後、1990年に渡仏。フリーエディターとして活動した後、「フィガロジャポン」パリ支局長を務める。主な著書は『とっておきパリ左岸ガイド』(玉村豊男氏と共著/中央公論社刊)、『パリ・オペラ座バレエ物語』(CCCメディアハウス刊)。
Instagram : @mariko_paris_madamefigarojapon

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