新しいホテル、シュヴァル・ブラン・パリの贅沢のおすそ分け。
PARIS DECO 2021.09.15
2006年にリュクスでスノッブな冬のリゾート地クルシュヴェルにオープンして以来、贅沢の代名詞的存在となっているホテルのシュヴァル・ブラン。その後もサン・トロペ、モルディブやサン・バルトといった高級避暑地にオープンを続けていたのが、2021年9月7日に新しく扉を開いたのは意外にもセーヌ河に面したパリの中心部である。それゆえホテルにとって初の都市進出ということも話題となっている。シュヴァル・ブランというのはホテルの名前を超えたひとつのブランド名ということなので、今後、ホテル以外でどんな驚きをもたらしてくれるかも興味深い。

セーヌ河に面したアールデコ建築の外観が見事なシュヴァル・ブラン・パリ。セーヌ河の対岸からの眺め。photo:Mariko Omura
さてホテルが生まれたのは、かつてデパートのラ・サマリテーヌの一部をなし歴史的建造物に指定されているアールデコの建物内だ。フランスのサヴォワールフェール、クラフツマンシップをリスペクトしつつ、建築家ピーター・マリノが加えた現代的エッセンスによって洗練されたコンテンポラリーな滞在を約束するホテル。スイートを含む72室はすべてがセーヌ河に面している。河の眺めが目の前に広がる客室とは! 想像するだけでも、心が弾む。最小でも45㎡という広さがあり、最大は2つのスイート(650㎡と350㎡)で構成されたプール付きの1000㎡のアパルトマン……その気になる宿泊料は非公開だ。スタッフのユニフォームをデザインしたのはPatou(パトゥ)のクリエイティブ・ディレクターであるギヨーム・アンリ。パトゥらしいスポーティ・エレガンスが感じられるユニフォームである。



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シュヴァル・ブランにホテルのゲストとし滞在するのは夢のまた夢なのかもしれないけれど、うれしいことに扉はすべての人に大きく開かれている。ホテル内のスパ、そして4つのダイニングエリアを利用することで、ホテルが提案するおもてなしを介してフランス的アールドゥヴィーヴルを誰もが堪能することができるのだ。建築面で過去と現在が混じり合うように、ホテルの扉を開けて入ってくるのもパリジャンもいれば観光客もというミックスが生み出すダイナミズムに満たされたホテルである。美食の4スポットは、朝食、ランチがとれるバーの「Limbar (リンバー)」、シュヴァル・ブランドのヘッドシェフであるアルノー・ドンケルが腕をふるうガストロノミーレストラン「Plénitude(プレニチュード)」、7階のフレンチブラッスリー「Le Tout-Paris(ル・トゥー・パリ)」、イタリアから初めてパリに進出したシーフードの「Langosteria(ランゴステリア)」。パリ滞在中、毎日1カ所ずつ発見して食の芸術に触れることでパリ最上のホテルに親しむ、というのはどうだろうか。ディオールのスパについては、次の機会に……。



editing: Mariko Omura