デザイン賞を獲得した、ミッシェル・ヴィヴィアンのブティック。
PARIS DECO 2021.11.09
シューズデザイナーの「Michel Vivien(ミッシェル・ヴィヴィアン)」が自分の名前でブランドを設けたのは1998年。それ以前彼はクリスチャン・ディオールやランバンといったブランドの靴をデザインしていた。靴業界で長いキャリアを持つ彼が、フォーブル・サントノレ通り70番地にパリ唯一のブティックをオープンしたのはこの夏のことだ。ここは靴のブティックというより、ヴィンテージ家具やアート作品が交じり合うギャラリーのような空間。毎年、優れた商業スペースの建築デザインに商工会議所が授けるParis Shop & Design賞というのがあり、第7回目の今年、モード部門においてこのミッシェル・ヴィヴィアンのブティックが選ばれた。
ミッシェル・ヴィヴィアンのブティック。入って右手の15メートルの波打つ木の壁に魅了される。photo:Valerio Geraci
自然素材への愛が共通するということで、室内建築をミッシェルから任されたのは若きソフィー・ドリスだ。昨年1月に紹介したパレ・ロワイヤルにできたホンジュラス出身のフローリスト、アルチュロ・アリタのグラフィックな花屋でも彼女の仕事を知ることができる。ミッシェル・ヴィヴィアンのブティックでは彼が思い描くイメージを彼女が実現するというコラボレーション的な仕事となった。約100㎡のブティック内、波打つ木の壁がとても美しい。アートピースは画廊からのレンタルなのだそうだ。従って、たとえばギャルリーYves Gastouが扱うフィリップ・イキリーのランプのように、ギャラリーで売れた作品はブティックからは姿を消すことになる。いまはクリニャン・クールの蚤の市でマルシェ・セルペットにスタンドを持つギャラリーからの木のトーテム風彫刻2点が展示されている。アートピース、ブティックのディテール……靴を買うだけでなくインテリア見学も楽しいブティックである。
左: フィリップ・イキリーのランプ(左)。ヴィンテージ家具の選択はGilbert Kannに任された。 右: カーペットや鏡など、ソフィー・ドリスがこの空間のためにデザインしたアイテムも。photos:Valerio Geraci
職人としての仕事を大切にするミッシェル・ヴィヴィアン。履きやすく、それでいてセクシーという難しい共存を彼のデザインに見いだせる。ヒールのフォルムに感じられるのは、彼のアーティスト的仕事だ。photo:Valerio Geraci
70 rue du Faubourg Saint-Honoré 75008 Paris
営)11:00~14:00、15:00~19:00(火~木) 11:00~19:00(金、土)
休)日
www.michelvivien.fr
editing: Mariko Omura