写真家ガストン・パリ、正方形が語りかけるストーリー。

PARIS DECO 2022.02.08

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左: パリのノートルダム大聖堂のバラ窓に作業員を配して逆光で撮影した『Ouvrier et rosace en contre-jour à la cathédrale Notre Dame de Paris』(パリ、1935年頃/©️ Gaston Paris / BHVP/Roger-Viollet) 右: 移動遊園地で興ずる女性たち。『Femmes dans une fête foraines』(フランス、1935年頃/ ©️Gaston Paris/ Roger-Viollet)

フォトエージェンシーのRoger Viollet(ロジェ・ヴィオレ)がギャラリーをオープンし、写真の展示販売を始めたのは1年前のこと。1月23日から新たな展覧会『Gaston Paris, l'œil fantastique(ガストン・パリ ファンタスティック・アイ)』がスタートした。 ポンピドゥー・センターでも4月18日まで『ガストン・パリ』展の開催中である。これまであまり語られなかったが、突如クローズアップされた彼。いったいどんな写真家だったのだろうか。

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左: ギャルリー・ロジェ・ヴィオレ。 右: 1945年に撮影されたポートレートとフランス製二眼レフのRolleiflexの宣伝写真。photos:Mariko Omura

ギャルリー・ロジェ・ヴィオレではガストン・パリ(1903~64年)が亡くなって間もなく未亡人から購入した15,000点近い写真から、80点をセレクションして展示中だ。「Life」誌誕生をインスパイアしたフランスの写真雑誌「VU」の社員カメラマンとして、多岐の分野でのルポルタージュを担当していたガストン。なお、パリを舞台に多く活動していたが、ガストン・パリはアーティスト名ではなく本名である。彼はローライフレックスで撮影していたので、写真のフォーマットは正方形。この中で彼は構図を作り上げていたのだが、あいにくと雑誌ではトリミングされて彼の写真が掲載されることがほとんどだった。

ギャラリーの最初のスペースではルポの写真をメインに展示。彼が構図を作り上げたままの正方形の写真が並んでいる。ルポの写真においても人物を配するなど、彼はストーリーを語ることも大切にしていた。ふたつ目のスペースはポートレート、そしてサーカスなど興行が被写体だ。また、写真小説を試みたと思われる作品も。なお展示の中に気に入った写真があれば、プリントを購入できる。

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左: 正方形のフォーマットとサークルの組み合わせにガストンは心奪われていたようだ。 右: 雑誌「VU」で1930年代に8年間社員カメラマンとしてルポルタージュに取り組んだガストン。photos:Mariko Omura

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ギャルリー・ロジェ・ヴィオレで展示されている写真はどれもプリントの購入が可能。写真によりサイズが異なるが、60×60cm は520ユーロ(額入り580ユーロ)、50×50cmは420ユーロ(額入り470ユーロ)、40×40cmは320ユーロ(額入り360ユーロ)、30×30cmは230ユーロ(額入り260ユーロ)。

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奥のスペースの壁を飾るのは、ルポではなく彼が状況を構成した犯罪写真。フォトロマンを試みたのではないかと想像される。photo:Mariko Omura

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左は1940年に撮影したエディット・ピアフ。右の6点は1934年に撮影したキキ・ドゥ・モンパルナス(下右)やジョセフィン・ベーカー(下中)、1950年代撮影のブリジット・バルドー(上中)など時代のセレブリティのポートレートを集めている。photo:Mariko Omura

「Gaston Paris, l’oeil fantastique」
会期:開催中~2022年4月23日
Galerie Roger Violet
6, rue de Seine
75006 Paris
開)11:00~19:00
休)日、月
www.roger-viollet.fr
@roger_viollet

editing: Mariko Omura

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