メゾン・サントンジュ、誰にも教えたくないコンフィズリー・ホテル。

PARIS DECO 2023.01.18

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左: ホテルが所在するのはサントンジュ通りでもブルターニュ通りの下側の活気ある場所だ。 右: 小さなフロントの向かいにコンフィズリーがずらり!! photos:Mariko Omura

マレ地区の便利な立地も魅力だけど、存在そのものがチャーミングな「Maison Saintonge(メゾン・サントンジュ)」は、一度宿泊したら自分だけの秘密の隠れ家にしておきたくなるはずだ。4ツ星のブティックホテルで、“コンフィズリー・ホテル”というのが謳い文句。つまり“砂糖菓子ホテル”である。1階のフロントの向かいに、カラフルなキャンディ類を詰めた多数のガラスのうつわが昔風の木棚にずらりと並んでいる。フランス中のさまざまな地方からの取り寄せだそうだ。ホテルの宿泊客にはチェックイン後、小さな袋に詰めたキャンディがプレゼントされる。部屋に上がって旅装を解く時にひとつ、ふたつと口に入れると旅の疲れも飛んでしまうはず。滞在中に買って食べ、またホテルをチェックアウトする時にお土産用に購入することもできる。メゾン・サントンジュが数カ月前にムッシュー・サントンジュから名前を変えた当初は、“エピスリー・ホテル”と謳っていた。でもフォアグラの瓶詰めやサーディンの缶詰などより、人々は断然コンフィズリーに好奇心をかきたてられることがわかり、昨年末エピスリーからコンフィズリーに変身。このコンフィズリーは宿泊客でなくても買い物ができ、またキャンディ作り教室などの開催の折も誰でもが参加可能である。

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コンフィズリーを備えた地上階。小さなフロントの背後に部屋の鍵が並ぶ光景が郷愁をそそる。photos:Benoit Linero

色さまざまなキャンディを並べたテーブルには、花や果物などの素朴なハンドペイントがチャーミングな陶器がコーディネートされている。イタリアのMolleni製で、フロントでは小さなボウルやマグカップなどを販売。旅の思い出にどうだろうか。Molleniの食器類は地下の朝食ルームでも使われていて、赤白のチェックのテーブルクロスと一緒に陽気な気分をもたらしている。食欲も刺激され、朝からなんだか食いしん坊なホテル。観光に出かける前、ここでのんびりしてしまいそう……。

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左・中: ホテルに明るい雰囲気をもたらすMolleniのカラフルな食器は、フロントで販売もしている。 右: オネスティーバーにもキャンディ! photos:Mariko Omura

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左: 石がむき出しの壁がいかにもマレ地区らしい、地下の朝食室。 中: 19ユーロのビュッフェ朝食にはクレープやミニドーナツなども。 右: 地上階の小さなパティオ。その奥は車椅子客のアクセスも可能なツインルーム。photos:(左・右)Benoit Linero、(中)Mariko Omura

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客室は2階から6階まで、中庭に面した10室がシャワー付き、通りに面した10室がバスタブ付きという造り。そして地上階のパティオに面したデラックス・ルームと最上階のジュニア・スイートには、日本人観光客に望まれるツインベッドが備えられている。合計22室のインテリアは各部屋それぞれ異なるが、室内装飾を担当したメゾン・サントンジュが属するAdresses Hotelsグループで アートディレクションを担当しているMarion Collart(マリオン・コラール)によると、ホテルのインテリアの共通イメージは“人形の家”だという。そして客室に色彩と庭をもたらしたいということから、花柄のベッドカバーや、蜂のモチーフのカーテンを選び、壁には彼女が蚤の市で掘り出したボザール校の生徒による植物のデッサンの額を飾った。これらは生徒の作品なので教師による採点も書かれている、といったエピソードが。家具のほとんどがヴィンテージ、そしてベッドサイドの電話機はダイヤル式で……マレ地区の建築物におなじみの天井の木の梁とこれらが調和をなして各客室内に流れるのは居心地の良い家庭的な雰囲気だ。

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左: パティオに面したデラックスルーム。 右: 最上階のペントハウススタイルのジュニア・スイート。Luco du Tertreの花柄のベッドカバーは裏がカラフルなストライプなので、常に室内に明るさがもたらされる。photos:Benoit Linero

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左: 通りに面したエグゼクティブ・ルーム。カーテンのモチーフはミツバチ。 右: 中庭に面したスーペリア・ルーム。ホテルの室料は170ユーロ〜。

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左・中: マリオンがフランス中で掘り出した鏡、デスクなど100点以上のヴィンテージ家具がホテル内に配されている。ベッドサイドのイタリア製の陶のランプは昔のスタイルを模した新しい品だ。 右: 機能的なバスルームにも、アンティークスタイルのコック類でクラシックな味わいを。アメニティはグロウン・アルケミスト。photos:Benoit Linero

フロントで入手できるガイドを滞在時の参考にしよう。徒歩5分の距離にカフェやレストランが多数あり、ピカソ美術館やギャルリー・ペロタンはホテルから5分以内だし、カルナヴァレ美術館やコニャック・ジェイ美術館にしても徒歩10分とカルチャー散策ができる。もちろんホテル周辺では小さなブティックでショッピングも楽しめる。「Marché des Enfants Rouges(アンファン・ルージュ市場)」に近く、古いリネンのレースや刺繍をプレタポルテにアップサイクリングする「Maison Flore(メゾン・フロール)」もすぐそば! メゾン・サントンジュに宿泊すると、まるで自宅から近所にちょっと出かけるように、バスにもメトロにも乗らず徒歩でパリを満喫できるのだ。

editing: Mariko Omura

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