レストランもおすすめ! 6区の新ホテル、ダム・デザール。

PARIS DECO 2023.02.19

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オテル・ダム・デザール。1950年代の建物の外観は歴史的建造物指定されている。このグラフィカルな姿を見ることを忘れないように。photo:Ludovic Baley

50年代に演劇学校として建てられ、かつてはホリデイ・インだったという6区のダントン通りの建物。それをメゾン・エ・オブジェの2023年度のデザイナーに選ばれたラファエル・ナヴォがヌーベルバーグに想いを寄せて、コンテンポラリーシックなホテルに蘇らせたのが2月1日にオープンした「Hôtel  Dame des Arts(オテル・ダム・デザール)」だ。最寄り地下鉄駅はOdéon、セーヌ河に近く、ノートルダム寺院までもすぐという便利な場所に生まれた4ツ星ホテルである。1階がフロントホール、レストランそしてテラス席のある中庭で構成され、2階から9階まで109の客室、そして10階にはパリを見わたすルーフトップという造りに加え、地下には朝6時から利用できるジム、それにシネマルームも。パリっ子も宿泊したくなるのでは?

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1階には中庭つきの味自慢レストラン。

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レストランの内部は50席、テラスは45席。朝食は7時~10時30分(土日11時)、ランチ12時〜14時30分、ディナー19時〜22時30分。パンは近くのサンタンドレ・デザール通りにも店を構える人気の「Liberté(リベルテ)」から。食事時間外はカフェ的に利用できるそうだ。

ゆったりとしたラウンジのような雰囲気のレストランが提案するのは、メキシコ料理にひねりを利かせたフュージョン料理である。メキシコ人の祖母に料理を学んだというシェフのオトニエル・アルヴァレズ・カスタネダは日本料理への関心も高く、そこにフレンチ・タッチもプラスして味わい豊かなクリエイションを提案している。ブルターニュの牡蠣もあれば、隠し味が柚子胡椒だったり。メキシコ料理に欠かせないトウモロコシはもちろん大活躍。素材の鮮度を重視し、内容は季節で変わる。デザートにはライムのシャーベットにハラペーニョとテキーラという“コロネル”があり、また食後酒としてテキーラを4種揃えているので、パリにいながら地球の裏への旅も体験できるレストランだ。料理をシェアして楽しむことをレストランは提案。ひとりより複数で行き、ぜひ、さまざまな味わいにトライを。

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直線と曲線のコンビネーションは、ラファエル・ナヴォによるインテリアのひとつのポイントとなっている。photos:(左)Mariko Omura、(右)Ludovic Baley

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メキシコ料理をベースにしたインターナショナルな料理。トウモロコシのリブやマグロとアボカドのガレットなど、スパイスの使い方や優しい味わいなど日本人の口に合う。いろいろ頼んでシェアして楽しもう。photos:Mariko Omura

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50年代アヴァンギャルドなパリを感じて。

芸術と文学の地である左岸という場所にインスパイアされたホテル内、ヌーベルバーグの映画のセットに身を置いたような気にさせる。建物全体を見上げるとわかるのだがホテルを擁する建物はグラフィカルな外観が印象的。彼は曲線を描くような柱や家具でバランスをとり、パリのエレガンスと50年代のアーティストたちの世界が交じり合うホテルをデザインした。客室のカテゴリーは8種だが微妙に波打つ形状の建物ゆえ、室内の内装はあちこち異なり合計36タイプの仕事となったそうだ。家具はロッシュ ボボアのためにクリエイトした椅子も含め、すべてがナヴォのデザインによるもの。多用されているコンクリート、客室のオーク材の壁、そしてエントランスや客室内の仕切りのガラス……これらには縦溝がつけられホテルのグラフィックなアイコンとなっている。

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ミニマルな内装の客室内、目を捉える縦のラインはホテル滞在の思い出のひとつに。サンジェルマンにまつわるアート作品が飾られている。最小の部屋は15㎡。1泊285ユーロ〜。photos:(左・右)Ludovic Baley、(中)Mariko Omura

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左: 広々としたエントランスロビー。 中: 客室に備えられたグラフィックなカバーのメモパッド。 右: 客室のテラスはパリの西側に面している。photos:Mariko OMURA

客室を含めホテル内に飾られるオリジナルアート作品は700点近く。これらはサンジェルマン・デ・プレをテーマに選ばれたものだ。バスルームでうれしい驚きはアメニティがディプティック!ということだが、このブランドがサンジェルマン大通りに起源を発することを思い出せば当然のセレクションだろう。109室のうち3分の1はテラス付き。パリを眺めながら、のんびりと朝食の時間を過ごすのも悪くない。テーブルに置かれているブロカントでよく見かける陶製の三角の灰皿はホテルのロゴ入り。客室内のメモパッドやロゴ入りトートバッグなどとともに、これもフロントで販売されているのでちょっとしたお土産になりそう。

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最上階はルーフトップ、地下1階はシネマルーム。

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ルーフトップバーは宿泊者以外も予約をすれば利用できる。灰色の屋根が連なるパリの景色は一見の価値がある。photos:(左)Ludovic Baley、(右)Mariko Omura

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地下1階のシネマルーム。photo:Ludvic Baley

ルーフトップ流行りのパリだけれど多くは右岸の出来事で、左岸ではけっこう珍しい。ホテルがホリデイ・インの時代から、この建物のルーフトップは知る人ぞ知る穴場として有名だったという。建物の10階とさほど高い場所ではないがエッフェル塔、サクレクール寺院など意外にも見晴らしはよい。ロビーから地下1階に下りて専用のエレベーターでアクセス。ここでパリを眺めながらグラスワインやカクテル!という暖かい季節の到来が待ち遠しい。

さて地下1階にはジムだけでなく、映画の地サンジェルマンらしくシネマルームも備えられている。ここは映画の上映のみならず。会議場としての使用もできるように設計され、また女性をテーマにさまざまな分野での“パイオニア”を毎月ひとりずつ紹介するイベントも進行中だ。

Hôtel Dame des Arts
4, rue Danton
75006 Paris
Tel 01 81 69 00 06
www.damedesarts.com
@damedesarts

 

editing: Mariko Omura

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