ブルターニュに小旅行、アントワネット・ポワソンのお宿で眠る。
PARIS DECO 2024.05.15
アントワネット・ポワソンのふたり組、ジャン=バティスト・マルタンとヴァンサン・ファレリーがブルターニュ地方に引っ越して4年くらい経過しただろうか。彼らを惹きつけた土地はモルビアン湾に突き出したPort-Louis(ポール=ルイ)。この地に暮らし、アトリエを構える彼らは、昨年の初夏には"バザール・シック"と謳うティールームを併設したコンセプトストア、Port-Liberté(ポール=リベルテ)をオープンした。さらに昨秋にはスイートルーム1室のメゾンドットも開いているので、これからの季節の旅の行き先リストに入れておきたい。
パリからポール=リベルテを訪ねてみよう。モンパルナス駅からTGVでLorient(ロリアン)まで約3時間。Lorientからタクシーで約15分。
これからの季節、海岸でもポール=リベルテの庭でも太陽を満喫できる。
ポール=ルイにあるポール=リベルテ......ちょっと混同しそうになる。地名のポール=ルイはルイ13世にちなんでいるため、フランス革命時代に共和国政府がかつての王の名前はふさわしくないと、ポール=リベルテと改名し......と、実は同じ場所のことを指しているのだ。現在は再びポール=ルイが地名。ふたりは店名にポール=リベルテという名称を頂戴し、昨秋、彼らにとって初となる風景がモチーフの壁紙ポール=リベルテも発表している。この壁紙にまつわるエピソードを知ると、彼らのこの地と18世紀のアールドゥヴィーヴルに対する愛情が見えてくるだろう。
左: ブティックはアントワネット・ポワソンが選んだ品を集めたシックなバザール。右: ブティック内、毎月第1木曜の夜に14名限定のディナーを催している(69ユーロ/アミューズブーシュ、前菜、メイン、チーズ、デザート、ワイン、カフェ)。予約はインスタグラムでメッセージを送るか、電話+33 2 97 89 77 15で。
総裁政府時代(1795~99年)、『亡命貴族たちの帰還』と名付けられた屏風に仕立てられた8枚続きの装飾画が存在した。そのうちの4枚がドゥルオー競売場で売りに出た時にカルナヴァレ美術館が競り落とし、アントワネット・ポワソンに修復を依頼したのだ。まだブランド設立前のことで彼らが18世紀の装飾芸術の修復を専門に行っていた2004年のことである。時が流れ、2022年にリヨンの競売場で彼らは偶然にもこの壁紙『亡命貴族たちの帰還』のより完全なバージョンを入手。描かれているのはフランス革命を避けて亡命していた海外からフランスに戻ってきた貴族たち、港を護る衛兵......この光景にインスパイアされた壁紙を彼らは制作し、『ポール=リベルテ』と命名したのだ。壁紙はブティックで見ることもでき、また彼らのティールームであるポール=リベルテでは壁を飾っている。この空間で木のベンチに腰掛けて、パティスリーと紅茶を前に描かれているひとりひとりを眺めるうちに、自分も亡命先からポール=ルイの港についた人物のような......遠い18世紀が身近に感じられるのではないだろうか。
アントワネット・ポワソンのブティック、ポール=リベルテで壁紙ポール=リベルテ』に囲まれてティータイム!
ジャン=バティストはとてもグルメで料理上手。彼のティールームのパティスリーの味に間違いなしだ。
ブティックはアントワネット・ポワソンの商品だけでなく、ふたりがセレクトしたオブジェやブロカントの品なども扱っている。場所は決して便利とは言い難いので、ここまで足を延ばすのであれば、ぜひ3階を占めるスイートルームに宿泊を。港に面した居間、寝室、バスルームという作りで、もちろんアントワネット・ポワソンによる内装。18世紀気分に包まれるスイートルームだ。目覚めたら2階にて朝食。もし天気が良ければ庭でも!
港に面した居間。18世紀の家具でリラックスする。
居間からステップを5段上がって寝室へ。
左: バスルームは機能的な作りだ。右: スイートルームは2名、朝食付きで1泊250ユーロ。
Port-Liberté
4, rue de la Poste 56290 Port-Louis
営)14:00~19:00(水~金) 10:00~19:00(土) 15:00~19:00(日)
休)月、火
宿の予約はportliberte@antoinettepoisson.com
editing: Mariko Omura