たゆたえども沈まず 島地勝彦人生相談 夫から浮気の告白、そんな時どうする? 伝説の編集長が答えます。

フィガロジャポン5月発売号から始まる新連載「たゆたえども沈まず 島地勝彦人生相談」。読者から寄せられた悩みに、かつて『週刊プレイボーイ』を100万部売った“伝説の編集長”島地勝彦が答えます。madame FIGARO.jpでは連載の開始に先立ち、web限定で人生相談を実施しました。第1回目の相談者は、夫から浮気を告白された女性。さて、シマジ先生の回答は?

Q. 夫から不倫を告白されました。

夫の不倫が発覚しました。というより、夫はなんと隠すことなく「妻である君と同じくらい好きな人ができてしまった、どうしたらいいだろう?」と打ち明けてきました。隠されてこそこそされるのも嫌ですが、打ち明けられても嫌です。

ユーモアがあって、子供のような天真爛漫さに惹かれて結婚しましたが、「さすがにそんな悩みを相談されても……」と怒りより情けない気持ちになっています。

そんなダメ男!と思うかもしれませんが、なんか憎めず、自分自身も離婚したいのかしたくないのか、よくわかりません。(40歳・広告営業)

1.jpg

photo:MIREI SAKAKI

A. 相談者のご主人は、稀にみる勇敢な男で、はたまた閃きの才人なのかと、わたしは正直、驚き、感服しました。結婚しているすべての男性にとって、奥方はこの世でいちばん怖い存在です。どんなに社会的地位が高く、有名な夫でも、「女房の目には英雄なし」なのです。しかしこの夫はあろうことか、奥さんのあなたに向かって堂々と、「妻であるあなたと同じくらい好きな人ができました。どうしたらいいだろう」と母性愛に訴えて、泣きついたのです。

これはかなり意表を突いた行動です。わたしは4月7日で、傘寿になる人間です。これまで万巻の書を読んできましたが、こんな奇想天外な話は読んだことがありません。これが夫が切羽詰まって即興的に吐いたセリフだとしたら、あなたの夫は、稀にみる閃きの天才です。わたしの長い生涯のなかの“人生の真夏日”は、「週刊プレイボーイ」の編集長の時代でした。そのときわたしは部下として、あなたの夫のような当意即妙の“嘘つきの才人”を探したものです。

相談者が質問に書いている通り、答えは自ずと出ています。相談者の旦那さんがどんな職業か知りませんが、男としてかなりユニークです。いまからこんな面白い夫を探すのは、むしろ難しいことです。わたしが相談者なら、彼と離婚するにはもったいないような気がします。なかなかこういう憎めない男は滅多にいませんよ。

想像するに、あなたの夫は年下のような気がしますが、もしかしたら、あなたのほうが年下かもしれませんね。もしそうだとしたら、ますます貴重な愛すべき男です。浮気というものは、わたしの細やかな経験でいえば、そう長く続くものではありません。ある種の熱病みたいなもので、まあ2、3年の辛抱でしょう。でも人生には例外もあります。本妻と愛人を両立させて、両方を終生愛した歴史的な“怪物たち”はたくさんいます。

会社にたとえて言えば、あなたは堂々たる本社の大社長です。愛人は子会社の社長と思えばいいのです。ですから相談者は、優雅に堂々と構えていてください。最近わたしが閃いた格言をあなたに捧げます。

愛人は人生の素敵な相棒であるが、女房は人生の永遠の戦友である

Vertical-580x720のコピー (9).jpg

『たゆたえども沈まず 島地勝彦人生相談』応募はこちらから。

【注意事項】
●ご応募は日本国内在住の成人の方に限らせていただきます。
●ご応募いただいた際は、当サイトの定める個人情報保護方針に同意いただいたものといたします。
●送信完了した応募内容の変更はできません。
●いただいたご相談は厳重な管理の下、相談者のプライバシーに十分配慮して取り扱います。
●ご相談は、編集部で内容確認のうえ、採用させていただくことになれば、島地氏に送らせていただきます。
●採用となったご相談は、雑誌「フィガロジャポン」掲載時に内容に相違のない範囲で編集部にて文章を整える場合があります。また、個人名や団体名、その他プライバシーに配慮し、名称などを伏せて掲載する可能性があります。 
●採用となったご相談は、雑誌以外にフィガロジャポンのオンライン、公式LINEニュース、アンテナ、Yahooニュース、Yahooトリルなどにも掲載されます。
問い合わせ先:
CCCメディアハウス フィガロ編集部

https://www.cccmh.jp/form/pub/cccmh/index

1941年生まれ。『週刊プレイボーイ』編集者として直木賞作家の柴田錬三郎、今東光の人生相談の担当者に。82年に同誌編集長に就任、開高健など人気作家の人生相談を企画、実施。2008年からフリーエッセイスト&バーマンとして活躍。現在は西麻布『Authentic Bar Salon de Shimaji』でバーカウンターに立ち、ファンを迎えている。

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
Figaromarche
あの人のウォッチ&ジュエリーの物語
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories