何度注意しても片付けをしない彼氏、 どうしたら直る?

読者から寄せられた悩みに、かつて『週刊プレイボーイ』を100万部売った“伝説の編集長”島地勝彦が答えます。

Q.片付けをしない彼氏、どうしたら直る?

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画像はイメージ。photo: Jakovo_istock

同棲している年下の彼氏が家事をしてくれません。「家賃は折半、自分のことは自分で」と決めたのに、共有スペースの掃除や洗濯物の取り込みなど、ほとんど私がやっています。食べ終わったお皿や飲みかけのグラス、髪を拭いたタオルは使ったまま置きっぱなしです。聞けば実家では専業主婦のお母さんが家事をすべてやっていたようで、部屋というものは勝手に片付くのが当たり前だと思っていたようです。元気で可愛げのある憎めない彼ですが、毎度毎度注意することに疲れてしまいました。どうすればきちんと片付けをしてくれるのでしょうか?(百貨店勤務/33歳)

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A.散らかし癖はなかなか直らないものです。

散らかし癖はなかなか直らないものです。「冨嶽三十六景」を描いた葛飾北斎も掃除が大の苦手でした。海を越えてゴッホやゴーギャンにまで影響を与えた北斎は、常に汚れた服で机に向かい、食べ物の包み紙は散らかしっぱなし。峻厳な富士山の浮世絵は、ゴミ屋敷の中で生まれたのです。限界まで汚くなると新居を探し、古巣を片付けもせずに移り住みました。およそ90年にわたる生涯の中で93回も引っ越しをしたというのですから、筋金入りの片付け嫌いだったのでしょう。 かくいうわたしも、母親に猫可愛がりされたおかげで家事は全くと言っていいほどできません。ゴミ屋敷にならなかったのは、60年一緒にいる妻が掃除、洗濯の天才であるおかげだと感謝しています。

もし長年の習慣を変えさせたいのなら、劇薬を使うしかないでしょう。シマジ家の事情を告白すれば家事にはその都度、労働対価を払う」という決めごとをしています。わたしの仕事場の掃除や洗い物は3000円。レトルトカレーを食べたいとき、米を炊きレトルトパウチを湯煎してもらうのに3000円、といった具合です。とはいえ、相談者に必ずしも「お金で解決せよ」とアドバイスしているわけではありません。目に見える家賃同様、家事も大きな負担だということを徹底的に話し合うべきなのです。

正直に言えば、彼に片付けを習慣づけさせるのは難しいでしょう。できない家事をやらせるより、家事をあなたがすべて引き受け、家賃の分担を納得できる割合に調整したほうが互いに気分よく過ごせるのではないかと思います。

他人と暮らす上で、いちばん大切なのは寛容であることです。以前の相談でも書きましたが、一つ屋根の下にいると相手の嫌なところばかり目についてきます。相手の欠点を許し、美点を見つけて褒め合う。これは家庭に限らず、すべてのことに通じていそうです。

もう一つ、まったく別の考え方もお伝えしましょう。家事を一方的に押し付けられて辛い。ならば、別々の家に暮らせばよいのです。それぞれが生活スタイルに合わせて家を持ち、タイミングが合えば一緒の時間を過ごす。彼も一人暮らしをすれば、相談者のこれまでの負担を理解するかもしれません。平安時代には、男も女も互いに家を持ち、通い婚で結婚生活を送っていました。近ごろ「週末婚」が注目されているようですが、お互いを尊重し合える理想的な生き方ではないかとわたしは思っています。

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*「フィガロジャポン」2021年9月号より抜粋

1941年生まれ。『週刊プレイボーイ』編集者として直木賞作家の柴田錬三郎、今東光の人生相談の担当者に。82年に同誌編集長に就任、開高健など人気作家の人生相談を企画、実施。2008年からフリーエッセイスト&バーマンとして活躍。現在は西麻布『Authentic Bar Salon de Shimaji』でバーカウンターに立ち、ファンを迎えている。

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