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『国宝』上・下 吉田修一 著

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発売当初から読もう読もうと思いながら、なんだかもったいない気がしてこれまで読めていなかった、吉田修一さんの小説『国宝』。極道の息子が歌舞伎役者の道へ進み、歌舞伎界の御曹司と切磋琢磨しながら波乱万丈な人生を歩んでゆく物語です。
年末出かけた松本幸四郎さんの『Kesho』展で、久しぶりに会ったPRのKAMIMUさん(歌舞伎好き)とこの本の話になり、「まだ読んでないの⁉︎」「ものすごいから!!!」「早く読みなさい!!!」と畳み掛けるように言われ、そろそろ読もう、と、早速元旦から読み始めました。

ちょうど物語はお正月からスタート。あ、すごくいいタイミングで読み始めることができたな、と思いながら読み進んでいくと……ページをめくる手が止まりません。
そのおもしろさにはいろいろな要素があるのですが、まずは、物語の語り口。「〜なのであります」「〜なのでしょう」など、その語り口調ゆえ舞台を見ているようにすうっとストーリーに引き込まれます。そして、素晴らしい描写力。その人の表情、息遣い、所作、風景まで、映像が頭に浮かんでは移り変わっていきます。そしてなにより物語の筋がすごいのです。読み始めて早々に、ものすごい小説に出合ってしまった……と。

発売当時の吉田修一さんのインタビューを読んでいると、鴈治郎さんに黒衣を借りて、舞台裏や楽屋に入り込んで取材をされていたそうです。その取材魂、素晴らしいです。そして羨ましい……。

歌舞伎が好きで、ほぼ毎月歌舞伎座へ観劇に出かけているので登場する演目についてはほぼわかるのですが、丁寧に演目の内容などが説明されているので、歌舞伎を知らない人にも読みやすく、物語に没頭できると思います。このとてつもない作品を、ぜひいろんな人に読んでほしいです。

編集MI

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