日常のかけらが詰まった、CACLの箸置き。
編集部員の、最近のお買い物。 2026.01.17

箸置きが好きだ。
なくても困らないけれど、あるだけで食卓の景色が少し変わる。特に、陶芸の産地などで、ざるにまとめて入れられた中からお気に入りを探す時間が楽しい。
先日、新宿のAWASE GALLERY「On」で開催中の企画展「We Are All Fragments ― 私たちは、みんなカケラだ ―」を訪れた。石川県能見市で、廃棄される工芸品や陶磁器片をアート作品や建築材料として再生させるCACLとギャラリーとの共同企画だ。
CACLには、2024年1月の能登半島地震で割れてしまった陶磁器の破片約5tが集まったという。会場には、九谷焼や珠洲(すず)焼の破片を、輪島塗で知られる能登の金継ぎ技術によって繋ぎ合わせて生まれた作品が並んでいた。
「陶器は、欠けた途端、ひとつとして同じではなくなる」
CACL代表・奥山純一さんの言葉のとおり、欠けたことで生まれる個性と美しさが、静かに伝わってくる展示だった。

破片を金継ぎで紡いだ作品。「かけらのピースがはまるととっても気持ちいいんです」と語る奥山さんのうれしそうな表情が印象的だった。

白磁の壺も、口の部分が欠け、そこに色が載せられることによって美しいアート作品に変わるのがおもしろい。

もともとの陶器の柄を生かして継いだ作品も数多くある。会場で、作品の表面だけでなく、ぐるっと鏡越しに見える裏面も楽しんでほしい。
一点ものの作品に心惹かれお家に迎えようかな...と思ったものの、ほとんどがすでに売約済み。そんな中、会場入り口で目に飛び込んできたのが、割れた九谷焼の破片を閉じ込めた箸置きだった。アクリル樹脂の中に、色とりどりの破片と金粉が入っていて、どこか宝石のようにも見える。
「これは誰かのお茶碗だったのかもしれない」「この色の組み合わせは、もともとは別々の器だったのかも」ーーそんな想像が自然と広がる。

色とりどりの箸置きは、その場で購入もできる。私は冒頭の小さな花柄が散りばめられたものと、色の組み合わせが印象的な2種類をお迎えした。
かつて神戸で新聞記者として働いていた。今日で発生から31年を迎えた阪神・淡路大震災や災害で被災した人からお話をうかがう機会もたくさんあった。話を聞くたびに、一人ひとりが丁寧に紡いできた「暮らし」が一瞬で失われる現実に、胸を締めつけられ、やるせない気持ちになった。
災害が起こるたびに、日常の中の美しさや文化の復興までなかなか手が回らない状況が起こる。けれど、こうしてアートというかたちで誰かの暮らしを未来へ繋いでいくこと、私たちが大切にしている"アールドゥヴィーヴル"という考え方が小さな希望を生み出すのではないか、とあらためて感じた。
かけらが生み出す繋がりや美しさを感じられる企画展示は1月25日まで。新宿に立ち寄った際は、ぜひ足を運んでみて。かわいい箸置きも要チェック。
会期:〜2026年1月25日(日)
会場:AWASE gallery プロジェクトスペース「On」
東京都新宿区新宿3-32-10 松井ビル8F
開)12:00〜19:00
休)月、火
入場無料
https://awase-gallery.com
AWASE gallery
E-mail : info@awasegallery.com

フィガロジャポンエディター、フィガロジャポンBusiness with Attitude事務局長。お堅い部署からフィガロに異動してきてはや3年、今年こそファッション、ビューティ知識を深めたい。Kawasaki Ninjaでのツーリングにもチャレンジしたい。
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