齊藤工撮影、歌で客席を包み込むSalyuのポートレート。

俳優・斎藤工が、アーティスト・齊藤工として手がける、モノクロ写真。尊敬する人、会いたい人にカメラを向け、映画のメインキャストを撮影するように、一瞬の表情と佇まいを写し取る。フィガロジャポン本誌「齊藤工 活動寫眞館」に未掲載のカットと、齊藤自身の言葉で、撮影舞台裏を綴ります。今回は、11月に大阪・堺市にて行われたイベントにて、ボーカリストのSalyuを撮影。

劇場で映画を観て、感動を共有するという体験を、劇場のない場所に住む子どもたちに届けたい。劇場で映画を観ることがなくなってしまった大人たちに再び体感してもらいたい。そんな想いから齊藤工が主宰し、これまで国内外のさまざまな場所で開催されてきたシネマバード(cinéma bird)。

コロナ禍で劇場の喪失が加速し、大人数のイベント開催が難しくなってしまった2020年。そんな中、10月には初めて東京で、ソーシャルディスタンスを確保できるドライブインシアターの形で、医療従事者とその家族を招待して行われた。

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©︎世界遺産劇場百舌鳥古墳群 produced by TGC

そして11月、シネマバードは大阪・堺市へ。齊藤とかねてより縁のある東京ガールズコレクション(TGC)のイベント『世界遺産劇場 百舌鳥古墳群 produced by TGC』のコンテンツとして実施された。そのゲストアーティストとしてライブを披露したのが、ボーカリストのSalyu。

「観客として、ファンとして、幾度となくステージ上のSalyuさんを観てきました。Salyuさんから放たれる唯一無二の浄らかな成分のような歌声。それを今回の世界遺産劇場で観客の方々とともに浴びられたら素晴らしいなと思いました」

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ライブは映画の上映終了後、会場に夕陽が差し込む頃。世界遺産を擁する場所で、隣の人との1mの距離を保ちながらも同じ空間を共有している観客にSalyuが届けたのは、「to U」。

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©︎世界遺産劇場百舌鳥古墳群 produced by TGC

優しく包み込むような歌声と、表現される歌詞の世界が、いまいっそう心に響く曲。医療や教育に従事する人たちにマスクを寄付するためにap bankが今年5月に立ち上げた「PROTECT “to U”」を象徴する楽曲でもある。シネマバードのコンセプトとも重なり、スペシャルなイベントを美しく締めくくった。

「Salyuさんは『映画の妖精 フィルとムー』『秒速5センチメートル』の上映後、シネマバードの大トリとしてのご出演だったのですが、Salyuさんのいままでの“映画”との関わりのあるセットリスト、そして『to U』という神がかりな流れを作ってくださり、鳥肌が立ちました」

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世界遺産劇場
www.sekaiisangekijyou.com


シネマバード
http://cinemabird.com

SALYU
1980年横浜市生まれ。2000年、音楽家・小林武史のプロデュースによりデビュー。岩井俊二監督『リリイ・シュシュのすべて』(01年)の音楽プロジェクトにLily Chou-Chouとして参加。04年、Salyu名義でソロデビュー。06年、Bank Band with Salyuとして、桜井和寿(Mr.Children)とのデュエットソング「to U」を発表。11年、声を多重録音する手法を用いた新プロジェクトsalyu × salyuを始動、アルバム『s(o)un(d)beams』を小山田圭吾(Cornelius)との共同プロデュースにて発表。17年より、宮沢賢治の諸作品をベースにした音楽劇『四次元の賢治』に出演。18年、再びBank Band with Salyu名義で「MESSAGE-メッセージ-」を発表。現在、さまざまな形態、編成、客演などの活動を中心に、ボーカル表現の新しい可能性を追究している。
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TAKUMI SAITOH
長編初監督作『blank13』が国内外の映画祭で8冠獲得。2018年、パリ・ルーヴル美術館のアート展にて白黒写真作品が銅賞受賞。19年も出品。18年よりHBO Asiaの国際プロジェクトにて2年連続日本代表監督を務め、多数の賞を受賞。Asian Academy Creative Awards 2020ではそのうちの1作『Life in a box』が最優秀監督賞を受賞、日本人初快挙となった。コロナ禍に生まれた、主演作『8日で死んだ怪獣の12日の物語』(岩井俊二監督)、『孤独な19時』(園子温監督)が公開、配信中。最新主演作『シン・ウルトラマン』(庵野秀明企画・脚本)、監督作『ゾッキ』が21年公開予定。移動映画館「cinéma bird」主宰。「MiniTheaterPark」の活動など。Instagram : @takumisaitoh_official

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