『CUBE 一度入ったら、最後』の監督と出演者を齊藤工が撮影。
「齊藤工 活動寫眞館」について 2021.10.22
俳優・斎藤工が、アーティスト・齊藤工として手がける、モノクロ写真。尊敬する人、会いたい人にカメラを向け、映画のメインキャストを撮影するように、一瞬の表情と佇まいを写し取る。フィガロジャポン本誌「齊藤工 活動寫眞館」に未掲載のカットと、齊藤自身の言葉で、撮影舞台裏を綴ります。今回は、公開中の映画『CUBE 一度入ったら、最後』の清水康彦監督と共演者5名を撮影した。
1997年に公開された映画『CUBE』といえば、いまでこそ当たり前になったワンシチュエーションスリラーというジャンルにおける先駆けにして金字塔といえる作品。低予算にも関わらず、巧みな脚本と演出、斬新な設定によって世界中でカルト的な人気を獲得した。
そんな名作が、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督による初の公認というお墨付きを得て『CUBE 一度入ったら、最後』として蘇る。
2001年、映像ディレクターとして活動開始。ミュージックビデオを多数演出。その後、映像ディレクター・プランナーとして、企業広告、ファッション、行政案件など、活動の幅を広げる。19年、初長編映画『MANRIKI』公開。21年9月3日、映画『その日、カレーライスができるまで』公開。
監督を務めたのは、映像ディレクターとして数々のミュージックビデオやテレビCMを世に送り出し、2019年からは映画監督としての活動も開始した清水康彦。その型にハマらない作風と映像センスで、ヴィンチェンゾ・ナタリに「彼なら何かおもしろいことをしてくれる」と言わしめた。
映画監督としてのキャリアは約2年ながら、齊藤とともに作品を作るのは実は3度目。初長編作『MANRIKI』では主演を、現在公開中の『その日、カレーライスができるまで』では、企画・プロデュースを齊藤が務めている。
「もともとは海外の制作チームと日本のキャスト、スタッフの合作のプロジェクトだったものの、コロナ禍もあって海外チームの来日が不可能になり一時は立ち止まりましたが、日本で相応しい監督を探し撮影する方向に。映像感覚や映像哲学的に清水監督しかいないと確証した私は、『MANRIKI』や「ペンション・恋は桃色」、さまざまなMVと共に推薦させていただきました。完成した作品を鑑賞し、オリジナル監督のヴィンチェンゾの喜びコメントも含めて、偶然が必然になったなと思いました」
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2009年『仮面ライダーW』でデビュー。13年『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。17年『あゝ、荒野』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞ほか多数受賞。22年の待機作にCX1月期ドラマ「ミステリと言う勿れ」、NHK 大河ドラマ「鎌倉殿の 13 人」がある。
主演は、この活動寫眞館への登場は参拾以来2度目となる菅田将暉。殺人トラップが襲い掛かる謎の立方体に閉じ込められた極限状態の中で、過去のトラウマに向き合いながらも冷静に暗号を解析し、脱出への糸口を探る主人公後藤祐一を演じた。
「菅田将暉さんは、これだけ時代の先端、矢面に立ち続けながら、摩耗していないしイニシアティブが常に本人にある感じが見ていて清々しいし頼もしい方。彼の下の世代の俳優の可能性を拡げ続けていますね。今回もナチュラルなセッションをさせてもらえました」
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2007年に女優デビュー。その後、テレビ・映画・CMなど多方面で活躍中。現在、TBS日曜劇場「日本沈没-希望のひと-』に出演する他、TBS「世界遺産」でナレーター、BS8K「見たことのない文化財」でナビゲーターを務める。公開待機作品に「鹿の王〜ユナと約束の旅〜」(声優・近日公開)がある。
杏が演じるのは、唯一の女性参加者である甲斐麻子。自らは多くを語らないミステリアスな存在だが、CUBEからの脱出を牽引する後藤と井出寛(齊藤)を冷静沈着な判断で支える重要な役割を担う。
「杏さんは知性と品性を持っている方、特にCUBEでは杏さんのそんな特性が存分に活かされていると思いました。被写体としてのキャリアは言わずもがな、シャッターを押す度に作品を成立させて下さいました。圧巻」
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2006年デビュー。近年の主な出演作は、20年の映画『星の子』、21年の『さんかく窓の外側は夜』、『Arcアーク』、『ドライブ・マイ・カー』、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」など。11月19日に『聖地X』の公開が控えるほか、12月から主演舞台「ガラスの動物園」が上演予定。
岡田将生演じる越智真司はコンビニ勤務のフリーターで、明るく人懐っこい性格である反面精神的に脆く、閉じ込められた現実を受け入れられずパニックに陥ってしまう。また、自分が社会から虐げられているという意識が強いため権力者や年上に嫌悪感を抱いているため、社会的地位を手にしている安藤(吉田)と衝突するなど、CUBEに参加した人間の感情の機微を生々しく描く。
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幼少期から活動し、主な出演作に、2019年のCX「仮面同窓会」、TBS「ノーサイド・ゲーム」、20年の日本テレビ「FAKE MOTION -卓球の王将-」、NHK for Schoolで配信の「で~きた」などがある 。今後は、来年1月放送のNHK BSプレミアム「旅屋おかえり」の1・2話に出演予定。
宇野千陽を演じたのは、見事オーディションを通過して主要キャストに大抜擢された13歳の若手俳優・田代輝。元々は明るい性格だったが中学校で壮絶ないじめに遭ったことで誰のことも信用できないほどに心を閉ざしてしまうが、後藤に触れることで少しずつ変化し、また過去のトラウマと戦う後藤にも変化を及ぼすことになる。
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1997年に劇団AUNを旗揚げ。演出も手がける。蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品に多数出演。2017年、彩の国シェイクスピア・シリーズ2代目芸術監督に就任。『アテネのタイモン』『ヘンリー五世』『ヘンリー八世』『終わりよければすべてよし』を演出、『〜タイモン』では主演も務めた。読売演劇大賞優秀男優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。近年では映像での活躍も目覚ましい。
吉田鋼太郎が演じた安東和正は、業界をがむしゃらに渡り歩いてきたやり手のサラリーマンであり広告代理店役員。故にやる気のない若者や子どもが嫌いで、主に越智や宇野と衝突することとなるが、それがCUBEの中で巻き起こるさまざまな人間模様の発端となる......。
体力と精神力の限界、極度の緊張と恐怖があぶり出す人間の本性......。誰が何のために作り出したかわからないCUBEを通して見えてくるのは、謎の立方体の恐ろしさか、人間の恐ろしさか。
●原案・クリエイティブアドバイザー/ヴィンチェンゾ・ナタリ
●監督/清水康彦
●脚本/徳尾浩司
●音楽/やまだ豊
●出演/菅田将暉、杏、岡田将暉、田代輝、吉田鋼太郎、齊藤工
●全国公開中
https://movies.shochiku.co.jp/cube/
TAKUMI SAITOH
ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi