「ミラーライアー・フィルムズ」の撮影現場で、伊藤沙莉を齊藤工が撮影。
「齊藤工 活動寫眞館」について 2022.08.22
俳優・斎藤工として活躍しながら、映画監督やフォトグラファーとしても精力的に作品づくりを続けるクリエイター・齊藤工。2017年にスタートしてから、今号で62回目を迎えたフィガロジャポン本誌の連載「齊藤工 活動寫眞館」では、彼がこれまでに出会ったアーティストや尊敬する人にカメラを向け、一瞬の表情と佇まいを切り取る。madame FIGARO.jpでは本誌未掲載の撮りおろしカットと、齊藤自身の言葉で、撮影の背景やエピソードを綴ります。今回は「ミラーライアー・フィルムズ」の撮影現場で、伊藤沙莉を撮りおろした。
"変化"をテーマに、計36人のクリエイターが監督したオムニバス形式の短編映画プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS」。9月2日から公開されるシーズン4では、水川あさみやムロツヨシなど計9人が監督として参加している。齊藤工もそのひとり。伊藤沙莉を主演に迎え、『女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE』を発表する。
「共演させていただいた『家族ごっこ』(2015年)というオムニバス映画での試写で伊藤さんに初めてお会いしました。7、8年前ですが、当時から圧倒的な存在感と表現力、お若いのにどこか老成した佇まいでした。
それから何度か共演させて頂いた流れで『blank13』にも出ていただきました。
そして今回の『女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE』はもともと、5年ほど前に伊藤さんへの当て書きで作成した、私が初めて書いた脚本なのです」と齊藤は語る。
『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』と聞くと、2019年に齊藤が企画・原案・撮影・脚本・監督などを務めた作品が思い浮かぶ。現代社会において過度になったコンプライアンスにより、表現の自由が制限された現状をさまざまな表現で描いている。今回、伊藤が参加した『女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE』は、前作を齊藤がセルフリメイク。コンプライアンスを気にしすぎるスタッフたちから女優・伊藤沙莉が取材を受けるというコメディになっている。その背景について、齊藤はこう振り返る。
「当て書きだった脚本を、"コロナ禍に置けるコンプライアンス"にアップデートしました。私も出演しながらカメラを回しているので、ささやかな導きとタイムキーパーはしましたが、アルピー平子さん(アルコ&ピース平子祐希)VS伊藤さんというエチュードの極みの瞬間に惚れ惚れし、時おり我を忘れていました。オムニバスならではの、お洒落で哲学的?な作品を続けて見ることで、なぜかどれも印象に残らない現象に逆らってみたつもりです」
同作のキャストは伊藤のほか、戸塚純貴、斎藤工、前作にも登場した平子祐希(アルコ&ピース)、大水洋介(ラバーガール)といった個性的な面々。「ミラーライアー・フィルムズ シーズン4」では、同作のほか8作品が公開される。
プロジェクトのキャッチコピーは「境界線(ボーダー)なんて幻想だ。」。
誰でも映画を撮れる時代だからこそ表現される、自由で新しい映画を目撃したい。
https://films.mirrorliar.com
1994年、千葉県生まれ。2003年にドラマデビュー。映画『blank13』(18年)、『ちょっと思い出しただけ』(22年)、ドラマ「拾われた男 Lost man Found」「ももさんと7人のパパゲーノ」をはじめ、数々のドラマ、映画、舞台、CMに出演。 複数のクリエイターたちが監督を務める、短編映画制作プロジェクトの第4弾「MIRRORLIAR FILMS Season4」では、齊藤工監督の『女優iの憂鬱/COMPLY+-ANCE』に出演する。
TAKUMI SAITOH
ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi