齊藤工が黒木華に感じた「品位と知性と凛とした佇まい」

映画監督そしてフォトグラファーとして表現活動を続ける齊藤工。フィガロジャポン本誌とmadameFIGARO.jpにて連載中の「齊藤工 活動寫眞館」で今回カメラを向けた被写体は、俳優・斎藤工として映画『イチケイのカラス』で共演した、女優・黒木華。フィガロジャポンでは過去に、きものを纏って、また最新トレンドのファッションを着てモード撮影に登場してくれた。

齊藤がモノクロ写真で捉えた、黒木の表情とは?

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個性と美しさが絡み合い、なんとも独特なムードが漂う人。一度見たら、忘れられない人。作品の中であろうと、リアルであろうと、黒木華と出会ってしまった人はそう感じるのではないだろうか。
「映画の中だけに存在する方という印象でした。かつての高峰秀子さん然り、品位と知性と凛とした佇まいを持ち合わせた稀有な女優さん」
映画『イチケイのカラス』で共演した齊藤はその印象を語った。

『イチケイのカラス』は裁判官たちの日々を描きながら、裁かれる側の人がどんな人生を送ってきたか、その背景を知ることで、他者を裁くこととはどういう責任と意味を持つのか、を観る者に問いかけるドラマだ。同時に、裁く側である主人公たちの葛藤や心の中で湧き上がる思いを描いている。黒木が演じるのは、非常にクールな女性裁判官(映画版では弁護士に転身)。意図的に感情を出さないようにしているが、強さの中にフラジールなものが見え隠れする、複雑な役どころ。そんな黒木のことを、弁護士役で共演した齊藤は、
「誰よりも作品を背負って、ドラマを経て劇場版に昇華して行く意味や意義を現場で示していらっしゃったと思います。仕上がりを観た時に坂間千鶴の"あるシーン"に心揺さぶられました」と表現する。

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写真は2カットとも、2022年8月、映画『イチケイのカラス』の撮影現場にて撮られたもの。フィガロジャポン2023年2月号より転載。

齊藤が撮った黒木華は、真っすぐこちらを見つめる表情をしている。撮影の現場でモノクロポートレートを撮影する齊藤、撮影される被写体の黒木。この表情には、演じている坂間千鶴役の凛とした内面と、黒木華本人の中にあるしなやかさの両方が宿っている印象があるが......。
「黒木華さんを撮影させていただくなんて畏れ多くて、恐縮してしまい、めちゃくちゃ小ちゃくなりながら撮った、という記憶が残ってます。でも、だからこそ、この写真に『強さ』が焼き付いたんじゃないのかなとも思います」

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映画『イチケイのカラス』撮影現場、黒木華ににじりより、その表情を捉えようとしている齊藤工。野球部のユニフォームで撮影していたとは...!

黒木華/HARU KUROKI
1990年3月14日生まれ、大阪府出身。舞台女優としての存在感を認められ、2011年より映画やドラマに出演。『小さいおうち』(14年)ではベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。テレビドラマに続き、裁判官・坂間千鶴役を演じる映画『イチケイのカラス』、『ヴィレッジ』などが23年続々公開。舞台『ケンジトシ』が23年2月〜3月に上演。
映画『イチケイのカラス』
●監督/田中亮
●出演/竹野内豊、黒木華、斎藤工、向井理ほか
●2022年、日本映画
●119分
●配給/東宝
●2023年1月13日より、TOHOシネマズ日比谷ほか、全国にて公開
https://ichikei-movie.jp/

TAKUMI SAITOH

ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi

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