実直さと真っすぐな熱意――齊藤工が映した高山一実。
「齊藤工 活動寫眞館」について 2023.02.20
昨今、俳優業がますます多忙化している斎藤工。だが、齊藤工の名で、映画監督、写真撮影など、クリエイターとしての活動にも拍車がかかっている。そんな齊藤が今回、モノクロポートレートを撮影したのは、NHK夜ドラ「超人間要塞ヒロシ戦記」で共演した高山一実。お日さまのような笑顔、溌剌としたアティチュード、「ポジティブ」という形容詞が似合う高山にカメラを向けた。齊藤のモノクロ写真は、陰と陽が同じように在る世界。時に陽に傾き、陰に転び......その揺らぎが、被写体の個性を表す。高山一実という太陽のような存在感に、当初、齊藤はどんな印象を抱いていたのだろうか?
「実直な眼差しや、作品に対する姿勢や熱意を感じ、アケミ役にピッタリの方だなと思いました」と齊藤は最初に会った時の印象を語る。
「超人間要塞ヒロシ戦記」は、スペースオペラ×街の餃子店×若者の恋愛(『スター・ウォーズ』しかり、スペースファンタジーには若人の恋愛は必須だ)という極めてシュールな物語。
高山は乃木坂46に所属し、仕事にも同僚に対しても献身的でユニーク、かつ親近感を抱かれるアイドルだった。2021年に乃木坂46を卒業したが、在籍時から作家として活動を開始する。自身が観察したことを言語化する作家という仕事は、多大なエネルギーを要する仕事。明るく周囲を照らし、ハッピーにするアイドルを務めながら、文章の執筆も続けるのはそうとうの努力家に違いない。
ポートレート写真はともに2023年1月、「超人間要塞ヒロシ戦記」現場にて撮影された。
「高山さんの著書も拝読しましたが、豊かな想像力や表現力と同時に鍛錬を怠らない、いままでもこれからも、ずっと進化系の稀有な方だと思います」(齊藤)
ここで紹介する高山一実は、フィガロジャポン4月号に掲載した写真と同じ2枚だ。しかし、掲載していない、何かにふと気づいたような表情、戸惑いや寂しさが表れた写真も多数ある。ポジティブな自身の魅力を最大限に出力した高山とは、ある種異なる静やかな高山がそれらの写真には存在している。
演者としての光、観察者としての冷静さ。高山一実にある二面性とギャップ、両方を行き来できる器量は、彼女のファンになるトリガーなのだと思う。
1994年2月8日、千葉県生まれ。2011年、乃木坂46の1期生オーディションに合格、在籍中は全表題作品で選抜メンバー入り。21年11月21日をもってグループから卒業し、現在、タレント・作家として活躍の場を広げる。TBSテレビ「オールスター後夜祭」、テレビ朝日「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」、TBSテレビ「TBSスター育成プロジェクト 私が女優になる日_Season2」のMCや文化放送「おとなりさん」の木曜MCなど多数の番組に出演。現在放送中のNHK総合の夜ドラ「超人間要塞ヒロシ戦記」では主演を務める。
TAKUMI SAITOH
ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi