「ヒヤマケンタロウの妊娠」の撮影現場で、筒井真理子を齊藤工が撮影。
「齊藤工 活動寫眞館」について 2022.06.20
俳優・斎藤工として活躍しながら、映画監督やフォトグラファーとしても精力的に作品づくりを続けるクリエイター・齊藤工。2017年にスタートしてから、今号で60回目を迎えたフィガロジャポン本誌の連載「齊藤工 活動寫眞館」では、彼がこれまでに出会ったアーティストや尊敬する人にカメラを向け、一瞬の表情と佇まいを切り取る。madame FIGARO.jpでは本誌未掲載の撮りおろしカットと、齊藤自身の言葉で、撮影の背景やエピソードを綴ります。前回のリリー・フランキーに続き、2022年の春から配信をスタートしたNetflixシリーズ「ヒヤマケンタロウの妊娠」より筒井真理子を撮影。
筒井は1982年、早稲田大学在学中より鴻上尚史主宰の劇団「第三舞台」で演劇をスタート。その後、舞台はもちろん映画、ドラマ、CMと数々の作品に出演。社会派からホラーまで出演する作品のジャンルは幅広く、国内外で数々の賞も受賞している。今回筒井はドラマ内で、斎藤演じる桧山健太郎の母親役を演じ、斎藤とは久々の共演となった。
「筒井さんとは15年ほど前にドラマ『BOYSエステ』で親子役でご縁をいただき、その時も美しすぎるお母さん役でしたが、『ヒヤマケンタロウの妊娠』でも、深く強く美しいお母さんを演じていただきました」
斎藤や筒井が出演するNetflixシリーズ「ヒヤマケンタロウの妊娠」は男性が妊娠・出産するようになった世界が舞台。"妊夫"となった斎藤演じる桧山健太郎。上野樹里がパートナー役、筒井とリリー・フランキーが桧山の両親役に。今作は箱田優子監督、菊地健雄監督と、ふたりの監督が舵を切ったこともあり「それぞれの映画作品に交互に参加している感覚」と斎藤は振り返るが、主演女優としても名バイプレーヤーとしても活躍をしてきた演劇人・筒井とは、作品づくりの中でどのようなやりとりを交わしたのだろうか。撮影時のエピソードを斎藤はこう振り返る。
「ヒヤマが電話で妊娠を母親に告白する歩道橋のシーンがあるのですが、本来ならば助監督さんが現場で相手役の台詞を代読したり、事前に音声録音したモノを現場で音出ししたりするところ、筒井さんはわざわざ現場まで来て下さり、実際に通話をしながらの撮影にして下さいました。御礼をお伝えしに行くと、『作品になじみたいので』と笑顔で完璧な返しをいただき、胸を撃ち抜かれました」
男性妊娠を通し、社会のさまざまな問題や反応を、コミカルな要素を加えながら描いた本作。実は、撮影、編集、録音などスタッフ、キャストともに "映画人"が多く関わっていたという。彼らが作り出す映画館で観る映画とも民放ドラマとも異なる"世界配信ドラマ"を、新たな目線で楽しみたい。
●監督/箱田優子、菊地健雄
●出演/斎藤工、上野樹里、リリー・フランキー、筒井真理子 ほか
●配信中
www.netflix.com/jp/title/81030178
山梨県出身。1982年早稲田大学在学中に劇団「第三舞台」で初舞台を踏む。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した『淵に立つ』(2016年)で毎日映画コンクール、高崎映画祭、ヨコハマ映画祭の主演女優賞3冠。ロカルノ国際映画祭正式出品の主演作品『よこがお』(19年)で令和元年度芸術選奨映画部門文部科学大臣賞受賞。全国映連賞女優賞受賞。Asian Film FestivalのBest Actress最優秀賞受賞。近年の主な出演作に『jam』(18年)、『洗骨』『愛がなんだ』『ひとよ』(19年)、『SHELL and JOINT』『影裏』『天外者』(20年)、『ずっと独身でいるつもり?』『怪談 満月蛤坂』(21年)、『N号棟』(22年)など。現在、Netflixシリーズ全世界独占配信ドラマ「ヒヤマケンタロウの妊娠」配信中。今後も多数公開作品が控えている。
TAKUMI SAITOH
ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi