宇野祥平と和田光沙、作品を高みに上げる役者の表情を捉えた齊藤工。

映画愛の人――俳優・斎藤工として活躍の幅をますます広げながら、映画監督やフォトグラファーとしても精力的に作品と向き合うクリエイター・齊藤工。今回で64回目を数えるフィガロジャポン本誌連載「齊藤工 活動寫眞館」にて、彼が出会ったシネマティックな人物たちにカメラを向け、表情と佇まいを捉えモノクロ写真で表現する。madame FIGARO.jpでは、本誌未掲載の撮りおろしカットと齊藤工自身の言葉で、撮影のエピソードや被写体への想いを伝える。

今回は、宇野祥平と和田光沙。日本映画界の良質な作品を支える、ふたりの素晴らしい俳優だ
齊藤は、宇野祥平と和田光沙とNetflixの「ヒヤマケンタロウの妊娠」で現場をともにした。宇野は、桧山同様妊娠する男性・宮地を演じ、和田は助産師役だった。

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宇野祥平に関して、
「2006年公開の『BOYS LOVE ボーイズ ラブ』という作品でご一緒させていただいてから宇野さんの大ファンです。どんな役柄を演じても、そこに生活して来た時間と、これから過ごすであろう時間が見える、その瞬間だけじゃなくどう佇むか、本当に素晴らしいです。(和田さんも同じく) そして普段の宇野さんの、徹底的な謙虚さには頭が下がります。『罪の声』で日本アカデミー賞助演男優賞受賞の時、多くの映画人が我がことの如く歓喜したことに、宇野さんの人柄が現れていると感じました」
また、和田光沙について、
「最近、『やまぶき』という和田さんの最新作を拝見しましたが、作品自体のバランサーとして、隅々にまでリアリティを宿していたのは和田さんでした。「ヒヤマケンタロウの妊娠」でも、和田さんの眼差しに、桧山をはじめ男性妊夫は救われておりました」

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今回、フィガロジャポンの本誌で宇野と和田の写真を並べてレイアウトを組んでみた際に、齊藤は、「おふたりの並びはとてもしっくりくる」と言った。その心は......?「インディーズ邦画のアベンジャーズだから」という答えが返ってきた。
表情ひとつで作品の登場人物の人生や心中をリアルに語れてしまうふたり。フィクションの世界にリアルをもたらす演技力は、映画やドラマを高みに引き上げてくれる。

「ヒヤマケンタロウの妊娠」撮影時に撮ったふたりの写真を、齊藤は、渡辺真起子、井浦新と立ち上げた「Mini Theater Park(ミニシアターパーク)」のステッカープロジェクトで発信し、コロナ禍で危機に立たされた国内の多くのミニシアターを応援する。このMini Theater Parkプロジェクトには現在250人以上の俳優たちが賛同し、サポートしてくれている。
「メジャーもインディーズも、映画もTVも配信も網羅されているおふたりですが、映画ファンとしては最も劇場で出会いたいおふたりです。銀幕ブロマイド(Mini Theater Park sticker)プロジェクトにも快諾して下さりました。スクリーンの中でも外でも、おふたりは今後とも日本映画のヒーローです」

やっと出口が見え始めたようにも感じられるコロナ禍。ミニシアターは依然窮地に立たされたままであるが、自らの心の中にある映画愛を軸に、素晴らしい俳優たちとともに齊藤が取り組む、観客と作品を繋ぐ場所である劇場を応援する活動が、クリエイティブを大切に想う多くの人々の支えになることを信じている。

和田光沙/MISA WADA
1983年、東京都生まれ。映画『靴ケ浜温泉コンパニオン控室』(2008年)でデビュー。主演作『岬の兄妹』(19年)が18年、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭(国内コンペティション長編部門)優秀作品賞と観客賞受賞、20年、高崎映画祭最優秀新進女優賞 受賞。近作に『由宇子の天秤』(21年)、『誰かの花』(22年)、『やまぶき』(22年)など。11月12日よりユーロスペース他にてディケイド設立30周年記念映画『ゆめのまにまに』が公開予定。
宇野祥平/SHOHEI UNO
1978年、大阪府生まれ。2000年、映画『絵里に首ったけ』で俳優デビュー。『罪の声』(20年)にて日本アカデミー賞優秀助演男優賞をはじめ多くの賞を受賞。22年は、『ビリーバーズ』『アキラとあきら』『さかなのこ』等に出演。9月30日に『"それ"がいる森』が公開されたばかり。今後、『わたしのお母さん』『左様なら今晩は』『あちらにいる鬼』ほか多数の出演作が控えている。

TAKUMI SAITOH

ナビゲーター役の NTV「こどもディレクター」(水曜 23:59~)放映中。出演映画『カミノフデ~怪獣たちのいる島~』が 7月26日公開。企画・プロデュースした今冬公開の児童養護施設のドキュメンタリー映画『大きな家』に続き、ハリウッド映画『ボクがにんげんだったとき/When I was a human』のエグゼクティブプロデューサーも務める。www.b-b-h.jp/saitohtakumi

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