転職と天職 リュクスな香水の世界を去り、デジタルプラットフォームを創始。
パリジェンヌの転職と天職 2021.06.09
マリアンナ・セイブ。2017年にFace to Faceを創設した。photo : Madame Figaro
会社員時代に生まれたアイデアFace to Face
プラットフォーム「Face to Face(フェイス・トゥ・フェイス)」を2017年に設立したマリアンナ・セイブは、起業の成功例としてメディアからも注目される存在である。インディペンデントなクリエイターを会場に集め、彼らが商品を消費者にダイレクトに販売するというFace to Faceの初のイベントを開催した時は、まだ国際的に有名な香水のメゾンでチーフとしてチームを率いている社員時代だった。
「その頃、27、8歳だったでしょうか。私が働いている環境は私の価値観、願望といったことに対応していないことに気が付いたんです。新しい品を大量に発表しては、売り場から引っ込め、破壊してを繰り返し。それに使用している成分にしてもエコロジーの観点からすると……というように、とても懐疑的になっていました。そんな頃に、健康を害しました。生活に支障のある大病というのではなかったけれど、この健康の問題は内側における一種のクラッシュなのだと感じたんです。自分の人生と仕事でしていることの間にズレがある、 リズムが激しすぎる、自己表現が正しくできていない……上手くいっていないことのある証だというように。
働き始めた当初はこの職場の仕事が大好きでしたが、3年半くらいしたところで、こうした状況に陥ったのですね。自分の前に進歩の道がいつもあり、自分は正しい道を歩いていると感じられていたけれど、さて、この仕事を続けながら、いかに家庭を築けるのだろうかと、私生活について考え始めた時に疑問が生まれました。何しろ毎晩20時、21時まで働いていたので、自分の時間がまったくない暮らし。女性として成長するにつれ、組織の中でただ忍従することより自分で選択をしたいと思うようにもなっていました。自分の周囲にエコシステムを築かなくては!と。こうして私の中でFace to Faceのアイデアが芽生えていったのです。ひとりの消費者として、たとえばセーターなど購入する商品が誰によって、どんなコンディション下で作られるのかを知りたいと思うようになっていました。ところが、ショッピングセンターにしてもデパートにしても、2015年のその当時、そういった説明を誰もしてくれませんでした」
商品の作り手と消費者が顔を合わせる出会いの場、Face to Face。この名称はごく自然に生まれたそうだ。photo:Face to Face
会社員時代の2015年12月、ヒューマンな出会いを提供する最初のイベントFace to Faceを開催した。photo:Face to Face
こうしたことが彼女の頭の中で渦巻いているこの時期、学校時代の友達や研修時代の仲間の中で起業をする人が増え始めていた。故郷のサヴォワールフェールを援助する、祖国のサヴォワールフェールを現代に生かしたい、というように。彼女は考えてみた。もし自分だったら?と。それはインディーなクリエイターたちをひとつの会場に集めて商品を販売するイベントだ、とマリアンナは思い、実行に移すことにした。会社員の彼女はよそで収入を得ることはできないので、その解決法として非利益組織を設けてイベントを開催した。
「マレ地区に500㎡のガラス屋根の素晴らしいギャラリーが見つかり、私の貯金からレンタルフィーを前払いしてイベントのために借りました。そして気になるクリエイターたちに連絡をとり、イベントのコンセプトと日程を告げて参加を募ったんです。金銭的な結果は出なかったけれど、イベントのあとオフィスに戻った時に、この職場で続けてゆくのは、もう無理だと確信しました。イベントは12月にあり、翌年の2016年1月1日に会社に退社の意思を告げ……。話し合いの結果、取り掛かっていたプロジェクトを軌道にのせ、関わっているチームの仕事の流れをスムースにするという任務のため半年残ることになり、その半年の間に仕事と並行して、起業の準備を進めてゆきました」
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祖国ポーランドを離れ、学び、働き……
マリアンナはポーランド人で祖国には21歳まで暮らした。通っていた大学から、パートナー校であるESCPヨーロッパ・ビジネススクールで3年間学業を続けることを提案されたのだ。ロンドン、マドリッド、パリの同校で各1年ずつ学ぶことを彼女は選択。最初に大学を選んだ時には、特に将来の職業について具体的なアイデアはなく、新しい知識、出会いが得られ、学校が新しい地平線への扉を開いてくれるだろう、と思ったそうだ。
「振り返って思うことは、私の人生のモチベーションは常に出会いなんです。人と交換したい、人から学びたい、新しい暮らし方を見せて欲しい……というように。ESCPに通い始めてすぐに、マーケティング・ディベロップメントに進路を定めました。新商品の販売PRですね。広告のクリエイション、商品のビジュアルのクリエイション、コンセプト、世界的傾向、消費者の欲求など、こうしたことにすごく情熱をかき立てられていました。実際、卒業後7年間、これが仕事でしていたことです」
最初の仕事の研修先は、イヴ・サンローランの香水部門だった。ちょうどメンズの新しい香水が発表される時期で、その広告映像に起用されたのは当時のパリ・オペラ座の芸術監督バンジャマン・ミルピエ。アートとビジネスの共存という点に、これにより開眼したそうだ。色のチョイスやパッケージングデザインといったクリエイティブな面についてもここでの半年間に学んだあと、その次の研修先へ。
「ルイ・ヴィトンの皮革部門でした。モード、ファッション小物におけるマーケティングとは何だろう、というのを知りたかったからです。コスメティックはどちらかというとマス・マーケット向けなので、バッグやクチュールと違って必ずしもリュクスな商品とは見なされません。ルイ・ヴィトンがマーク・ジェイコブスの時代で、ちょうど草間彌生とのコラボレーションがあり、バッグのカプセルコレクションやブティックでのインスタレーションといった仕事に関わりました。ここで半年働いて分かったのは、こうしたメゾンにおける皮革部門のマーケティングというのはクリエイションにはほぼ関わっておらず、販売の分析やら数字といったことが私たちの仕事だということ。数字の有益性は理解できるけれど、これでは私の情熱はかき立てられず……。私にはクリエイティブな面が必要なのだ、ということが分かりました。
研修は一般的に半年終えたら、社員契約の提案を待つというものです。でもルイ・ヴィトンでの経験によって美容、香水の世界への私の見方が変わったことから、そこに再び戻りたいと思い、新たな研修先としてあるクチュールメゾンの香水会社を選びました。そこで研修をしている時期に、正採用の提案をしてきたロレアル・パルファンに移りました。3年働いたところで、研修半ばで去ったクチュールメゾンの香水会社から正式雇用の声がかかったのです。これはうれしいことでした。私のことを忘れずにいてくれ、研修先だったチームの一員に正式に迎え入れられたのですから。自分の価値が高まった、と感じました。素晴らしい。でも……そう、“でも”があるんです」
左:マリアンナが望むのは、パリジェンヌの価値観に合うシックでエレガントなエコレスポンシブルなブランド。彼女がイベントを思いついた2015年には、そうしたブランドはエコのブランドには存在しなかった。 右:イベントからスタートしたFace to Face。その後サイトでイベント参加のクリエイターたちのブランドの販売をスタートする。Première Classeにスタンドを出したこともある。photos:Face to Face
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子どもを持ち、家庭を築くために
彼女の最後の勤め先となるのが、このクチュールメゾンの香水会社である。マリアンナが退職を決心した最大の理由は年齢でもなく、バーンアウトでもなく、落ち込みでもなく。子どものための時間がとれないシステムの中で働き続けていたら、自分は母親になれない!ということだった。家庭を築く。これが彼女の願望だったのだ。
退社した3カ月後、彼女はIFM(Institut français de la mode/フランス・ファッション・インスティチュート)の企業家を目指す人のためのプログラムIFM Startで学び始めた。
「私が会社を辞める1年前にIFMに生まれたプログラムなんです。基礎知識を学べるだけでなく、私のプロジェクトに付き添った指導をしてくれて……。Face to Faceとはひとことでいうと何か? それはクリエイター本人と向かい合わせ、という満足感のある体験をクリエイトすること、出会いの場である……というように頭の中にあったFace to Faceのコンセプトを、細かく分析して紙に書いてプレゼンしました」
この1年のプログラムの後半は、スタートアップの“孵化器”として生まれたStation Fにおいて。
「ここで、Face to Face のウェブサイトのモックアップ(試作版)を作りました。その時一緒にテスト版を作った男性が、いま、私のアソシエなんですよ。IMFのプログラムでは指導者に取り巻かれ、最初から最後まで付き添ってもらえ、質問があれば答えてもらえて……。何かを始めるのに自宅に閉じこもらず、自分ひとりで重さを抱え込まないというのは、とても大事なこと。ひとりでは不可能なんです。オープンな状態でいなければ……。実は私、他者に助けを求めるということは弱さの証のように思えていたので、そのキャパシティが以前はありませんでした。 でも、企業家となり徐々に分かっていったのは、他者に助けを頼むことがもたらす豊かさ! これによって人と人の絆が深まるのですね。これは学びました」
イベントは開催の回を増すごとに、来場者の数もアップしていった。photos:Face to Face
2017年に彼女は8年を共に過ごした男性と結婚するのだが、結婚前、転職について彼は彼女に「君が幸せなら、僕たちの家庭は幸せだ」と励ましたそうだ。また彼女の父親の言葉も強かった。
「父は経営者として成功し、ポーランドでも知られた存在だったけれど、私が学生時代に倒産。成功と失敗という企業家の2つの人生を体験した彼は、“この運命を君には願わないけれど、自分の翼で飛び立つ決心をしたことを誇らしく思う”と言ってくれました。私には出来るのだ、ということを父が信じてくれたので、この言葉に自信が得られました。もちろん転職には疑問視する声も周囲からあったけれど、夫と父からの信頼があり、それに何よりも試してみたい!という意欲に私は興奮していたので、こうしたことは耳には入らなくなりました」
Face to Faceのイベントは回を増すごとに来場者の数を増やしていった。参加するクリエイターによっては取扱店もなく、オンラインショップもない。会場で見て気に入ったブランドはイベント以外のどこで購入できるのか?という質問のメールが多く届くようになり……。
「イベントに参加したクリエイターの品を、一年中いつでも買えるようにしようと、Face to Faceのプラットフォームを2017年に作ったのです。私の仕事はクリエイターを選び、そのストーリーを語り、商品の製造過程を写真で紹介する、というものです。扱うのは主に生まれてから3年以内の若いブランドです。2019年には新しい分野として、ブランド発展のためのクリエイターたちの有料コーチングもスタートしました。SNSでの発信法や海外進出の指導をし、メディアとのパートナーシップをとりつける、といったことをしています。このインキュベーションのプログラムによって、私が感じていたポップアップのイベントだけのフラストレーションが解消されました。というのも、クリエイターの素晴らしい商品を発見しても彼らとの関係はイベントの時だけに限られていたのが、このプログラムによって、長期にクリエイターたちと関わっていけることになったのですから」
ウィークエンドのための提案をFace to Faceが扱うブランドから。左:HuagesのCBD20%のオイル(99ユーロ) 中:Maison Causettesのソックス(19ユーロ) 右:Astréのバッグ(259ユーロ)。Face to Face のサイトでオーダーした品はクリエイターから購入者に発送される。
このインキュベーションで40名近いクリエイターたちとの間に、信頼関係が築けたことも彼女を満足させる。“自分のブランドがどこに向かって行くのだろうか?”と思うクリエイターたちの、羅針盤、GPS的存在になっていると感じられたマリアンナに、意味のあること、何か大切なことをクリエイトしたという感触があり、Face to Faceが上手く行っていると確信できたそうだ。
Face to Face が扱うクリエイターのセレクションの基準は、商品が美しく、アイデンティティがあることがまず一番。次が仕事のエシカル面。いかに、どのようなコンディションで、誰が作っているか。3つ目の要素はヒューマン。マリアンナ自身でクリエイターに面談をし、価値観が共有できてコラボレーションをしたいと思うブランドであること。彼女がインスタグラムでブランドを発掘してFace to Faceへの参加の声をかけることもあり、またクリエイターがプラットフォーム経由で志願。この2つの方法でFace to Faceが扱うブランドは増えている。
たとえばどんなブランドなのだろう。最初のイベントからいまに至るまで、マリアンナにとって出会いとなった3つのブランドを選んで紹介してもらうことにしよう。
「ジュエリーの『Elise Tsikis(エリーズ・ティキス)』。ポエジーあふれるジュエリーを彼女はクリエイトしています。2015年の最初のイベントに参加した時は、まだデビューしたてでした。それから成長を続け、いまは6区にブティックがあります。人間的にも素晴らしく、Face to Faceの価値に合致するブランドです。
2つ目は『Nimboo(ニンブー)』ですね。パリをベースに活動する、インド人クリエイターのブランド。仏教徒の寺がガンジス河などに捨てる使用後の花を拾い集め、それを使って着物(部屋着)やスカーフを花染料で染めるのです。クオリティも素晴らしい。エコロジーをいかにプロダクトの美しさに結びつけるか、というよい例です。Face to Faceが使命としているのは、人がほしいと思うエシカルで美しい品のブランドを育てることなのです。
3つ目は……そうですね、皮革のブランドの『Raphaelle Germain(ラフェエル・ジェルマン)』でしょうか。彼女は南仏をベースに、ローカルなエコシステムをクリエイトしました。フランスでレザーを調達し、フランスのアトリエで生産しています。それに加えて、古いケリーバッグなどをリノベーションして第2の人生を与える、ということもしています。こうした彼女のアプローチが気に入っています」
エリーズ・ティキスのファンタジージュエリー。マリアンナはこのブランドの成長を2015年から見守っている。
左:植物染めを特徴とするニンブー。 右:メイドインフランスのバッグ、ラファエル・ジェルマン。
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転職、それは自分と自分の問題
女性に限るという基準は設けていないものの、最近ではバランス的に女性クリエイターによるブランドが圧倒的に多いという。マリアンナを引きつけるクリエイターがたまたま女性だったという結果だという。
「育児が終わったり、あるいは職場でのバーンアウトの結果、“自分は何かを変えなくては!”と30〜40代の女性が思う時、新しい人生として向かうのは頭脳系ではなくジュエリーやプレタポルテといった手を使うクリエイティブな仕事です。男性の場合の転職はワインやスピリッツ、チーズといった分野に向かうことが多いですけど……」
こうした活動に加え、彼女は自己啓発のコーチングも行っている。彼女が転職したことで、会社員を続けている友人たちから多くの質問があったことからだ。いまの人生は自分に適していないと分かっていても、新しい人生にどう飛び込んでよいか分からないという女性たちのコーチをする。
「転職を考える時、最初は興奮のあまりすべてが可能と思うこともあります。でも興奮が徐々に収まっていくと、面倒を見てくれる人が周囲に必要なんですね。上手くいかないことがあった時、誰かが安心させてくれないと……メンタル面での仕事が大切なんです。私自身、通過した段階のことです。転職にまつわる不安はとてつもなく大きい。でも、それは変化の一部をなすものなので、不安や恐れは飼いならす必要があるのです。それとともに前進するものなんです……もちろん簡単なことではないですけど。もし上手くいかなかったら自分は無能だと思うだろうということや、財政的な不安は、独立したいという願望、自分を精一杯開花させたいという欲望に結びつけるのは難しい。でも可能です」
自身も経験し、また多くの転職例に関わってきたマリアンナの言葉は強い。変化の時期は周囲の反応に必要以上に敏感となっている。不安定な時期に“金銭的に心配じゃないの?”といった友達の言葉は攻撃的に響く。しかし、これも前進に役立つことだという。
「心を決める。それは他人からの提案ではなく、自分の中で起きることです。自分と自分の問題なんです。いまの時代、転職を希望する女性は増えています。自分の道を見つけたいという願望。仕事に喜びを見いだしたいという気持ち。職業において喜びという言葉はあまり語られないけれど、私はクリエイターたちとの出会いに喜びを感じています。自分がしていることがとても気に入っている、と独りごつこともあります。これは会社員時代にはなかったことです。それに企業の中にいると、これはいらない、これは興味がない、といったチョイスはなかったけれど、いまはあるんです」
扱うブランドの分野はモード、ビューティ、インテリア。女性クリエイターのブランドが圧倒的に多い。商品の裏に隠れ日頃は顔の見えないクリエイターと消費者の出会いをマリアンナはクリエイトする。photos:Face to Face
現在の仕事に過去の仕事が役立っている面もおおいにある。商品企画のおかげで、明快なコンセプトを展開することを学んだ。大勢の前でプレゼンをする、相手とコミュニケーションを図るといった表現の可能性についても学んだ。
「それに一種の自信も……というのも、フランスのビッグメゾンで働いていた企業家ということで、簡単に扉が開かれるのです。そして、人々は最初からシリアスに向かい合ってくれます。転職というのは断絶ではなく、層が重なっていくというイメージですね。私は過去の層を消し去ることはしません。これから先、Face to Faceのフィジカルな場を持ちたいという希望があります。ブティックというより、コワーキングスペース、ショールームといった性格の場です。新型コロナ禍ゆえにいまはそれはメインのプロジェクトではないにしても、Face to Faceのあらゆる価値を表現するためのスペースをいつか持ちたいですね」
9月には第2子を出産予定だが、パワフルに活動を続けるマリアンナ。いま彼女が力を入れているのは、ポッドキャスト。photo:Cedric Cadezza
生まれたてのベビーといって、彼女がいま力を入れているのは4月に始めたポッドキャストの「Women Empowerment School」である。企業家女性たちに向けている。転職を希望する女性がいかに自信を築くか、前進にはどんなスキルが必要か……女性たちの起業意欲が具体化できるように、彼女自身の体験を含めてコーチする。
マリアンナの場合、彼女の性格のどういった面が成功に導いたのかを聞いてみた。
「好奇心です。学びたいという願望。そして、たとえば、もし転職がうまくいかなかったら前の仕事に戻ればいい、というように、何ひとつ最終的なことはないという思い。たとえば、もし転職がうまくいかなかったら、前の仕事に戻ればいい、というように。それから夢中になること。私と一緒に仕事をしようと思う人は、私の熱狂ぶりを見て“これがもたらすものを見てみようじゃないか”となります。やる気満々なタイプだけど、疑問もあります。でも、こうと決めたら、ちょっとした障害や失敗には挫けません」
子どもの頃に夢見た職業は、政治家だった。6〜7歳の頃、テレビで男性政治家の演説を見ていて、ショックを受けたのだ。「私たち女性だって言いたいことはあるのに、なぜ政治家は男性だけなの?」と母に聞いた。転職について、Face to Faceについて彼女の弁舌なめらかな語りを聞いていると、将来、その子供時代の夢を叶えることもひょっとすると……と思うのだが、「いまはFace to Faceのコーチングにエネルギーがいるし、それに満足があるので」と一笑にふされてしまった。
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editing : MARIKO OMURA