【篠原ともえ連載Vol.13】SDGsと向き合い"動物版画"をつくる。
TOMOE SHINOHARA MAKING 2021.11.19
グラフィック作品で私たちが暮らす<地球の大切さ>を表現する「SDGsクリエイティブ展」に参加させていただいています。青山スパイラルホールで開催されているこの展覧会のテーマは、地球に一緒に暮らす137万種の動物がモチーフになっています。
今、ものづくりにおいて欠かせないワードとなっている「持続可能な開発目標(SDGs)」。森林伐採などで土地が劣化し、陸上の動物たちの生息地も減っていることや、地球で一緒に暮らす137万種以上のほ乳動物から小さな昆虫たち、海や川の魚に至るまで、世界中の豊かな生態系を守るにはどうすれば良いのかということに向き合うための展示です。作品は、PETリサイクル樹脂を99%使用した再生繊維のエコイストという素材に印刷しています。
作品には温度感や手仕事の感じを出したいと思い、近年取り組んでいる版画作品で参加しました。私が選んだ動物のモチーフは「羊」です。牡羊座であり、生まれ年が未年の私は子どもの頃から羊が好きだったのですが、他にも羊毛は衣類、そして食肉としても私たちの生活にも豊かな循環を導いてくれている、そんなところにも魅力を感じ感謝の思いを込めて作品にしました。
作品制作のプロセスは小さなスケッチにいくつかイメージを描き、タッチを決めてから紙版画の制作に取りかかります。版画の道具は目打ちや、サンドペーパー、時には洋裁で使う道具を活用しながら、スケッチを参考に下描きをせずに一気に進めてゆきます。
私の手掛けている作品は紙凹版という手法で、紙を削り削った版にインクを詰めていきます。このインクをどのように残すかというのもこだわりの見せどころ。あまりインクを拭き取りすぎないようにし、架空の森の中で強く生きぬく羊を表現しました。
紙版画はひとつの版でインクや擦りの加減によって、いくつもの表情を持ち合わせることができるのです。海の色を感じさせる青味を入れてみたり、絶滅を知らせるメッセージの色として赤を混ぜてみたり、試行錯誤しながら進めてゆきいくつかの中から厳選します。
このような作品を仕上げる時には、日頃から撮影している写真を参考にしています。これは動物園で撮影した羊。もふもふとした柔らかな毛と長い睫毛に癒されながら、2018年頃に撮影しました。愛する動物がいることや守りたいものがある。それだけでも環境問題について考える第一歩だと思います。3日間のみの開催となりますが、SDGsに関心を持つきっかけとして是非足をお運びくださいませ。
会期: 開催中~11/21
青山スパイラルガーデン1F(東京・青山)
営)11:00~20:00
入場無料
詳しくは
「SDGsクリエイティブ展」公式サイト
1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。歌手・ナレーター・女優活動を通じ、映画やドラマ、舞台、CMなどさまざまな分野で活躍。現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナーなど企業ブランドとコラボレーションするほか、衣装デザイナーとしても松任谷由実コンサートツアー、嵐ドームコンサートやアーティストのステージ・ジャケット衣装を多数手がける。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。
篠原ともえ公式サイト:www.tomoeshinohara.net
公式インスタグラム:www.instagram.com/tomoe_shinohara/