【篠原ともえ連載Vol.15】"ホテルのユニフォーム"をつくる。

2022年4月22日に大阪で開業した都市観光ホテル「OMO7(おもせぶん) 大阪 by 星野リゾート」。この度、初めてホテルのユニフォームデザイン・製作監修をさせていただきました。

街を楽しむためのガイドツアーなど、独自のサービスが提供されるこのホテルのユニフォームデザインは、テキスタイルを地図に見立て、街の中に自分だけのお気に入りスポットを見つけてほしい! というコンセプトをもとに、さまざまなピンをモチーフにして、普遍的な模様のドット柄を掛け合わせたオリジナルのテキスタイルをデザインを取り入れました。

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ピンから飛び出すポップアップのように、マグネットバッジも作成。街の象徴として地域に根づいてほしいという思いを込めホテルの住所を記しています。ジェンダーレスなスタイルで、着る人の世代や性別を選ばず、帽子やバッグといった小物類でスタッフそれぞれの個性を演出することも可能です。

すべてのアイテムを完全オリジナルで作成し、デザインだけでなく製作の進行管理に至るまで、約一年かけて形にしてゆきました。はじめてのこともあり大変でしたが、ユニフォームデザインは目標のひとつでもあったので、チームで一丸となって取り組みました。

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誠実な印象を持つネイビーをメインカラーとし、ジャケット、シャツ、パンツで構成されたジェンダーレスなユニフォームです。動きやすいゴムのパンツ、可動に適したストレッチ素材のジャケットなど、働くスタッフにとって優しい機能性を考慮しています。

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パターン制作にも精通した縫製工場、栃木県・佐野市の都ドレスとタッグを組み、ホテルで働くスタッフの皆さんの意見を取り入れながら、型出しや素材選びを行いました。

長く着回せ、家庭洗濯にも対応できるようメンテナンスのしやすさも重視し、スポーツウエアに使用されるような素材を取り入れたのもポイントです。取り扱いや着用の両面で、ユーザーフレンドリーなアイテムに仕上げていくことがユニフォームにとってはとても大事なことなんですね。

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また、伸縮性の高い素材を使っているため、サイズ展開を男女合わせて4つのサイズに減らすことができ、過剰生産を回避しました。マーキングという型を生地に配置する工程では極力残布が出ないような工夫を施し、製作過程においても、持続可能性を配慮しています。

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今回お話をいただいたのは、コロナ禍で日本中が少し元気を失っている、まさにそんな時でした。初のユニフォームデザインということで不安もありましたが、そんな私の挑戦に真摯に向き合いってくださった星野リゾートのみなさまへは、感謝の気持ちでいっぱいです。

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星野リゾート代表の星野佳路さんにもユニフォームを見ていただいたのですが「今までのホテルの常識を打ち破っている感じでとても気に入っています」との言葉に胸がいっぱいになりました。ホテルの空間を担う、建築家の東利恵さんやランドスケープアーキテクトの長谷川浩己さんなどのフィードバックでは、トレンドに左右されないシンプルな色使いやストーリー性でに評価をいただき、私自身にとっても大きな自信になりました。

今回、ユニフォームを通してOMO7大阪のさらなる魅力を発信できればと、イメージビジュアルも制作いたしました。ユニフォームデザイン・イメージビジュアルともに、2020年に立ち上げたデザイン会社STUDEOで取り組ませていただけたことも、私にとって大きな意味を持ちました。

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なかなか自由に外出ができない昨今ではありますが、大阪に行かれる機会がある方は、是非滞在とともにサービスも満喫してください。このユニフォームがホテルのインナーモチベーションを上げ、それが確かなサービスとしてお客様へご提供されていくことを期待しています。

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"OMO7 Osaka by Hoshino Resorts Uniform Design"
uniform designer: Tomoe Shinohara (STUDEO) / creative director, art director: Tatsuki Ikezawa (STUDEO)/ designer: Machi Kagawa (STUDEO) / product manager: Seiko Matsumoto (Miyako dress) / uniform maker: Miyako dress/ photographer (model): Takakazu Aoyama/ photographer (landscape): Megumu Kohagura(INFOTO/amana)/ retoucher: Aya Sasazaki(amana)/ hair and make-up: YOSHi.T/ model: Kovich, Jessica/ movie director: Yoichi Sakata/ producer: Riku Sakamoto(amana)/ production manager: Hayato/ Kuroyanagi(amana)/ project manager: Misuzu Yamamoto (STUDEO) / Amy Aoyama

1995年歌手デビュー。文化女子大学(現・文化学園)短期大学部服装学科デザイン専攻卒。歌手・ナレーター・女優活動を通じ、映画やドラマ、舞台、CMなどさまざまな分野で活躍。現在はイラストレーター、テキスタイルデザイナーなど企業ブランドとコラボレーションするほか、衣装デザイナーとしても松任谷由実コンサートツアー、嵐ドームコンサートやアーティストのステージ・ジャケット衣装を多数手がける。2020年、アートディレクター・池澤樹と共にクリエイティブスタジオ「STUDEO」を設立。
篠原ともえ公式サイト:www.tomoeshinohara.net
公式インスタグラム:www.instagram.com/tomoe_shinohara/

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