春を待つひとときの大人スイートピー

花のある週末 2017.02.23

170223-weekendflower-01.jpg

暖かく強い南風が春を連れてきます。春一番が吹き、ひと降りの雨が長い冬の眠りについていた大地を優しく揺り起こすようです。二十四節気でいうと今はちょうど「雨水(うすい)」、降る雪が雨へと変わり雪解け水が流れ出す頃、昔から農耕を始める時期の目安とされてきました。

花店では、鮮やかな黄色のミモザがふわふわと微笑み咲き、一足早い桜がいまかいまかと出番を待つように蕾を膨らませています。春本番の景色、ピンクと黄色の饗宴は次号にあずけるとして、2月最後の週末は、美しい雪の世界にしばし思いを馳せながら、来る春を待つひとときのための優しい花あしらいをご紹介しましょう。

蝶のように舞い咲く愛らしさと甘いフレグランスで、人気をほしいままにする春の妖精「スイートピー」。例年は出始めの1月頃にご紹介していますが、花生産の最盛はいま! その花言葉が「門出」であることから、これからの卒業・送別シーズンに贈られる花でもあります。生産量、品質共に世界一を誇る日本のスイートピーは、NYはじめ海外でも大人気で、近年ではバレンタイン時期を中心に輸出も盛んだそうです。

かれこれもう3年前になりますが、スイートピーの一大産地である岡山県倉敷市船穂の温室を訪ねたことがあります(マスカットの名産地としても有名ですね)。たまたまFacebookで知り合った女性の生産者さん、全くの異業種から転身してご主人とふたりスイートピー農家を始めたという彼女の歴史もさることながら、お人柄とエネルギーに満ち溢れた文章がまた魅力的で、この女性が作るスイートピーと彼女自身に会ってみたい! という願いが叶ったのです。

仕事で国内外の花の産地に伺う機会に恵まれてきましたが、スイートピーのハウスを拝見したのはこの時が初めて。地面からにょきにょきと天に向けて明るい緑色が這い伸びる姿はジャックと豆の木を彷彿とさせる生命力。そして頭上に舞い咲く可憐な花からは、まるで吐息のような甘く濃密な香りが降り注ぎます。彼女の言葉を借りれば、この時期のスイートピーはフェロモン全開……! 花たちはいっせいにわが世の春とばかりに季節を謳歌、でも花は美しく咲こうなんて少しも思っていなくて、本能が向かうのは種の保存。切花として収穫されることは、ある意味種の危機でもあるのでスピードを上げて何段も花をつけ始める、のだそうです。そして心なしか芳香も強くなり、人間でいうとまさに女ざかり♪なのだとか(笑)。

170223-weekendflower-03.jpg

左:背丈よりも伸びる最盛期のスイートピー。右:人気のオリジナル品種「アンニョン」2014年3月船穂にて。

印象的なのは、ビビッドな赤やピンクの色鮮やかな品種たち。彼女が作るスイートピーの表情は、甘くかわいいだけでない、傷つきにくい強さもまとった大人のスイートピー。とてもチャーミングでスパイシー、繊細だけど力強く、懸命な中に遊び心ものぞいて、まるで彼女のような花なのです。

今回のアレンジで使用したのもそんな大人スイートピー、透明感あふれる雰囲気もスイートピーならでは。水彩絵の具のように織り交ぜて、春先の夕暮れ時を思わせる優しい色と香りを描いて。

**************

スイートピーと枝モノの投げ入れアレンジ

黄緑色が萌える新芽の枝から春の息吹を感じます。
季節の枝モノをあわせれば、ワンランク上のリビングフラワーに。

【材料】

  • スイートピー白「パールホワイト」3本
  • スイートピー淡い紫「ラベンダー」3本
  • スイートピー濃い紫「ショコラ」2本
  • キバデマリ(枝) 2本
  • 切花栄養剤  小袋1袋(最近は花屋さんで購入時につけてくれるところが増えています)

【作り方】

  1. 切花栄養剤を適量希釈した水を器に入れ、キバデマリを枝の流れを活かすように挿します。
  2. 器の口元にあふれるように、ふんわりとスイートピーをあしらえば出来上がり!

※スイートピーは糖を好むので切花栄養剤を使用することで長く楽しめます。
※茎の下の方の花から傷み始めますので、花弁が透けてきたら早めに摘み取ります。
※乾燥に弱いのでエアコンの風が直接当たらない場所に飾りましょう。

**************

パープルというと何となく秋のイメージの色ですが、春先にも実にさまざまな美しいパープルの花に出合えます。画像下は、スイートピーの他に、アネモネやスカビオサ、そしてチョコレートコスモスといった、春風をはらんだような柔らかな質感の花たち。春の花のスイート&ビターな雰囲気もまた素敵だと思うのです。質感をあわせた同系色のグラデーションも花合わせのテクニックのひとつですのでぜひご参考に……!

170223-weekendflower-02.jpg

歩道にはそこはかとなく梅の香りが漂い、そしてまもなく沈丁花の香りが折り重なって……春の香りを探しながらそぞろ歩く、ご近所の花めぐりが楽しい季節になりますね。

ではでは皆さま、花と素敵な週末を。

<INFORMATION>

「WEEKEND FLOWER with IITTALA 春のリビングフラワーフォトコンテスト」開催中♪「イッタラ」のフラワーベースなど素敵な賞品や、イッタラGINZAで開催されるフィンランドのフラワーデザイン画学べるワークショップへの無料ご招待など、魅力的な特典も!!春の花を飾ったリビングの様子をぜひご投稿ください。

フォトコンテストの詳細は⇒ http://greensnap.jp/contest/88

 

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、昨秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!

家族や友人が集う食卓に、1週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"――花のある暮らしを提案します。

◆Facebook、Instagramもよろしくお願いします!
www.facebook.com/weekendflower/
www.instagram.com/weekendflower_official/

◆WEEKEND FLOWER 公式サイト
www.floweringjapan.com/weekendflower/

photo,styling,text:NORIKO OGAWA

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
Figaromarche
あの人のウォッチ&ジュエリーの物語
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories