世界は愉快:お祝いの食 from ベルリン ドイツのお祝いは、揚げパンでロシアンルーレット?

世界は愉快 2021.01.06

文・写真/河内秀子(在ベルリンライター)

ドイツでは新年を迎えるための大晦日のパーティで盛り上がる。そして、キリストの復活を祝う復活祭(イースター)前の40日間の断食を行う前の、謝肉祭(カーニバル)。そういったお祝いごとの際に、お皿に山盛りで提供されるお菓子が「ベルリーナー」。卵が入った柔らかいパン生地を丸めて揚げ、グラニュー糖や粉砂糖をかけて真っ白に仕上げる。地方によって「クラプフェン」や「プファンクーへン」などさまざまな呼び名を持つ甘い揚げパンだ。

berliner1.jpg定番はシンプルにグラニュー糖をまぶし、中にプラムジャムを入れたもの。

その歴史は長く、中世から食べられていたといわれている。当時は鉤爪のような形をしていたため、その爪で冬に人々の具合を悪くする悪魔を追い払ってくれると信じられていたとか。その後、乳製品や卵や油を使った贅沢な食事を絶つイースター前の40日間の断食、贖罪を努める前のお楽しみとして、また断食に耐えうる胃袋のために(⁉)特にカーニバルの時期に、砂糖と油たっぷりのお菓子が食べられるようになっていったのだ。

Berliner4.jpgberliner9.jpgパン屋の店先にはいろいろな種類の「ベルリーナー」が並ぶ。

berliner6.jpg毎年2月中旬に行われる仮装パレードが有名なカーニバル。「ベルリーナー」も派手にデコレーション!?
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このベルリーナー、現在では冬になるとパン屋の店先に並ぶ。定番のフルーツジャム入りのほか、チョコクリーム、大人向けには卵のリキュール入りなども。カーニバルがある2月や3月になれば、カーニバルのコスチュームなどを模してポップなデコレーションを施したものも登場。ベルリンには、なんと20種類以上の多彩なベルリーナーをずらりと揃える専門店もある。時にはマスタード入りも売られているのだが、実はこれ、ロシアンルーレット的な楽しみ方をするためのもの。

berliner3.jpg新年のお祝いやカーニバルのお祝いには、このように皿に山盛りにして出される。見た目はどれも同じように見えるけれど、実は……?

見た目はほかの甘いものとまったく変わらないのに、ひとくちほおばると……!? マスタードや玉ネギ、ひどい時には木の屑が入っていることもあるのだとか。大晦日にはこれで来年の運勢を占うこともあり、パーティが盛り上がること間違いなしの楽しいお菓子だ。

berliner10.jpg20種類以上のベルリーナーを揃える専門店のもの。定番のプラムジャム 、焼きリンゴのジャム、ラズベリーなどまで!

photos et texte:HIDEKO KAWACHI

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