文/鄭慈卿 (在ソウルコーディネーター)
コロナ禍となり1年半が経ち、できる範囲で日常を楽しもうというポジティブなムードが盛り上がっている韓国では、気が向いたらふらりと出かける車泊(チャバク)が若者を中心に人気だ。ソウルから数時間のドライブで行ける京畿道(キョンギド)と江原道(カンウォンド)の森のオートキャンピング場や、海辺の駐車場などで自家用車に泊まる。テレビやYouTubeで芸能人も車泊の様子をしばしば紹介していて、もはや新しいキャンピングスタイルとして定着している。
車で走りながら見つけた景色のいいところで車泊をするのも素敵。屋根付きテントがあれば、日陰のない場所でも大丈夫。photo : @greatgny
実際、韓国で新規に登録された自動車台数も増加。エコでコスパがよいハイブリッド車が若者たちにウケて、いまや自動車業界も20~30代の購買ブームに着目しているという。各メーカーによる新車の発売や個別消費税の引き下げ効果も後押しとなり、車泊人気が加速した。
車泊の魅力は、事前に大型バンやキャンピングカーをレンタルする必要もないし、ソーシャルディスタンスを心配する必要もない気楽さ。キャンプ場に行かなければならないなんて固定概念さえ不要。また、SUVやセダンタイプの車でも使いやすい、持ち運べるコンパクトな寝具セットや車内飲食用のミニテーブルなど、車泊グッズを販売するオンラインショップが増えたことで、より気軽に楽しめるようになった。そして、女性たちの間ではカーテンや電球などで車内をデコレーションすることも流行っている。まるでおしゃれな部屋にいるように寛げるからだ。
キャンピングに必要な物を入れるボックスはテーブルとしても使える便利グッズ。photo : @hyeonji_cho
インスタグラムをはじめSNSでは、それぞれ個性的なコーディネートが多くみられるが、車泊の楽しみ方もいろいろ。グラスを用意し、きれいな夕焼けのビューポイントでワインを飲んだり(車泊だからこそできる!)、韓国伝統の風呂敷のような布、ポシャギをカーテンにしてお膳を用意し、伝統茶で韓国流のティータイムなど。自分たちらしいアイデアとスタイリングで気軽に楽しめるのは、ちょっとした現実逃避だけれども特別な癒しの時間となっている。
茶道具用のピクニックバスケットとお膳をスタンバイ。緑茶や菊茶などの伝統茶と伝統菓子を楽しんだり。photo : @nnaree.d
日帰りでピクニック気分を楽しむ近場での「車クニック(車+ピクニック」も人気。photo : @with___bb
text: JA-KYUNG JUNG