世界は愉快 エナジーフード編 from ニューヨーク ビリー・アイリッシュも虜、ニューヨークで抹茶が話題。

写真・文／長谷川安曇（在ニューヨークライター）

コーヒーはもちろん、「レッドブル」や「5アワーエナジー」など、カフェインが豊富に配合されたドリンクが欠かせないニューヨークの生活。仕事で多忙な上に、充実したナイトライフを送るため、みんな気軽にエナジードリンクに手を出すし、頻繁に飲む。ここ数年の間に、これまでの原色の派手なラベルとは一線を画す、新しいタイプのエナジードリンクが流行り出した。なんと、抹茶のドリンクだ。

マッチャバー社から発売されている「HUSTLE」は、抹茶をベースにしたピーチ風味やマンゴ風味のものなど、日本人からしてみるとかなり実験的なフレーバーだが、これが意外にもおいしい！　ほんのりとした甘みでさっぱりとした後味なので、暑い夏でも飲みやすいのだ。セレブリティにも人気で、ビリー・アイリッシュやDJのディプロも愛飲しているそう。その辺のスーパーなど、どこでも販売している。

「HUSTLE」（1本3.49ドル)に配合されている抹茶のカフェイン量は、エスプレッソの1杯分と同じだ。同社は抹茶パウダーも展開。マックスとグラハムのフォートギャング兄弟が、クラブに出かける前に飲んだ抹茶のおかげで体調が良かった経験をきっかけに設立したビジネス。

昔から抹茶に親しむ日本人からすると、なぜいま？とちょっと不思議な感じがするが、ニューヨークで抹茶は大人気。抹茶ドリンク専門のカフェ、シャレイが2015年に、チャチャマッチャが16年にオープンすると、人気に火が付き、特に若い世代に支持されるようになった。ほかのカフェでも、メニューに抹茶ラテや抹茶パンケーキなどが普通に並ぶように。日本伝統の奥深い飲み物が果たして普及するものかと、私は半信半疑だったのだが……。実は、抹茶がニューヨークの多忙なライフスタイルに適していると聞いて納得した。

ニューヨークではすっかり定着した抹茶ラテ。身体によいというイメージはもちろん、おいしいと評判。photo：Courtesy of Chalait 

抹茶を使ったドリンクで人気のカフェ、シャレイ。 オリジナルのオーガニック抹茶パウダーも販売している。

カフェインやリラックス効果のあるテアニンが多く含まれている抹茶は、コーヒーや他のカフェインが多く配合された飲み物に比べて、緩やかに集中力が高められたり、カフェイン効果が切れた時も急に疲れることがないといわれ、穏やかな効果があるという観点から、健康志向の高まりで多忙なニューヨーカーの心をつかんだ。また、サステイナブルな消費に目が向くいま、プラスチックのボトルに入ったドリンクに人々は懐疑的。抹茶パウダーさえあれば、誰でも自宅で作って、水筒に入れて携帯することもできるから、ますます人気に拍車がかかったというわけだ。

エナジードリンクも、ヘルシーなオプションが選べる時代になってきた！