文/神咲子(在スウェーデンコーディネーター)
スウェーデンの代表的な夏のお祭りはもちろん「ミッドサマー(夏至祭)」だ。マイストングと呼ばれる白樺の葉といろいろな野草や花で飾られたポールを囲み、花冠を作って被って歌って踊る。採れたての新ジャガイモとニシン、そしてスナップス(スウェーデンの焼酎)で乾杯をし、沈まない太陽のもと夏日を祝うのだ。
だが、スウェーデンにはアウトドアが定番の夏の祭りとは真逆のイベントがある。それは、「ドリームハック・サマー」というゲームフェスティバル。毎年7月、スウェーデン南部のユンシュッピングにある巨大なカンファレンス会場で、1週間にわたり箱詰めで行われる屋内フェスだ。
内容は、eスポーツ(コンピュータゲームをスポーツ競技として捉えたもの)、プロもアマチュアも参加するゲームトーナメント、コスプレ、ライブミュージック、ワークショップなど盛りだくさんで、ゲームオタクには垂涎ものの充実度だ。
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1994年に始まった「ドリームハック」は当初、ゲーム好きの友だちが集まった冬のイベントで参加者はたったの30人だった。それがあまりの人気ぶりに、夏と冬の年2回行われるフェスとなり、2019年の「ドリームハック・サマー」の参加者は34万5000人にまで昇った。昨年に続き、残念ながらコロナ禍で今年の夏も開催は見送り。来年の夏に延期が決定しているが、代わりにオンライン上でデジタルフェス「ドリームハック・ビヨンド」が行なわれた。
かつてはコスプレというよりは仮装大会の域だったが、年々完成度が上がり、その発展度(オタク度?)がお家元の日本並みの精巧さになっている。photos: DREAMHACK
ライブはわからなくもないが、なぜかファッションショーまであるのが不思議。photos: DREAMHACK
夏が短いスウェーデンで、何もせっかくの夏日に屋内にこもらなくてもと思うが、ゲーム好きには待ちに待ったたまらない夏フェスなのだろう。ゲーム音痴でコンピューターも苦手な私だが、珍しくこういうフェスに1回参加してみるのもアリかなと、暑い真夏のスウェーデンで思案中だ。
text:Sakiko Jin