専用ブラシが大活躍! イギリス家庭のお掃除事情。

世界は愉快 2021.09.11

写真・文/坂本みゆき(在イギリスライター)

コードレスやロボット型など、テクノロジーを駆使したクリーナーで掃除するのが当たり前となったいま。でも、それらの賢い家電でも、対応しにくい場所がある。そんな時にイギリスの人たちが頼りにしているのは、用途に合わせた専用の道具たちだ。

たとえば高い天井。イギリスの住居では時には3mを超える場合もあり、掃除をしたくてもクリーナーのノズルを精一杯伸ばし、つま先立ちでも届かなかったりする。そんな時に頼りになるのが「コブウェブ・ブラシ」。

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ブラシ職人の手による「コブウェブ・ブラシ」。ハンドルの長さは1m以上(比較にバナナを置いてみた)。伸縮するものや、もっと長い柄のものも売られている。

コブウェブとは蜘蛛の巣のこと。ほとんどの家には網戸がないので、暖かい季節に窓を開け放っていると色々な虫が自由に入ってくる。だから気がつくと部屋の天井の片隅に蜘蛛の巣ができていることが(少なくても我が家では)よくある。

ハンドルの長いこのブラシならば、一般的な住宅のたいがいの天井ならば届く。だから蜘蛛の巣の掃除も楽々。もちろんそれだけではなくて、高い位置の埃払い全般にとても便利。

ブラシの素材はナイロンやマイクロファイバーもあるけれども、伝統的なものは馬やヤギの、ちょっと固めながらもしなやかな毛が使われている。

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壁の照明の埃を払うのにも活用。

ラムウールで作られたダスターも、昔からある埃を払うためのものだ。ちょっとでも都心を離れると緑の丘で草を食む羊がいるのが当たり前のイギリスならではの素材を使った掃除道具ともいえそう。ラムウールは適度なオイルを含んでいるので、軽く触れるだけで埃をキャッチしてくれる優れもの。見た目もなんとなく可愛くて、肌触りも優しく、まるで素朴なぬいぐるみみたいで(?)これで掃除をして汚れてしまうと気が引けたりするのだけれども。

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純白ふわふわで、思わず頬ずりしたくなる(?)ラムウールのダスター。本棚に並ぶ本の上など、気がついた時にさっと手軽に使えるのが良い。

さらには暖房用のラジエーターにも、中に溜まった埃を取り払うための専用ブラシがある。

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ラジエーターの縦の長さに合わせて作られているラジエーター用ブラシ。

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こうやってラジエーターの中に入れてごりごりと掃除する。

この長さは60cmほど。ごわごわしたナイロンの毛を太いワイヤーで束ね、柔軟に曲がるように作られていて、狭いラジエーターの隙間に入っていけるようになっている。9月末になるとすでに肌寒い日が増えて暖房を入れるようになる。その前に綺麗にして、暖房効果を高めたい。

素朴でちょっとユーモラスなこれらの専用ブラシなら、面倒な細部の掃除も楽しくなるかも。

photography & text: Miyuki Sakamoto

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